第9回 Phase3 ありそうにないアイデアを形にする - 思考するWebディレクション | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

第9回 Phase3 ありそうにないアイデアを形にする - 思考するWebディレクション

2024.4.19 FRI

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Phase 3 ありそうにないアイデアを形にする

結びつけることで
生まれる新しいアイデア

「ありそうにないアイデア」の広げ方には、より独創性の高い発想力が求められる。しかし、冒頭で述べたように新しいアイデア発想は完全にゼロからつくり出すわけではない。すでに存在している材料を組み合わせることによって、新しいものが生まれる。たとえば、三菱化学メディア㈱のWebサイト「全日本バーベイタム選手権」(www.verbatim.jp/senshuken/)【1】は、対戦型のゲームと自社製品コンテンツを結びつけたオリジナル性の高いWebコンテンツだ。“すでに存在する点”と別の場所にある“点”をつなぐ。そこで生まれた新しいアイデアがクライアントに新たな可能性を示唆し、ターゲットユーザーを惹(ひ)き付ける新たな魅力となる。まさに需要と供給のマッチングへと進化した結果といえる。
ありそうにないアイデアは、点と点の結びつけ方次第でこれまでありそうでなかった、まったく新しいコンテンツに生まれ変わる。すでに存在するものを別の要素にいかにしてつなげられるか、そしてそれらを掛け合わせることでどのように新しいアイデアに導いてけるかがポイントになる。そして、そのような組み合わせはまだまだ数限りなく存在しているのだ。

定番を別分野に置き換える
アイデア発想例

筆者が職場のアイデア会議でもよく試すことのひとつに、すでに存在するあるシーンと別のコンテンツを結びつけていく手法がある。ここで、筆者のアイデアメモの一部を公開する。アイデアそのものではなく、その考え方と結びつけ方に着目してほしい。また、その内容を評価するのではなく、自分だったらこう考えるという発想の一助という位置づけで参考にしてほしい【2】【3】【4】。
多少アバウトではあっても、アイデアの展開を記録し、いつでも引き出しから取り出せるようにしておくことも有効な手段だ。つねにインプットとアウトプットを心がけ、アイデアがわいてきたら「Twitter」(twitter.com/)上でつぶやいて備忘録にしておくのもよいだろう。アイデアは思考プロセスに強く依存する。だからこそ、下記の筆者の発想とそのプロセスに触れることで、その意味を少しでも理解してもらいたい。そして、それを読者自らのアイデア発想に生かしてほしい。

direction9-3-1

【1】対戦型のゲームと自社製品コンテンツを結びつけた三菱化学メディア(株)のWebサイト「全日本バーベイタム選手権」(www.verbatim.jp/senshuken/

・ アイデアメモ1 ・

ガソリンスタンド×ナビゲーション

direction9-3-2ガソリンスタンドの接客フローという異分野を、Webサイトのコンテンツの流れに掛け合わせて考えてみる。まず、URLにアクセスすると「オーライ、オーライ」と車をスタンドに入れるローディング画面が始まる。「ストップ!」という合図でコンテンツがスタートする。話し掛けてくる店員が「レギュラー? それともハイオク?」と問いかけてくる。ここでコンテンツが分岐する。次にどの程度のガソリン(=情報量)が必要かを聞く。ユーザーが「満タン」と答えればすべてのグローバルメニューがサイト上に表示され、「半分」と言えば50%のナビゲーションしか読み込まない。まだ、ブラッシュアップの余地はあるが、このようなアイデアは複数の事業をもつ企業サイトや、さらにはユーザーとの親和性に合わせてコンテンツを制限するといったWebサイト制作をする際には最適なものになると考えられる。

【2】[アイデアメモ1]ガソリンスタンド × ナビゲーション

・ アイデアメモ2 ・

プチプチ×共有

direction9-3-3このアイデアは、共同購入など第三者と協力して目的を達成するようなシステムに使えるだろう。ゲーム性もあり、「和み」や「遊び」といった要素もあるためブログパーツにも適している。だが、すでにありそうなアイデアとも考えられるので、「ありそうなアイデア」として筆者の引き出しへしまうことにした。もし、プチプチを「ありそうにないアイデア」に磨き上げるなら、Webサイトの背景全体がプチプチになっていて、クリックすると永久につぶれるようにしてみる。だれかがつぶしたものも反映されていて、いつしか全部つぶすことが目的であるような共有意識が芽生えるかもしれない。日ごろ、あまり活用されない背景でコミュニケーションをするWebサイト、裏方や縁の下の力持ち的業種などに向いているかもしれない。

【3】[アイデアメモ2]プチプチ×共有

・ アイデアメモ3 ・

踏切×連動性

direction9-3-4通常、Webサイトにはコンテンツがすべてそろっており、ナビゲーションによってリンクが張られている場所ならどのコンテンツにもアクセスできる。しかし、あえてその便利さに制限をかけたらどうなるだろう。そこで、鉄道の踏切とWebサイトを掛け合わせてみる。アクセスすると、踏切が上がっていて電車が通らない時間帯は何も起こらない。やがて、踏切の警告音が鳴り、コンテンツを乗せた電車がやってくる。ユーザーはそこではじめてコンテンツに接触できる。この踏切はひとつの路線だけではなく複数の路線が通る踏切で、それぞれの路線を走る電車が別のコンテンツを乗せてくる。では、電車はいつ通るのかというと、コンテンツの通過時間に現実に走っている鉄道のダイヤグラムをリンクさせる。
これを乗り換え案内などのサイトとリンクすれば、ユーザーは「いつあのコンテンツが見られるのか?」、「あと20分でログインできるページが来るぞ」という期待感を持って楽しめるのではないだろうか。ピンポイントだが、このアイデアは乗り換え案内サービスなどを提供している企業に適している。

【4】[アイデアメモ3]踏切×連動性

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