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Ajaxで変わるWebライフスタイル

第1回 Ajaxってなんだろう?


Web2.0とも関連するキーワード「Ajax」とはなにか、どのようなことを可能にするものなのかを、初心者にも理解しやすいように、基礎から解説していく。1回目の今回は、Ajaxの登場から今後の展望までの概要をわかりやすく説明する。

解説:平山 真(デフィデ株式会社)


[プロフィール]

ひらやま・まこと●デフィデ株式会社勤務。同社R&D部門である研究開発部のチーフエンジニアとして、リッチクライアント関連技術やオープンソー スの調査をベースに、新規ソリューションの立案や開発プロジェクトの運営を主な業務としています。プライベートでは、福岡のスカバンド 「SKA☆ROCKETS」のラッパ吹きとして活動中。



1.Ajaxってなんだろう?

1-1.この新たな言葉の登場したきっかけ

「Ajax」という言葉が登場するきっかけとなったのは、Jesse James Garrett氏により書かれた「ajax: a new approach to web applications」という記事です。この記事では、Ajaxという言葉の定義を、Googleが「Google Suggest」や「Google Maps」で用いたWebアプリケーション手法を実例として取り上げつつ解説しています。

Google SuggestやGoogle Mapsの持つ強烈なインパクト、その基礎技術の総称にAjaxという呼称を与えたことが、Ajaxというブームのきっかけとなりました。


1-2.Ajaxは頭文字を組み合わせた造語

Ajaxという単語は、「Asynchronous JavaScript+XML」の略称であり、その単語自体では、ブラウザとサーバ間における、XMLデータ形式による非同期(Asynchronous)の通信手法のことを意味します。しかし、その通信結果をブラウザ全面のリロードを伴わずに、部分的に更新させる方法が必要になり、それを表現するユーザーインターフェイスの制御が、非同期通信に伴って必要となります。

この概要をまとめたものが下の「Ajax概要図」です。この図を見ると、非同期通信に付随した処理は、DHTML(Dynamic HTML)やCSS(Cascading Style Sheets)で組まれたHTMLページと操作を行うJavaScriptプログラムの組み合わせで実現されることが理解できると思います。つまり、Ajaxという単語には潜在的にこれら一連の基礎技術が含まれており、本記事においても、これらの技術を総合した、次世代Webアプリケーション開発技術の呼称として、Ajaxという単語を扱います。


Ajaxの概要
Ajax概要図











2.Ajaxが注目を集める理由とは

2-1.開発はとても難しい?

DHTMLなどのAjaxを構成する技術は、Ajaxのための特別な新しい技術というわけではなく、いずれも古くからある標準的なHTML関連の技術です。そういった、古くからの技術の組み合わせであるAjaxですが、一般的にその開発は困難だと言われています。これは、Ajaxを実現するために必要とされる習得技術の多さや、各種Webブラウザで閲覧できるようにする技術への対応具合の微妙な違いの存在し、従来のWebアプリケーションにはなかった非同期通信を想定した設計技術が要求されるなど、さまざまな要因が考えられます。


2-2.それでも集まる期待と可能性

では、なぜそのような高度で難解な技術であるAjaxが、これほどまでに注目を浴びているのでしょうか? たとえば、Google Mapsを取り上げると、それ以前のWebベースの地図アプリケーションでは考えられなかった、画面のリロードを伴わず、ドラッグ&ドロップを主体とした、非常に使いやすい操作性を実現しています。この例に代表されるように、Ajaxを取り入れることによって、より直観的に、より合理的にユーザーインターフェイスを構築できるようになる可能性を秘めています。このような理由から、よりユーザーフレンドリーな、いわば次世代Webアプリケーションのベースとなる技術として、Ajaxが高い注目を集めているのだと考えられるのです。

Ajax技術を利用したGoogle Maps
Ajax技術を利用したGoogle Maps








3.Ajaxをめぐるさまざまな動き

3-1.オープンソースコミュニティに多数の企業が参加

高い注目を浴びるAjaxという技術ですが、特にその盛り上がりを感じさせるのが、さまざまな有名IT企業や団体が、積極的にAjaxへの取り組みを進めている点です。その取り組みのひとつとして、Ajaxに関連したオープンソースコミュニティの形成という活動があります。

具体的には、2006年2月に、IBMを中心に15の企業や団体によって「Open Ajax」というコミュニティが立ち上げられました。このコミュニティへは、さらにIntelやAdobeなど13組織が加わっています。「Open Ajax」では、参加組織が共同で、ロードマップを策定し、共通のAjax開発サポートを進めていくことを目的にしています。


3-2.Ajax開発ツールも各社から続々登場

もうひとつ、そのようなAjax関連の取り組みとして、さまざまなAjax開発ツールが登場している点が挙げられます。たとえばYahoo!やAdobeなどの企業が、Ajax関連のコンポーネントやフレームワークを公開しています。Microsoftも当然のように、自社のWeb開発フレームワークであるASP.NETの次期バージョンで、Ajax開発のサポートを取り入れることを表明しています。そして、ついにAjaxブームの火付け役ともいえるGoogleも、Ajax開発ツール「Google Web Toolkit」のベータ版を公開しました。さらに、これらAjax関連プロダクトの多くが、無償やオープンソースという形で提供されているという点が、Ajaxへの注目度をより一層高めています。

本来は高度な技術を必要とするAjaxですが、こういった標準化に向けての活動や、多種多様なAjax無償開発ツールの登場により、Ajaxへの取り組みに対する敷居が低くなることが期待されます。その結果、今後Ajaxへ取り組むWebアプリケーション開発者が増加し、Ajaxを使ったWebアプリケーションが一般的なものになっていくことも考えられます。

「Google Web Toolkit」のダウンロードサイト
「Google Web Toolkit」のダウンロードサイト
http://code.google.com/webtoolkit/


こうしたAjaxを取り巻いている今の状況から、ユーザーインターフェイスの部分を皮切りにした次世代のWebアプリケーションの登場の可能性、それに伴う将来のWebライフスタイルの進化を、次回以降考えていきたいと思います。

次週へつづく
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