第1話 “不公平がない”数学の世界が好きです | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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成功を勝ち取れ!異業種からの挑戦

このコーナーではプログラマーからWebデザイナーへ、営業職からディレクター職へ、など、異業種・異業界からの転身を見事に成し遂げた人の成功談をうかがっていきます。最初に就いた仕事が自分に合わなかった……、夢を捨てきれない……、そんなあなたに力を与える先輩たちの実体験がここにあります!!

第3回 株式会社ラナデザインアソシエイツ 児玉温子氏の場合


株式会社ラナデザインアソシエイツのFlashクリエイター・リーダーの児玉温子氏は、もともとシステムエンジニアの出身だ。折しも2000年問題が懸念されていた時期に、金融機関のシステムを手がける会社で対応に追われていたという。その後「よりインタラクティブな制作をしたい」という思いにかられ、転職を決意。一見おっとりとした雰囲気の彼女だが、お話を伺っていると、かなりハードな環境を乗り越えてきた様子。彼女のパワーの源はどこにあるのか──。

児玉温子氏 [プロフィール]
こだま・あつこ●1975年、群馬県生まれ。立教大学理学部数学科にて微分積分を専攻、BASICなどを研究する。大学卒業後は銀行系のシステム会社に入社、システムエンジニアとしての基礎を学ぶ。その後、HTMLやFlashを独学で習得し、Web制作会社に転職。Webデザイナーとしての新たなスタートを切る。ディレクター、Flashクリエイターを歴任後、退社。ラナデザインアソシエイツには昨年入社。現在はFlashクリエイターチームのリーダーとして、同社の手がけるサイト内のFlashについて責任のある立場にいる。
http://www.ranadesign.com/


第1話 “不公平がない”数学の世界が好きです

──大学は理学部数学科のご出身だと伺いました。女性で数学科というのはめずらしいですね。
児玉●中学生の頃から、あまり勉強しなくても、なぜか数学はできたので……逆に現代文とかは苦手でしたね(苦笑)。数学は「0」と「1」しかないのが好きで……。答えがひとつしかなくて“不公平がない”というのが、数学のいいところなんです。

──なるほど。高校時代に数学科を目指した背景には、ゆくゆくはコンピュータ関係の仕事に就きたいと思っていたからでしょうか。
児玉●いいえ、その頃はあまりそういうことは考えずに「好きな数学がやりたい」ということで志望した感じですね。その後、大学卒業時にシステム会社に入社したのは何となく。……私が就職活動をしていた時期はちょうど就職氷河期だったということもあり、正直言って、あまり選択肢はなかったんです。内定をいただいた中でも、比較的大きなシステムを扱っている会社……銀行等の金融機関の基幹システムを取り扱っている、しっかりとした会社という印象があったので入社を決めた感じでした。

──その最初の会社で、システムエンジニアとしてのスタートを切ったわけですね。
児玉●そうです。その会社では30人くらいのチームがいくつもあって、各チームではみんなで同じシステムを作ってはチェックして……というのを繰り返し毎日やっていました。仕事量はあるので、チーム内でそれを分担してやるんですけれども、新人は慣れていなくて危険だと思われているので、プレッシャーをかけられたり……。組織が大きすぎて、チーム外の人が何をやっているかはあまり見えない感じでしたね。

──けっこうハードな日々だったのではないでしょうか。
児玉●大変といえば大変でした。それと、入社した時期がちょうど2000年問題に向けての対策を行っているときだったんです。私はクレジットカードのシステムを担当していたんですが、間違いは当然許されないし。

──何か問題が発生したら、新聞沙汰ですもんね。
児玉●そうなんですよ! 毎日文字だけしか見ない生活で……。とにかく画面に文字だけの状態だったので「絵が見たい……」という気持ちになりました(笑)。

──そんな気持ちもあり、その後、Web制作の道へと進むことになるのでしょうか。
児玉●潜在的に作ってみたいという欲求はあったんでしょうね。入社して4年後に手術を受けるため、3ヶ月程入院していたんですが、その間、病室にパソコンと参考書を持ち込んで、 FlashやHTMLの勉強をしていました。一時でも時間を無駄にしたくなかったので……。

──入院に臨むために資料を買い込んだとか?
児玉●ええ。それで入院する日が少し遅れてしまって、病院から連絡が入りました(笑)。

(取材・文:草野恵子  撮影:栗栖誠紀)

株式会社ラナデザインアソシエイツ
http://www.ranadesign.com/
1996年に創立、インターネット黎明期から数多くのWebサイトを手がけてきたラナデザインアソシエイツ。立ち上げから運営までのトータルプロデュースを得意とし、ソニーや資生堂、ユニリーバ・ジャパンなどのブランドサイトを数多く手がけている。これまでに東京インタラクティブ・アド・アワード、The New York Festivals 、LONDON INTERNATIONAL ADVERTISING AWARDSなど数々の賞に輝く。つい先日も、同社が手がけたウォーターフォード・ウェッジウッド・ジャパンのサイトが「2007グッドデザイン賞」に選定されるという快挙を成し遂げたばかり。



次週は「第2話 “実務経験ナシ”で飛び込んだWeb制作の世界」についてお届けします。

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