オフィス潜入リポート「こんなオフィスで働きたい!」
第8回 日本マイクロソフト株式会社(Microsoft Japan) 前編
後編はこちら >> 第8回 日本マイクロソフト株式会社(Microsoft Japan) 後編
米国発、世界最大級のコンピュータソフトウェア会社、マイクロソフト。その日本法人が今年25周年を迎え、本社を品川グランドセントラルタワーに移転した。ここで採用されたフリーアドレス制のことや、先進的なコミュニケーションシステムMicrosoft Lyncのこと、日本マイクロソフトの企業ミッションなどについて、デベロッパー&プラットフォーム統括本部に在籍する春日井良隆さんに聞いた。
●日本マイクロソフト株式会社
1986年設立。Microsoft Windows、Microsoft Office、Microsoft Internet Explorer、Microsoft Exchange Serverなど、数多くの業界標準のコンピュータソフトウェアを世に送り出してきた米マイクロソフトの日本法人。ソフトウェアによりユーザーや企業の可能性を最大限に引き出すことをミッションに掲げる。近年はXbox 360、Xbox Liveでゲーム分野に、Windows Phoneでモバイルの分野にも進出。
http://www.microsoft.com/ja/jp/
日本マイクロソフト株式会社に社名変更しても、これまでのブランドイメージの詰まったロゴは健在
ビルの2階で迎えてくれたのは、日本マイクロソフトがNECと共同開発した、来客管理システム。事前に受けとっていたバーコードをかざすと「待ち合わせ場所」が記された入館証が発行され、訪問先の社員のPCやスマートフォンにもゲストの到着が知らされる
入館証を手にエレベーターホールへと突入
全社員の60パーセントが、フリーアドレス(固定の座席を持たない)で勤務中
フリーアドレスの社員たちが、部署単位で集う際に使用されるスペース「ハブ」。通称「部室」
機密性の高い情報を扱うときや、周囲の目を気にすることなく電話するときに用いられる個室
社員食堂「One Microsoft Cafe」。オレンジ、黒の黒板にはさまざまな書き込みが。黒板はミーティングなどで
主に使用される。写真のエリアはカフェの東側で、イメージは「朝」
フリーのベンディングマシン。となりの黒板への書き込みは、ファミリーデーにやってきた子どもたちの手によるもの
PCを持ち込んで仕事をしながら食事という人が多いのも、このカフェの特徴
「cafe」「bowl」「noodle」と、大きくわけて三種類のメニューを提供。全品テイクアウトに対応している。
cafeだけは終日営業だ
お支払いは電子マネーで。パスモ、スイカなどが利用できる
このエリアはカフェの南側。イメージは「昼」。外光がたくさん降り注ぐ開放的な空間だ
カフェの西側は、「昼」のエリアとは打って変わって、リビングのように落ち着いた空間。イメージは「夜」
ビリヤード台があったり、X boxを楽しめるソファがあったり、本棚があったりと、自宅のリビングよりも楽しい。
ここも「夜」のエリア
こちらも「夜」のエリア。お一人さまでも落ち着いて食事ができる。気分転換にここで仕事をする人も多いそうな
Office Service Counterは、従業員が利用するPCなどの機器の補修、管理などを担うセクション。このセクションが提供するサービスは、壁にズラリと記されている
フリーアドレスになって、働き方が大きく変わった。
──今年2月1日に、社名が日本マイクロソフト株式会社に変わり、本社が新しくなりました。
調布と大手町のテクノロジーセンター以外に、都内5カ所にあったオフィスを品川に統合しました。品川を選んだわけは、新幹線や空港を利用しやすい上に、パートナー会社の多くが、東京の東側にオフィスを構えているからです。現在は約2500名の社員がここで働いており、そのうちの60パーセントがフリーアドレス(固定のデスクを持たず、好きな場所で働ける制度)です。
──フリーアドレスの場合、社内コミュニケーションに支障はありませんか?
自由に動き回りやすい分、むしろ固定席よりもコミュニケーションがとりやすいと感じています。それに相手が見つからないときでも、Microsoft Lyncという、いわゆるメッセンジャーが進化したツールを利用して、チャットや電話、複数人での会議もできます。LyncはMicrosoft Exchange Serverと連動しているので、社員の在席情報も一発で分かりますし、履歴もすぐに確認できます。USBで接続する受話器かヘッドセットを自分のPCにつなげば、音声でのコミュニケーション、つまり電話も可能です。要は、どのような状況下でも、相手の居場所や状況をすばやくキャッチでき、テキスト、音声、ビデオなど、最良の方法でコンタクトできる仕組みがあるわけです。
──フリーアドレスの方々は、実際にはどこで働くのでしょうか。
5-6人が座れる大きなデスクから、ファミレスのようなボックスシート、一人で集中するための個別デスクなどが用意されていますので、そのときの仕事内容や気分に応じて好きな場所を選ぶことになります。もっとも、場所に決まりはないので、社内のカフェをはじめ、どこで働いても構いません。
また各フロアには「ハブ」と呼ばれるコミュニケーションスペースもあります。ここは部署毎の一体感を保つために、顔を合わせることを目的とした場所で談笑することもあれば、ちょっとした打合せをする場合もあります。ほかにも守秘性の高い業務に取り組む社員などが使用する「電話ブース」と呼ばれる個室も用意されています。
──デスクに荷物をおいたままにできない不便や、周辺機器の使用に関する不便はありませんか?
社員は基本的にノートPCを持ち運ぶことになるのですが、それ以外の荷物は個別に与えられたロッカーに収納しておけます。プリントしたいデータは、すべて一度サーバに送った後に、プリンタの前で自分のIDカードをかざすと、一気にまとめてプリントできる仕組みがあります。印刷されたものを、一枚一枚受け取りに行くような不便はありません。今のところ、大きな不便は何も感じていませんね。
(取材・文:立古和智 写真:八木航)
後編はこちら >> 第8回 日本マイクロソフト株式会社(Microsoft Japan) 後編