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ソーシャルメディア 2-02
いま注目のソーシャルメディア(後編)
近年、急速に広まりつつあるソーシャルメディア。その中でも、注目を浴びているソーシャルメディアについて、主に米国発のものを中心にソーシャルなつながりを活用した様々なサービスについて紹介しよう。
制作・文/澤村正樹( NTTレゾナント株式会社)
ソーシャルメディアにおける設計の傾向(3)
Giftee
日本発の小さいサービスとして注目されているのがGiftee(ギフティー)【01】だ。Twitterをベースに、カフェのコーヒーやバーのビール一杯などの小さいギフトを送り合えるプラットフォームである。ソーシャルグラフや決済機能などをオンラインベースで行いオフラインの行動につなげることを最近「O2O(オーツーオー)」とよぶが、Gifteeもその特徴をそなえたサービスの一つである。
なによりスマートなヴィジュアルやセレクトされたアイテムにより小さい贈り物という経験をデザインしなおしたところが注目に値する。
【01】「giftee」
tumblr
tumblr(タンブラー)【02】はブログを極めてシンプルにしたようなサービスである。コメント欄やトラックバックのようなブログによくある機能を大胆にはぶき、フォロー/フォロワー関係のソーシャル要素を加えてある。記事を書くというよりもWebサイトや画像のスクラッピングブックのように利用されることが多く、フォローしておくと自分のダッシュボードに気になる人がスクラップしたWebページからの引用文や画像が流れてくる。リブログというリツイートに似た引用の仕組みをもつため、そこから情報がひろがっていく可能性を秘めている。【02】「tumblr」
Localmind
Localmind(ローカルマインド)【03】はその場にいる人に質問をなげて答えてもらうQ&Aサービスである。アプリを立ち上げるとFoursquareなどでチェックインしたユーザーが、その場所にいる人として表示され、質問をそのユーザーにダイレクトに投げることができる。現在のソーシャルメディアの一つの特徴であるリアルタイム性を前面に押し出したサービスと言える。通常チェックインデータは行動履歴の蓄積として扱われることが多かったが、当然ながら今その場所にいるという情報としても使えるわけであり、このLocalmindはその点をうまく利用したサービスだと言える。【03】「Localmind」
PinQA
PinQA(ピンカ)【04】は筆者もメインの開発スタッフとして関わった日本製のサービスである。内容はLocalmindと同様に位置情報に関したQ&Aサービスであるが、こちらは事前にある地域をお気に入り登録してあるユーザーに向けて「美味しいお店はどこですか?」や「観光するなら見どころはどこですか?」といった場所に関する質問を投げることができる。回答を受け取りたい範囲を、地図を使って面で指定することができるので、ある場合には東京23区から、ある場合には京都駅周辺のみ、といった使い分けができる。PinQAはソーシャル機能を内部では もたずFacebookとTwitterにそれぞれ反映させることによって情報が拡散することを意図している。【04】「PinQA」
Yammer
Yammer(ヤンマー)【05】は社内での利用などクローズドなグループで使われることを前提としたソーシャルメディアである。主立った機能はFacebookに近い形でまとめられているのだが、社内での利用という切り口が他にはない新鮮さがある。まず会社で利用するメールアドレスでユーザー登録すると、自動的にそのドメイン部分でグループが作られ、同じメールアドレスを持つ人だけが見れらるタイムラインが作成される。メーリングリストなどよりも気軽に登録できるようにデザインされているため、メーリングリストだけでは伝わらない職場の雰囲気のようなものをタイムラインを通じて共有することができる。もちろん会社内だけでなく独自のグループも作成できるため、複数のグループ間で情報をやりとりするような場合にはもってこいなのではないかと思われる。【05】「Yammer」企業内における情報共有として活用されている。
The Guardian Facebook app
Facebookのアプリをひとつ紹介する。英国の新聞The Guardian(ザ・ガーディアン)【06】はFacebookアプリとして自社のコンテンツを提供している。これによりユーザーはFacebookを離れることなくGuardianの記事を読むことが可能になる。また、Facebookのソーシャルグラフをあつかえるようになっているため、自分の友達がどんな記事を読んでいるか、どんな記事を気に入っているかが見え、単なる新聞サイトでは得られない新しい発見をすることができる。ソーシャルメディア内のサービスというと、どうしてもゲームのイメージが強いが、こういう新聞を読むといった行為もソーシャルメディアと深く結びつくことによって新しい体験ができる可能性がまだまだある、と感じさせられる。【06】「The Guardian Facebook app」
ditto
ditto(ディット)【07】はこれから何をするか、どこに行くかを共有するサービスである。Foursquareなどが「今どこにいるか」など直前の過去の状態を表現するのに対し、直近の未来についての情報を共有することに力点がおかれている。これから何をしたいか、という宣言をして、ソーシャルメディア上でつながっている仲間からフィードバックを受け取ることができる。現在ではなく未来に目をつけたところが面白い。【07】「The Guardian Facebook app」
ソーシャルメディアのこれから
最後にソーシャルメディアが今後どうなっていくかを、無理を承知で、少しだけ考えてみよう。まず間違いないと思われるのは、これからもよりデバイスの変化は進むことだ。そうなれば、現在ではネットにあがってきていない多種多様な情報もどんどんソーシャルメディアにながれてくるようになるだろう。例えば、今日では一段落した感のあるAR(拡張現実)的なアプローチも、もう少し現実的な使われ方が考えだされてくるかもしれない。また、長く使われていくことによって「ライフログ」という視点も強くなってくるのではないだろうか。長期にわたる情報、たとえば少年期から大人になっていくまでの情報がたまってくるとまたひとつ違った見方ができるようになる。もしかしたら、ソーシャルグラフ自体も、いまのような単調増加をたどるのではなく、柔軟に形を変えていくようなものになっていくかもしれない。いずれにせよ、まだまだソーシャルの概念は具体的にネットが乗るようになってきて数年である。今後も予想もつかなかった変化がどんどん訪れる、ということだけは間違いがないだろう。私たちの生活がどう変わっていくのか、非常に楽しみだ。
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【本記事について】
2012年1月28日発売のweb creators特別号「Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策」から、毎週記事をピックアップしてご紹介! HTML5・CSS3によるコーディングから、次々と生まれてくる新しいソーシャルサービス、Webアプリケーション、スマートフォンやタブレット端末への対応など、いまWeb制作で話題になっているトピックを網羅した内容になっています。
※本記事はweb creators特別号『Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策』からの転載です。この記事は誌面でも読むことができます。