第1話 サウンドグラフィックスとは | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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タイトル画像、第11回Webプロデューサー列伝 中村博久

着実に浸透したエレクトロニックダンスミュージックのWEBメディア、higher-frequency。そして、その配信サイトであるhrfq。両サイトのプロデューサーでもある株式会社サウンドグラフィックスの代表、中村英訓氏に話を伺った。

第1話 サウンドグラフィックスとは



——中村さんは、どういった経緯で株式会社サウンドグラフィックスを設立されたんですか?

中村●現在の会社を作る前に10年ほどワーナーミュージックにいました。部門でいうと編成部というところを任されていまして、主にA&Rを管理的に側面支援をする業務を統括していました。そこにいた時、時世の流れのなかで、携帯サイトだったり、Webサイトに全く無知なところからスタートして携わるようになりました。今ほど規模も大きくなかったので、少人数の担当者が配信会社からWeb制作会社まで全ての話をするというような、わりとのんびりした時代だったんです。

そういうきっかけもあって自分の中では、これからはWebやITと音楽という文化が結びついていくだろうといった印象を持っていました。ですので、会社を辞めた時には自然にWebに足が向いたんです。まず、会社を作って最初に考えたことは、自分たちのWebを作らなければということだったので、そこが全てのスタートだということはありますね。


——会社を立ち上げた時にWebを制作する会社を想定されたんですか?

中村●今、うちの会社がやっている仕事は、印刷コーディネーションだったり、Webの仕事だったり、音楽配信、音楽出版、契約などいろいろやっているんですが、共通しているのは、私がワーナー時代にやっていた「ものをクリエイトする人間」を管理的・ファイナンス的に側面援護するという点。日本語で言うと「管理担当」と少し野暮ったい感じになってしまうんですが「ADMININSTRATIVE」といった仕事をメインにやっています。Webの制作に関しても、コンテンツである音や写真などは、当然クリエイターが作っていくものなのですが、それをきちんと運営して最新の技術を導入しながら、権利関係を確認しながらやっていく人がいない。それはクリエイターの領域を外れるもので、かえってクリエイターが主体になってやってしまうと、その辺りは勇み足になる場合もある。そういった面で世の中のクリエイターのサポートをしていきたいということが、もともとサウンドグラフィックスを作った一番の理由なんです。

——メディアや配信サービス等いろいろなことをやられていますが、どういった順番でスタートされたんですか?higher-frequencyをはじめた経緯を教えてもらえないでしょうか?

左:higher-frequencyのトップページ




中村●一番最初の仕事としては、JVCエンターテインメントというビクターの子会社が設立された時に、ワーナー時代から非常に懇意にしていたartlessの川上くんがデザインを担当して、僕がプロデュースするということで関わったのが、こういったWebの仕事に関わるきっかけなんです。

JVCエンターティンメントのトータルサイトに関わることができて、その過程でたくさんのことが勉強できたし、レコード会社としてやりたいことが見えてきて、これは面白いなと思ったのがちょうど3年前くらいのことでしたね。それと、同時に自分の会社のホームページも活性化させていかなければいけないと考えていました。もともと作曲家やデザイナーの作品を紹介するようなフルフラッシュのページを自社で運営していたのですが、それだけでは、いきなり無名のサウンドグラフィックスという会社がWebの世界で認知されるわけもなかった。ましてフルフラッシュですから検索エンジンに引っかかりにくく、お客さんを呼ぶコンテンツが必要でした。

それで、当時私がDJをしてクラブイベントを主催していたということがあって、外国のDJが来日するときに取材されないといったケースが多く、アーティストが「え、今日取材とかなにもないの?」みたいな話になってしまうんですね(笑)。語弊があるんですが、しょうがないんで自分のサイトで紹介するというところで取材をしたんです(笑)。知り合いの外人に一応インタビュアーの振りをさせて(笑)。DJにしてみたら僕がサウンドグラフィックスという会社を経営しているなんて知りませんから、「サウンドグラフィックスというWebメディアが取材したいって言ってるよ」って言うと喜んでホテルでかしこまってインタビュー受けてくれる。



正直言うとhigher-frequency最初の10個くらいのインタビューは、そういった感じですね。友達のつてや、自分たちが呼んだアーティストなどでスタートしたんです。お客さんに音を聴いてもらう、観てもらうための入り口になるようなコンテンツとしてDJのインタビューとかが分かりやすくていいかなと思ったんです。それでやり始めたら、どこからともなく知らない人がアクセスするようになってきて。あと、自分自身も毎週のようにクラブに出かけていたので、あちこちのクラブの情報をまとめた方が自分にとっても便利ということで、イベント情報ページをスタートしました。そうしたら、さらに人が集まり出して、「ニュース書かせてくれ」とか「写真撮らせてくれ」とかいう人が自然と集まってきたんですね。

そんな感じで3〜4ヶ月運営していたら、一日400人くらいの人が見に来るようになってきて、それが2003年頃で、まだhigher-frequencyをスタートする前ですね。思ったより人が集まって、フルフラッシュでやっているのはもったいないし、更新がかなり大変だったのでHTMLにしようかと思っていたときに、Webプログラムができるデザイナーの北川君(現 depth 代表)が自分もそういったサイトを作りたいということで、一緒にやるようになったんです。それで、デザインはartlessに依頼して、僕の方でコンテンツ、インタビュー、翻訳など全部やって、北川君にコーディング、サイトのストラクチャー作りやってもらって、artlessにデザインを担当してもらいました。それで2003年6月にオープンしたのがhigher-frequencyです。



(取材・テキスト/服部全宏 撮影/谷本夏 編集/蜂賀亨)




中村英訓


株式会社サウンドグラフィックス 代表取締役


プロフィール
1967年岡山県生まれ。大学卒業後、東京銀行に入行。4年間の勤務の後、音楽好きが講じてワーナーミュージック・ジャパンに転職。その後、約10年間にわたって、会長室、編成部など、主に制作部門を側面支援する部門を歴任する。'03年に新しいエンターテイメント・ビジネスのあり方を追求するために(株)サウンドグラフィックスを設立。印刷・Web・音楽配信・音楽出版業務などを事業の中心にすえながら活動している。現在5期目
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