第10回 Phase3 さらに企画を磨き上げる立案シミュレーション - 思考するWebディレクション | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

第10回 Phase3 さらに企画を磨き上げる立案シミュレーション - 思考するWebディレクション

2024.4.20 SAT

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Phase 3 さらに企画を磨き上げる
立案シミュレーション

比較をすることで
企画の特徴を見つけ出す

自らの企画の特徴を把握するために、他者の企画やコンテンツと比較してみるとよい。Phase 2で取り上げたコンテンツ「デスクトップツアーズ」が、新規ユーザーをターゲットにしているのであれば、他企業サイトによくある「はじめての方へ」というコンテンツが比較対象になる。「はじめての方へ」コンテンツはWebサイト内の独立したページであるため、原稿・ページの作成といった手間が発生する。これに対して「デスクトップツアーズ」は、既成の主要コンテンツをピックアップし、順序立てて見せるだけなのでそれほど手間がかからず、コストパフォーマンスに優れた企画だといえる。他者の企画やコンテンツと比較するという簡単な方法で自らが立てた企画の特徴を発見でき、それがクライアントへのセールスポイントにもなる。

企画立案を独り善がりな
ものにしないために

企画の概要説明にWebサイトが抱える課題を追加することで必要性が明確になり、また企画を他コンテンツなどと比較することによって特徴を見いだすことができた。ほかにも企画を伝わりやすくする方法はいくつかある。しかし、もっとも容易なのは相手に実際に伝える場面を頭の中でシミュレーションし、説明に不足している情報を補っていくことだ。
企画立案の作業は一人で行うことのほうが多いため、独り善がりでわかりにくい企画になってしまうおそれもある。これを解消するには、企画内容を伝える相手の存在を実際にイメージして立案を進めるとよい。また、クライアントに判断を仰ぐために、類似の企画よりも優れているといえるアピールポイントを、客観的な視点で考えておく必要がある。

疑問や指摘を投げかけることで
ブラッシュアップできる

ここからはより実践的な手法を紹介しよう。企画を地固めするには、どんどん指摘し、回答していく手法が有効だ。企画について"突っ込んで考える"と言い換えてもよい。とにかく意識してほしいのがひとつひとつに疑問を投げかけ、指摘をすることだ【1】。ここでも筆者が手掛けたWebサイトを例に取ろう。横河工事の公式Webサイト内のコンテンツ「YCC博物館」(www.yokogawa-kouji.co.jp/)について見ていく。この企画の概要を説明すると"歴史、工法、機材、クイズのフロアで構成されたWeb博物館"といったものになる。ここで、このWeb博物館という企画に疑問や指摘を投げかけ、それに答えていくことで、より伝わりやすい企画にブラッシュアップしていこう【2】。

指摘1 なぜ博物館なのか?
回答 このコンテンツのコンセプトは"技術の伝承"である。クライアントの築いてきた技術を残し続けるという目的から発案したのが博物館である。

指摘2 なぜコンテンツ構成はフロア別になっているのか?
回答 博物館らしさを演出するためにフロアという構成を利用した。さらに、フロアごとに担当者を変えることでコンテンツの更新頻度を上げる目的がある。

指摘3 この博物館はだれが案内するのか?
回答 こどもが博物館のナビゲーターになる。クライアント企業の社員のお子さんに出演してもらえばコストもかからず、社員自身のWebコンテンツへの関心も高まり、情報が集まりやすくなる。

指摘4 上記以外にどのようメリットがあるのか?
回答 歴史ある会社の資産を博物館としてまとめることにより、技術の伝承が実現できる。また、Webは情報の蓄積がしやすいため、社員が社内の情報発信に能動的になり、今まで以上に会社と向き合う時間が増える。また、自分がかかわったコンテンツであれば他人にも勧めたくなり、バイラル効果を引き出すことも可能になる。

上記のように、企画に細かく「疑問」や「指摘」をし、それに対しての「回答」を繰り返していくことで動機が生まれ、企画の魅力や長所を引き出すことが可能となる。

【1】企画に逐一疑問を投げかけ、ひとつひとつ答えていくことでブラッシュアップする

【1】企画に逐一疑問を投げかけ、ひとつひとつ答えていくことでブラッシュアップする

【2】横河工事の「YCC博物館」(www.yokogawa-kouji.co.jp/)は、

【2】横河工事の「YCC博物館」(www.yokogawa-kouji.co.jp/)は、"歴史、工法、機材、クイズのフロアで構成されたWeb博物館"といった企画概要の説明ができる

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