第1話 沖縄から上京、進学と就職まで | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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様々なジャンルで活躍するデザイナーの来歴をたどるシリーズ。今回は株式会社ソニー・ミュージックコミュニケーションズの島尻一成さんを取材し、エンタテインメント系企業の社員アートディレクターとしてCDパッケージや広告などを手がける今日までの足跡をたどります。


第1話 沖縄から上京、進学と就職まで



島尻一成さん

ソニー・ミュージックコミュニケーションズの島尻一成さん


地元の工業高校デザイン科へ



──子供の頃は?

島尻●やっぱりデザインとか絵が好きでしたね。よく小学校の文集とか、必ず絵を描く担当がいると思うのですが、それが僕で。あとプラモデルを作るのも好きで、材料の余り物でさらに別の物を作ったり……そういうことをするのが好きだった。

──デザイナーになろうと自覚したのは?

島尻●中学を卒業後、どの高校に進学するか考えたときですね。地元の沖縄工業高校にデザイン科があると知ったのが、将来の仕事について意識したきっかけかもしれません。でも、もちろん細かいことは何もわからず、ただそこに行けば、たぶん自分が目指しているものがあるだろう……と。

──勉強はグラフィックのイロハから始まって。

島尻●ええ。あと立体の勉強もあったし、製図板に向かって設計図を描いたりもしてました。だから、内容はグラフィックデザインに限らなかった。まだ高校ですから、幅広いジャンルの基本から学ぶというカリキュラムですね。

──結構、デザイナーが輩出しているのですか?

島尻●どうでしょう? 地元でやってるかもしれませんが、僕は高校を卒業してからずっと東京なので、なかなか交流もなく……。一緒に上京して、その後の進学先が同じだった人もいるのですが、1年ぐらいしたら戻っちゃうんですよ。沖縄の子、やっぱり地元がいいと言って、すぐ帰っちゃうのが多いんです(笑)。

──高校卒業後の進路は?

島尻●デザインの勉強を続けたいと思っていましたが、当時、沖縄に美大やデザインの専門学校はなかったんですね。そこで、進学情報誌を見て専門学校を探しました。早く社会に出て就職したいという考えもあったので、東京デザイナー学院に入学しました。

──専攻は?

島尻●商業デザイン科です。2年間、専門的な学習をしましたが、いま振り返ると学校の勉強よりも、やっぱり現場……仕事を始めてから憶えたことのほうが圧倒的に多かったですね。


佐野元春『BEATITUDE』パッケージ佐野元春『In motion 2003-増幅』
佐野元春『Spoken Words-Collected Poems 1985-2000』『BEATITUDE』ブックレット

島尻さんの最近の仕事より、佐野元春のスポークンワーズ作品集『BEATITUDE』デザイン。
上左のボックス・パッケージの中に、上右のDVD『In motion 2003-増幅』(鎌倉芸術館ライブの初映像化)と
下左の『Spoken Words-Collected Poems 1985-2000』(2000年発表作の復刻盤)、
下右の上製版ブックレットを組み込んだ初回限定仕様(ソニー・ミュージックダイレクトより9月12日発売/5500円)

求人情報誌のデザインを始める



──就職活動は?

島尻●最初、実は沖縄に帰る予定でした。親戚の伯父が沖縄民謡家で、お盆やお正月になるとテレビに出演して歌うような大御所だったんです。で、局にコネもあるので、美術部的なところを紹介してくれるという話があったんです。それを期待して就職活動をおろそかにしてたら、他にもっと強力なコネがあったらしく、ダメになってしまった(笑)。

──あらら。

島尻●そこで急遽、就職活動をしなくては……と、東京でプロダクションや代理店などを受けて、結局入ったところが求人系の広告代理店でした。主に求人広告、入社案内を制作する会社で、クライアントが企業の宣伝部ではなく人事部のような職場ですね。

──お堅いところで。

島尻●そうですね。しかも求人情報誌はフォーマットが決まっていて、当時はMacもなかったからデザイン用の台紙がある。その升目に職種だったり条件、勤務地などを書くところがあって、フリースペースにキャッチコピー、イラストや写真を載せたり。そこでも自分でイラスト描いたりしてましたね(笑)。

──どのぐらい在籍を?

島尻●3年いました。その間に向上心というか、名の知れた代理店だったりプロダクションに転職したいという希望が強くなって。やっぱり、一般広告を作りたいという気持ちがあったんです。街で見かける駅貼りポスターだったり、社内吊りだったり、新聞だったり……そういうものへの憧れですね。でも、僕が当時作っていたのは求人広告で、情報誌の小さなものばかり。だから、早くそっちのほうに行きたいという気持ちがありました。


次週、第2話は「エンタテインメントな仕事をしたい」についてうかがいます。

(取材・文:増渕俊之 写真:FuGee)


島尻一成さん

[プロフィール]

しまじり・かずなり●1966年沖縄県生まれ。東京デザイナー学院卒業後、求人系広告代理店、制作プロダクション勤務を経て、株式会社ソニー・ミュージックコミュニケーションズに入社。現在、同社クリエイティブ本部のクリエイティブオフィス、クリエイターズルーム第2制作に所属。アートディレクターとして、音楽/映像ソフトのパッケージデザイン、コンサート・パンフレット、広告などを手がけている。



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