第1回 Webマーケティングって何? | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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WEBマーケティング戦略のススメ


文=島元大輔文=島元大輔
大阪のWeb制作会社でWebディレクターとして活躍後、(株)キノトロープに入社。数多くの企業Webサイト構築プロジェクトにかかわる。その後、 (株)ライブドアに入社、現在は(株)セシールに在籍。著書として「だから、Webディレクターはやめられない」(ソシム刊)。 url.blog-project.cecile.co.jp/


第1回
Webマーケティングって何?


昨今、「Webマーケティング」「ネットマーケティング」という言葉を見聞きする機会が増えてきた。しかし、それらは本質的に何を指しているのだろうか。今回は、Webマーケティングとはどういったものであるか、またどうあるべきかなどを、EコマースサイトのWebマスターとして活動している筆者の体験を交えて解説していこう。


Webを使ったマーケティング手法

Webマーケティングとは?
IT用語辞典によると、Webマーケティングとは「WebサイトやWeb技術を応用したマーケティング手法」とある。要するにインターネットを使ってマーケティング活動を行うことである。それは、新しい顧客を呼び込む集客から、自社の顧客に対して行うリテール、顧客サポート、調査など、非常に多岐にわたる。IT用語辞典にも書いてあるが、間口は広いが奥が深いために一般的な活動ではなかなか思うような成果を得られにくい。非常に高度なノウハウが必要である。

Webマーケティングをひと言で語るのは難しいが、あえて語るとするならば、「インターネットを使って収益を得るための企業活動」といえるのではないだろうか。ただ、人それぞれ異なる理解があると思うので、必ずしもこれがWebマーケティングであると言い切ることはできない。

Webサイトで収益を上げる方法
それでは、Webサイトで収益を上げる方法はどのようなものがあるのだろうか。おもな収益モデルは、次に挙げる3通りと考えられる【1】。ひとつはWeb上でモノを売って収益を上げる物販モデル。もうひとつはコンテンツにより人を集客し、広告掲載を募る広告モデル。そして、モールやアフィリエイトに見られる手数料モデルである。

Webの収益モデル
【1】Webの収益モデル


1. 物販モデル
筆者自身が現在行っている活動もこの物販モデルに当たるが、いわゆるEコマースサイトの運営だ。企画した商品をエンドユーザーに直接売る活動である。商品開発、集客、決済、物流、サポートなど、Webの知識にとどまらないさまざまな知識が必要になってくる。

2. 広告モデル
GoogleやYahoo!などのように、コアとなるコンテンツをもちながらユーザーを集め、そのユーザーに対して広告を募るというモデルである。これはまずコアとなるコンテンツをつくる必要があり、そのうえで広告営業を行わなければならない。実際にモノをつくったり、動かすわけではないので非常に利益率は高いが、収益に至るまでには高度なノウハウとコストがかかる。

3. 手数料モデル
楽天のようなモール形式で収益を上げる場合は、物販モデルに似ているかもしれないが、手数料モデルという位置づけのほうが正しいだろう。このような場所を貸し、集客にチカラを入れる方法もあれば、アフィリエイトサイトのように、自らが販売活動を行うが、実際に決済やモノを動かす活動は依頼者が行うといった手数料収益も、この手数料モデルと見なすことができるだろう。


Webマーケティングの現状

ここから具体的なWebマーケティングについて解説していくが、筆者自身は日ごろ物販サイトの運営を行っているため、話のベースが物販モデルであることをご理解いただきたい。Webマーケティングの活動という部分では、物販サイトの運営はかなり幅広く網羅しているため、Webで収益を上げるということにおいては、参考にしていただける部分も多いだろう。ご自身がかかわる仕事に置き換えて、明日からの活動に生かしていただければと思う。

Webマーケティングの基本
一般的にマーケティングの基本として、「Product」「Promotion」「Place」「Price」といった「マーケティングの4P」というものがある。Webマーケティングにおいても基本は同じで、通常のマーケティング活動において、Webをいかに有効に活用していくかが課題である。

書籍などでWebマーケティングについて語られている場合、Promotion(いわゆる集客)の部分に触れていることが非常に多い。アフィリエイト、リスティング、SEOなどがそれに当たる。しかし、一度取引が発生したお客さまに、継続的にサービスや商品を提供していこうという活動に関して語られていることは少ない。

集客だけに偏らず、呼び込んだお客さまに引き続き取引を行ってもらうための活動について、サポート面や分析業務といった幅広い視点でWebマーケティングの本質に迫っていく。

Webマーケティングを構成するもの
物販におけるWebマーケティング活動には、次のふたつの側面がある【2】。ひとつはWebマーケティング(物販)活動を行うために必要な要素。そしてもうひとつはWebマーケティング(物販)の売り上げを構成する要素だ。

Webマーケティング構成図

【2】Webマーケティング構成図


1. 商品・集客・Webサイト・決済・物流
物販におけるWebマーケティング活動を行う際に必要な要素は、「商品」「集客」「Webサイト」「決済」「物流」である。

最新の技術を使ってさまざまな活動を行うにしても、物販の場合は、商品についてまず第一に考えなければならない。価格とのバランスなど、気を配る点はいくつかあるが、商品に魅力がなければ集客もままならない。ただし、現実問題として、商品開発から手がけられないという人は多いだろう。Webサイトは店舗の役割を担うので、つくりや使い方に気をつける必要がある。決済については、今やさまざまな決済方法があり、Webという世界に向いた決済、またモバイルでの決済も年々増加している。物流についても、お客さまの元へ商品を届ける手段となるので、どういった方法を選択するかがカギとなってくる。

2. 購入者数×単価×リピート回数
もう一方の側面である売り上げを構成する要素についてだが、Webマーケティングに限らず、物販を行ううえで重要な数値は、「購入者数」「単価」「リピート回数」だ。アクセス数やコンバージョン率など、見るべき数値は山ほどあるが、突き詰めるとこれら3点になっていく。何人にいくらで何回買ってもらうか、これが売り上げをつくる基になる数値である。物販におけるWebマーケティング活動は、これらの数値をバランスよくアップしていくことであり、それが売り上げにつながる世界なのだ。

このように商品・集客・Webサイト・決済・物流をいかに構築するか考えながら、それらを購入者数・単価・リピート回数という数値でチェックしていく作業となる。文章にしてみると簡単に思われるかもしれないが、これらのバランスをとりながら中長期的に売り上げを上げていくという作業は容易ではない。また、これらすべてを一人で行えるわけではないので、ポジションによってはチームをまとめながら、目指すべき方向へ向かっていかなければならない。これら一連の作業がWebマーケティングといえる。

いずれも、通常のマーケティング活動とWebマーケティングの場合とは対応が異なるので注意したい。


本記事は『Web STRATEGY』2007年 11-12月号 vol.12からの転載です
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