ソーシャルメディアサービスの始まりから現在にいたる歴史(前編) - Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

ソーシャルメディアサービスの始まりから現在にいたる歴史(前編) - Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策

2024.4.19 FRI

【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて
web creators特別号
HTML5・スマートフォン・SNS・Webアプリケーション
Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策

ソーシャルメディア 2-01
ソーシャルメディアサービスの始まりから現在にいたる歴史(前編)

TwitterやFacebookの登場により、近年急速に広がりつつあるソーシャルメディア。ここでは、その始まりから現在にいたるまでの流れについて解説する。また、今後の流れについて具体的な事例を紹介しながら検討していく。

制作・文/小川浩(株式会社モディファイ)



インターネット上におけるソーシャルメディアの普及

ソーシャルメディアは、具体的な名称を並べれば、たとえばTwitterであり、たとえばFacebookだ。更にはYouTubeやUstream などの動画共有サイトや、FoursquareやGowallaのような位置情報サービスも入るし、Blogや『はてなブックマーク』などのブックマークの共有サービスもまた、ソーシャルメディアの一つだ。

ネット上で発せられた小さな「つぶやき」が、瞬時に複数のソーシャルメディアに伝搬し、"社会的な会話"化する。

こうしてソーシャルメディアはWeb上に、リアルの社会で起きた現象を簡単に移し替える、インターネットの標準的なインターフェイスとして普及し始めたのだ【01】。

【01】SMO(ソーシャルメディア最適化)とSMM(ソーシャルメディアマーケティング)にフォーカスしたマーケティングが広がりつつある。
【01】SMO(ソーシャルメディア最適化)とSMM(ソーシャルメディアマーケティング)にフォーカスしたマーケティングが広がりつつある。


検索よりも重視される ソーシャルサービス

これまでは、Googleを中心とした検索エンジンがネットワークの構造を解析して良質な検索結果を担保してきたが、最近ではそれ自体の意味が若干弱まっているようだ。なぜならWebサイトの発見が重要なのではなく、あるコンテンツが複数のWebサイトをまたがりソーシャルストリーム【02】として流れている、その理由と関係性が重要になってきたからだ。ソーシャルメディア上のコンテンツとは、データの構造で言えばテキストであり画像であり動画であり音声である。もしくはそれらすべてを組み合わせたものかもしれない。しかし、それらコンテンツ自体の重要度よりも、そのようなものが結果としてソーシャルストリームを作っている理由にこそ意味がある。

【02】ustreamにも、Twitterからのストリームを表示する機能が用意されている。
【02】ustreamにも、Twitterからのストリームを表示する機能が用意されている。


ソーシャルグラフとソーシャルストリーム

ソーシャルグラフとは、ユーザーとユーザーの人間関係はもちろんのこと、興味の矛先であるモノとヒトとコトの関係性など、さまざまなオブジェクト(物、目標物、対象)とサブジェクト(主題、題名)の関連性のことだ。しかもこれらは相互の位置関係や、時間などの変数によっても変化する。ソーシャルメディアのコンテンツは、このソーシャルグラフによって流れる。ソーシャルグラフのあり方によって、ソーシャルストリームの流れが決定していくのである【03】。言い換えると、検索エンジン対ソーシャルメディア、あるいはズバリGoogle対Facebookとは、ハイパーリンク対ソーシャルグラフのコンセプトの重要度の戦いであると言っても過言ではない。

【03】ソーシャルストリームとは、たとえばTwitterなどで、誰が誰とつながり、どんなことを話しているか、などのこと。
【03】ソーシャルストリームとは、たとえばTwitterなどで、誰が誰とつながり、どんなことを話しているか、などのこと。

ソーシャルグラフを把握できるのであれば、ソーシャルストリームを自分たちのビジネスにうまく利用することが可能になる。

Facebookは、いまや世界最大のソーシャルグラフを保有している。彼らのソーシャルグラフは、前述の通り原則として実名で参加しているユーザーの、所在地や電話番号、性別、趣味嗜好などが細かく登録されており、しかもTwitterやBlogのRSSフィードなどを直接Facebook内にインポートできることから、(実名による)8億人が参加しているという規模だけではなく、データの緻密さという点でも群を抜いている。

また、最近Twitterも登録する個人情報をよりこまかく記載することを勧めるようになっており、少なくとも同じメールアドレスで複数のアカウントを取得することができなくなっており、サービス提供者からすれば個人が容易に特定できるようになってきている。TwitterもソーシャルグラフによるWebの構造変化に気がついているのだ。たとえばTwitterは"Who To Follow"(おすすめユーザー) 【04】【05】という機能をWeb版のサイドバーに置き始めた。Twitterユーザーのフォローを勧めてくるサービスで、Facebookなどにも同様の機能がある。このサービスがランダムにおすすめユーザーを表記しているのか、Twitter内のユーザーごとのソーシャルグラフから判断しているのかはわからないが、一種のレコメンデーション(推薦)エンジンとして機能している。

TwitterはいまのところFacebookほどの詳細な個人情報を得るには至っていないし、今後もそれは困難であると思われるが、反面ほぼすべての情報がWeb全体に公開されていることが、Facebookにはない強みにはなっている。つまり、Twitterはソーシャルグラフ自体は粗いものであっても、インターネット上にすべて公開されていることで、他のサービスとリンクされやすいと言える。逆に、非常に詳細な個人情報を持ち、精緻なソーシャルグラフを持っているFacebookではあるが、それらをすべてオープンにすることは現状難しいので、Twitterと比べるとリンクするには敷居が高い。この点はFacebookも自覚しているようで、最近は、個人情報の公開設定を、原則すべてのユーザーに公開することを標準とするようにしむけている。

Twitterにとっての強みはもう一つある。それは、Twitterにおける人間関係は一方通行であり、双方向であることを強いていないことだ。

Facebookにしてもmixiにしてもソーシャルグラフの起点になっているのは、互いにその関係性を承認するという行為だが、Twitterにはそれがない。そのゆるさゆえに、たとえば芸能人や政治家が情報を公開する際に、彼らとファンもしくは支持者たちとの関係性が非対称であることも許される。従ってTwitterはFacebookを遥かに凌ぐ速度でソーシャルグラフを拡大できるのだ。

Facebookとしては濃くて深いソーシャルグラフを保持できる代償として、Twitterなみの拡大速度を持つことができないという問題を抱えている。だが逆に言えば、だからこそ企業や芸能人は、Facebookページの利用を推奨しているわけだ。

ちなみに、Google+によって自社サービスのソーシャル化を急ぐGoogleは、そのFacebookのジレンマを突いて、非常にFacebookに似通ったサービスでありながら、ソーシャルグラフの形成方法としてはTwitterを模倣した、非対称な人間関係を採用したのである。

Google+は、原則として実名による参加と非対称な人間関係というFacebookとTwitterのいいとこ取りを狙っているといえるだろう。

【04】Twitterにある、「おすすめユーザー」の表示。ランダムで2名が表示される。
【04】Twitterにある、「おすすめユーザー」の表示。ランダムで2名が表示される。



【05】
【05】

(中編に続く)


[目次に戻る]

【本記事について】
2012年1月28日発売のweb creators特別号「Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策」から、毎週記事をピックアップしてご紹介! HTML5・CSS3によるコーディングから、次々と生まれてくる新しいソーシャルサービス、Webアプリケーション、スマートフォンやタブレット端末への対応など、いまWeb制作で話題になっているトピックを網羅した内容になっています。

※本記事はweb creators特別号『Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策』からの転載です。この記事は誌面でも読むことができます。

twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在