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  ユーザーアンケートとメーカーの取り組みから考える 

 CS5以降のクリエイティブ制作事情

 ここでは、DTPやデザインに従事するユーザーのアンケートと、多くのユーザーが知り得ない、アドビ システムズの
 取り組みの一端を紹介する。クリエイターの制作環境にかかわる情報なので、知っておいて損はないはずだ。

 文 編集部  資料協力 吉田印刷所(資料url. blog.ddc.co.jp/mt/news/archives/news-release/survey/index.html
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Photoshopは互換性を考える必要が少ないソフトなので、最新バージョンへの移行は比較的スムーズなようだ。CS5以降はMacもWindowsも64ビット対応となり、新しめのハードにCS5以降を導入することは作業効率アップに直結することも理由のひとつかもしれない。ただし、DTPやデザイン業界ではPhotoshopはDesign Standardなどのスイートパッケージでの導入が多い点を考えると、IllustratorやInDesignにひきずられて移行が遅れている層も一定量いるだろう。 Photoshopと比較して移行は緩やか。CS6ユーザーの増分はCS3やCS4のユーザーの移行分と理解することもできる。吉田印刷所の調査では、Illustratorの場合、複数バージョンを併用するユーザーが8割を超えるという結果も出ている。これは、互換性をめぐるトラブルを避けたいユーザーの傾向がうかがえる。また、ペラもののデザインデータにとどまらず、デザインの飾り部品データとしても使うなど、他ソフトとの連携でファイルのやりとりが多いこともその理由だろう。
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InDesignは数百ページの書籍丸ごとといった大きなデータを扱うだけでなく、バージョン間でINDDファイルの互換性もないため、場合によってはデータの取り回しがめんどうなソフト。しかし、その割にはCS6への移行が進んでいる様子がうかがえる。2012年に入ってからCS6のシェアが急激なカーブを描き上昇しており、現在ではCS5やCS5.5とほぼ同割合のシェアを持っている。複数バージョンを併用するユーザーは6割ほどと、Illustratorの場合よりも少ない。 P022-3
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Acrobatは9のユーザーがずば抜けて多いが、ここへ来てXのユーザーも増えた。少なくとも、Design StandardやCreative Cloudを導入しているユーザーは、旧バージョンのAcrobatに固執する必要はないため、新バージョンへスムーズに移行していると見ることができる。また、X以降はPDF入稿に欠かせないPDF/X-4、APPEのバージョン2.5に対応しており、印刷会社とのマッチングがよい点もメリットとして表れているのかもしれない。 昨年初夏に登場したCreative Cloudだが、提供当初はやはり様子を見る層や導入を検討しない層が多かった。半年たち、導入予定のないユーザーが減り、前向きに検討する層が増えていることがわかる。現在は過渡期的状況だが、DTPやデザイン業界という意味では、過去にフォントワークスやモリサワが売り切りフォントからライセンスフォントへ移行した事例がある。そのため、数年後には、Creative Cloudのスタイルが一般化している可能性も十分考えられるだろう。
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 Interview 
 アドビ システムズが推し進める新バージョンへの移行戦略
 最新バージョンへの移行の重要な立役者となるのは、当然アドビ システムズだ。
 ここでは、同社マーケティング本部 デジタルメディアデザイングループの岩本 崇さんに率直な質問をぶつけてみた。

 ●岩本 崇氏のブログ「いわもとぶろぐ」 url. http://blogs.adobe.com/iwamoto/
●ここ最近は印刷大手3社の対応が迅速になった印象です。
「数年前に比べて、製品リリースから印刷大手3社さんの対応公表までのタイムラグをどんどん縮めてきました。具体的な取り組みとしては『プレリリースプログラム』という形で、発売前に製品を触っていただくというものです。印刷会社さん向けのプレリリースプログラムは、一般向けよりも前段階から、プログラムで言えば、ベータよりも前、アルファバージョンぐらいからスタートして、慎重な検証とフィードバックをお願いしたんです。印刷会社さんは責任を持ってお預かりしたデータを印刷するというのが業務なので、付帯設備でしっかりプリントができるかどうかをじっくりテストしていただきました。結果として、発売日から3ヵ月ほどでなんとか対応を表明していただいた経緯があります」

●こうした取り組みの背景はどんな考え方が?
「鶏と卵ではないのですが、先にデザイナーさんを一生懸命口説いたとしても、“印刷会社さんがまだ対応していないならいらない”という話になってしまう。逆に印刷会社さんに行くと、“いや、デザイナーさんが持ってこないならまだいらないです”という話になる。でも、僕は印刷マーケット出身の人間でもあるので、やはり、お客さまを迎え入れる環境づくりがまず大切だと考えるんですね。そこで、ここ数年、印刷会社さんを中心に先行導入をお願いしてきました」

●Creative Cloudについてはどうですか。
「Creative Cloudについては、アップグレードポリシーの改定のタイミングでCS3~4からの移行が進んだようです。印刷分野では、Creative Cloud版でも安心して印刷入稿ができる点をご案内しています。Creative Cloudには限定機能が付きましたが、Illustratorの場合、『パッケージ機能』という印刷関連のものだったこともあり、CS6対応を表明している印刷会社さんには事前のご案内をして、パッケージ版でデータを開いても問題ありません、という話をしました。ちなみに、Illustratorで言うと、Creative Cloud版とパッケージ版は限定機能の追加などの兼ね合いで、アップデータは別々にリリースされています。具体的に言うと、バージョンの数字が違っていて、Creative Cloud版はバージョン16.2.1で、パッケージ版はバージョン16.0.4(Windows版は16.0.3)というのが最新です(原稿執筆時点)」

●ソフトの安定性についてはどうですか。
「ここ数バージョンは、いい意味で、ことプリントという分野では大きな機能面の変更が入っていないので、安定した形のまま推移できていると思います。また、印刷会社さんの採用RIPも機能面でかなりできあがってきていて、そことのマッチングもとれている。以前の印刷会社さんですと、RIPが古くてアプリケーションが新しいので食い合わせが悪いといったケースがありました。現在はRIPが安定してきているので、アプリケーションの進化との整合性もとりやすい環境にあるのかなと思います」

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本記事は『MdN』2013年5月号(vol.229)からの転載です。
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