第1話 芸術系新設校に入学 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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さまざまなジャンルで活躍するデザイナーの来歴をたどるシリーズ。今回はグラフィック&映像クリエイターのヨシマルシンさんを取材し、今日までの足跡をたどります


第1話 芸術系新設校に入学



ヨシマルシンさん

ヨシマルシンさん


漫画家になりたかった子供時代



──小さいころは?

ヨシマル●両親ともに学校の先生なんですよ。父親が高校の理系の教師で、母親は小学校の国語の教師をやっていて。

──厳しいご家庭で?

ヨシマル●いや、全然そんなことなくて(笑)。小さい頃はテレビっ子で、当時はマジンガーZとかガッチャマン、ウルトラマン……そういうものをとにかく観てました。まあ、この世代の男子だったら、みんな多かれ少なかれそうだったと思いますが。で、超合金を買ってもらって、戦わせて遊んだり。

──絵は?

ヨシマル●ヒーロー戦隊モノの主題歌がいっぱい入っているLPをよく買ってもらってたんですね。そのLPをでっかいヘッドフォンで聴いて妄想して、ヒーロー物の絵を机や壁に描いちゃってました。でも、それをあまり怒らない親でしたね。極端に言うと、そのまま現在に至るって感じなんですけど(笑)。

──子供のままの感覚で。

ヨシマル●ええ。その感覚が多分にあります。叔父が書道家だったり、基本的に先生家系なんです。だから、親も僕が先生になったら嬉しかったのかなっていうのはあったと思うのですが、僕は全然なる気はなくて。もう小学校ぐらいから漫画を描いて、漫画家になりたいな……という感じでしたね。

──学校は普通校?

ヨシマル●中学校まではそうでした。でも高校進学時、岩手で唯一美術クラスのある新設校ができたんです。そこを受けようと思って、中3ぐらいからデッサンを一応やり始めました。親が知り合いの美術の先生に頼んで、家庭教師みたいな人が来てくれて。

──身につきました?

ヨシマル●それまで独学でやってきたことを、ある程度基礎から教わりました。で、その岩手県立不来方(こずかた)高校に受かったんです。公立の普通高校なのですが、美術コースや音楽コースなど専門課程があって、珍しいんですよ。芸術クラスだから、音楽やる人と美術やる人が同じクラス。ようは、そこから音大や美大に行かせようというコースですね。クラスの8割は女子で、休み時間になると教室でハモってたり(笑)。

──微笑ましい環境ですね。

ヨシマル●そこで美術とデザインを3年間勉強です。3年のときは、確か火曜と金曜は全部美術の時間でした。


Seek「なんで!?-MONO panic!!!?-」PV

ヨシマルさんの仕事より
Seek「なんで!?-MONO panic!!!?-」PV http://www.yoshimoto.co.jp/mandc/
「いろんなモノが動き出してパニック!!!? なんで!? をアニメーションで表現しました。まだまだ勉強中です!」



音楽に携われる仕事を……



──部活は?

ヨシマル●最初は反発でもないけれど、1年のときにサッカー部に入ったんです。でも全然馴染まなくて。で、2年から美術部に入りました。だから、放課後もそのままズルーっとデッサンの続きをやったり。でも、それはまったく苦にならず、小さい頃から漫画描いている延長でしたね。ポスターの授業のときも、好きなものを描いてましたから。

──レベルは高い?

ヨシマル●そのクラスの中に、すごい人がいましたね。いま藝大の大学院まで行って博士号とって、完全に現代アートのほうにズボッといってる同級生とか。あと、僕が一番仲が良かった友達は、それからちょっとして一緒に組んで仕事するようになります。いろんな才能を持った人がいたのですが、いまこういう世界で独自にモノを作っているのはクラスの中で僕とその2人ですね。でも実は他にもいっぱいいるかも知れません(笑)。

──美術以外の興味は?

ヨシマル●音楽ですね。中学ぐらいから密かに曲を作りたいと思って、ちょっとバンドっぽいこともやってました。でも、あまり周囲にそういう人がいなくて、音楽やるって言い出しづらくて……。だから高校のときにキーボードを買って、一人でローファイテクノみたいなインスト曲を作ってました。自分はクラフトワークを念頭に作ってたんだけど、近所の友達に聴かせたら「サザエさんの曲みたい」とか言われて(笑)。

──いまもたまに音楽活動をされてますよね。

ヨシマル●ええ。高校のときも頭の中では音楽のほうが楽しいし、好きだったかもしれない。

──音楽の道を目指そうとは?

ヨシマル●いや、音楽に携われるアートディレクションとか、CDジャケットを作ったりとか、そういう志望が強くて。かつ自分でもやりたかった。だから、とりあえず東京に出て一人暮らししたら、機材を買って宅録して、デザインとかビジュアルを作りながら音楽もやりたいなと思うようになったんです。誰にも言ってなかったですが(笑)。

──高校卒業後の進路は?

ヨシマル●とにかく東京の美大に行きたくて、岩手で一浪後、東海大学のデザイン科に受かり、上京することになりました。


eufonius『metafysik』CDジャケット


ヨシマルさんの仕事より
eufonius 2nd Album『metafysik』CDジャケット http://www.eufonius.net/
「楽曲の持つ浮遊感と、アルバムの持つ多様性を抽象的に表現しました。まだまだ勉強中です!」


次週、第2話は「東京ライフにハマる」を掲載します。

(取材・文:増渕俊之 写真:FuGee)


ヨシマルシンさん

[プロフィール]

ヨシマルシン●1972年岩手県盛岡市生まれ。グラフィック&映像クリエイターとして活動中。テレビ番組のオープニング・アニメーション、ミュージックPV、コマーシャルなどの他、DVDやCDのパッケージ、Webデザイン、VJなどを手がけている。

http://www.yoshiru.com




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