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第2回 【実践編】SEOの基礎を学ぶ上で重要な3つの考え方

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知ってるつもりで意外と知らないSEO最新のキホン

第2回 【実践編】SEOの基礎を学ぶ上で重要な3つの考え方

2014年9月30日
TEXT:植木理一(ヴォラーレ株式会社)


こんにちは、ヴォラーレ株式会社の植木です。SEOを強みとしたWebマーケティングのコンサルティングを担当し、ふだんからさまざまなWebサイトの反復的な改善に取り組んでいます。よろしくお願いします。


はじめに:前回のあらすじと今回の概要

前回の記事より引き続き、SEOの最新のキホンをWebデザイナーやコーダー、エンジニアの方にお伝えしていきます。前回の記事はこちらをご参照ください。今回は、SEOのポイントとなる「キーワード」「コンテンツ」「リンク」という3つのポイントについて、それぞれの概要と実装面での注意点を説明していきます。

6. SEOはキーワード・コンテンツ・リンクの3つを考えること
7-1. SEOの基礎要素:① キーワード
7-2. SEOの基礎要素:① キーワード【実践編】
8-1. SEOの基礎要素:② コンテンツ
8-2. SEOの基礎要素:② コンテンツ【実践編】
8-3. SEOの基礎要素:③ リンク
8-4. SEOの基礎要素:③ リンク【実践編】
9. まとめ:SEOの勘所とは




6. SEOはキーワード・コンテンツ・リンクの3つを考えること

ユーザーの多様な検索ニーズにこたえるWebサイトを制作するためには、ユーザーシナリオを作成する段階からSEOを考慮しておく必要があることは前回ご紹介したとおりです。また、SEOは「キーワードの設定をしたあとに人工的なリンクを集めればよい」という考えが通じるものではなくなっているので、筋の通った理解をもっておくことが必要です。

SEOに必要な要素をそれぞれ分けて考えると、大きく次の3つに分解できます。以下、それぞれ順を追って説明していきます。

①キーワード
②コンテンツ
③リンク




7-1. SEOの基礎要素:① キーワード

ユーザーの検索ニーズは、必ず一度は「検索キーワード」を通して言語化されます。「なにかがほしい/知りたい」と思ったユーザーは、その思いを検索キーワードに変換して検索するからです。

そして検索キーワードは、前回の記事で紹介したツール「キーワード プランナー」などを用いて、ある程度までは定量的なデータとして把握することが可能です。

すなわち、一定以上の検索ボリュームをもつ検索キーワードを事前に把握しておくことで、ユーザーの検索ニーズをある程度押さえることができるのです。
※もちろん、同じ「乾燥肌 化粧水」という検索キーワードであっても、20代の乾燥肌男性が検索をしている場合と、40代美容志向マダムが検索している場合では、求める商品や情報はおのずと異なります。そのため、ここでいう「ある程度」というのは、ユーザーのほんとうのニーズをつねに正しく把握できるとは限らない、という意味です。

具体例として、前回と同様のコスメ通販のECサイトを例にとって考えてみましょう。「乾燥肌向けの化粧水がほしいユーザー」は、キーワードとして「乾燥肌 化粧水」を選んでいることはデータからわかりました。

次に、「乾燥肌 化粧水」という検索キーワードをさらに考えてみると、「悩み×アイテム名」というかけあわせのキーワードであることがわかります。これは、「肌の赤味で悩んでいて、乳液について調べている人」や、「目じりのシワで悩んでいて、よいクリームを探している人」、「肌荒れがおきやすいので、低刺激なハンドクリームがほしい人」なども同様。つまり、この「悩み」と「アイテム名」とを網羅的に把握することで、「○○○を悩みにしていて、×××(なにかアイテム)がほしいユーザー」の大部分の検索ニーズを把握することができるのです。

キーワードプランナーのデータを確認してみましょう。上記のキーワードでの検索ボリュームは次の通りです。



数値が記載されていない検索キーワードは、それほど多く検索されていないことを意味します。ただし、まったく検索されないわけではありません。このデータを見る限り、仮に前述のキーワードをすべて押さえたとしても、月間で約90回しか検索されないように見えます。「このキーワードで検索されることは少ないのかな?」という気になりますね。しかし、これは全体のほんの一部。氷山の一角にすぎません。次のデータを見てみましょう。



「広告グループ」が関連検索キーワードを大まかに分類したもの、「キーワード」が個別の検索キーワード(これは各広告グループ内に複数存在します)、最後の月間平均検索ボリュームが各広告グループに属する検索キーワードの小計を表しています。ここに表示されている検索ボリュームだけでも、少なくとも月間およそ1万回以上検索されていることがわかります。

つまり、自分で考えて思いつく程度のキーワードの検索ボリュームだけでは「ボリュームもないので重要性はさして高くない」という誤った認識になりがちですが、網羅的に把握すれば、無視できない大きなボリュームになることがあるのです。「SEOはロングテールの考え方が大切」といった話がよくされる理由としては、自分の想定範囲を超えたところに結果が存在するからなのです。


7-2. SEOの基礎要素:① キーワード【実践編】

そこで、ユーザーのニーズをあらかじめ把握したうえで、「悩み」と「アイテム名」のかけあわせで商品一覧ページを個別に作成できる仕様を取り入れたWebサイトを構築します。こうすることで「悩み×アイテム名」の検索ニーズに応えることができ、ユーザーの訪問機会を増やせます。これが、SEOにおけるキーワードの考え方です。

コスメのECサイトであれば、このほかにも検索キーワードとして「ブランド名」や「商品名」「ブランド名」「メーカー名」の検索をはじめとして、かけあわせる検索キーワードとして「おすすめ」や「ランキング」「人気」などが存在することも予想できます。

このようなユーザーの検索ニーズに合わせたキーワードの考え方をもち、Webサイトのデータベースや構造を整えることがSEOの主軸のひとつなのです。




8-1. SEOの基礎要素:② コンテンツ

ユーザーの入力する検索キーワードがわかったら、今度はその検索キーワードで検索結果画面の上位に表示されるためのコンテンツを考える必要があります。

なお、ここでいう「コンテンツ」とは、必ずしもテキストのコラムやブログ記事といったものだけではなく、ユーザーにとって有益な情報すべてをさします。

たとえば、個別商品の羅列でしかないECサイトの商品一覧ページであっても、分類方法・表示方法がユーザーにとって十分に有益なものであれば、それはコンテンツであるといえます。また、すでに世の中にあふれているコモディティな商品の個別ページであっても、「口コミ」や「評価」といった独自の有益な情報が記載されているなら、それもコンテンツです。

前述のECサイトの例であれば、数万~数十万とあるアイテムの中から「乾燥肌にぴったりの化粧水」だけを選び出して商品一覧ページをつくるわけですから、ユーザーにとって有益なものなので、立派なコンテンツになります。


8-2. SEOの基礎要素:② コンテンツ【実践編】

では、どのようなコンテンツが「すぐれている」といえるのでしょう? ひと言で表すと「ユーザーにとってどれだけ価値のあるものか」どうかにかかっています。

前述のECサイトの例であれば、より多くの商品がさらに詳細な情報・方法をもって分類されている一覧ページがすぐれたコンテンツです。

そして、検索結果はつねにほかのページと比較されたうえで決定されます。「乾燥肌 化粧水」というキーワードで上位に表示されるページは、「乾燥肌にぴったりの化粧水が、ほかのどのWebサイトよりもユーザーにとって有益な形で提示されているページ」なのです。

つまり、あるキーワードにおいて検索結果の上位に表示されるためには、そのランクインページが他サイトとの総合的な比較においてすぐれている、と検索エンジンが認めるコンテンツをもつことが必要です。

もちろん、ECサイトのほか「ある化粧水が乾燥肌にとてもぴったりであることを、どのWebサイトよりも詳しく記したブログ」や、「ほかのどのQ&Aサイトよりも詳しくていねいに回答しているQ&Aページ」なども、「乾燥肌 化粧水」という検索キーワードのなかではすぐれたコンテンツ(≒上位に表示されるコンテンツ)であるといえます。




8-3. SEOの基礎要素:③ リンク

キーワード戦略を定めて対応するコンテンツを用意できた場合でも、検索エンジンにとって認識しやすい形のリンク構造が設計されていなければ十分に評価されず、検索結果画面で上位に表示されることにつながりません。

なお、ここで説明するリンクは内部リンク・外部リンクの両方を指します。言い換えると次のものです。

1.Webサイト内部のコンテンツ同士をどのように繋ぐか(内部リンク)
2.外部からの「おすすめのリンク」をいかにして集めるか(外部リンク)

それぞれを説明しましょう。

1.内部リンク
Webサイト内に存在するコンテンツ同士をどのようなリンク構造で結びつけるのかということは、ユーザビリティの観点のみならず、SEOの観点からみても重要です。検索エンジンが認識できるリンクの記述(おもにHTMLの< a> タグによるリンク)の活用をはじめとして、検索エンジンが評価しやすいリンク構造となるようWebサイト全体で配慮します。

2.外部リンク
外部リンクは依然としてSEO的にもかなり強力な効果を表します。外部リンクを獲得できていることは、上位表示を望むにあたってとても重要です。

だからといって「では人工的なリンクを買い集めよう」という考えは正しくありません。リンクを集めるとはすなわち、リンクが検索エンジンに評価される本来的な理由となっている「おすすめの意図をもったリンク」(自然リンク)を良質なコンテンツをもってどのように獲得していくか、を真剣に追及する必要があるということです。


8-4. SEOの基礎要素:③ リンク【実践編】

1.内部リンク
SEOを考慮して検索エンジンに評価されやすいページとするためには、内部リンクに関して少なくとも次の3点を押さえることが重要です。

・無料検索からのランディングを期待できるページにリンクを集めること(評価を上げたいページに、内部リンクを集中させること)
・関連するテーマをもつページ同士をリンクでつなぐこと
・下層のページにもリンクがいきわたるようにすること

もちろん、よりよいサイト設計・リンク設計のためには、それぞれのWebサイトの特性ごとに個別に検討することが不可欠です。

2.外部リンク
外部リンクを集める手法は、なにもWebだけとは限りません。取引先の企業や個人に紹介してもらう形でリンクを張ってもらったり、自社で開催している勉強会などの折に触れてリンクをしてもらう取り組みなども十分に有効です。なお、この方向性で外部リンクを集めるためには、相手との信頼関係をどのように構築するかが重要になってきます。

また、Web上で外部リンクを買わずに集めるには、自然な外部リンクを集める取り組みを継続的に行える体制が必要です。具体的には、コンテンツを定期的に追加していく作業に加え、コンテンツを作成するにあたり「そのコンテンツにどうやって人が集まるのか?」「集まったとして、なぜリンクしてくれるのか?」「再現性をもたせるにはどうすればよいか?」といったことを考えることも重要です。




9. まとめ:SEOの勘所とは

これまでの要点をまとめます。

・SEOは、キーワード・コンテンツ・リンクの3つを考えること
・そして、ユーザーの検索ニーズ全般に応えられるWebサイトをつくること
・なので、決して「制作したWebサイトに後付けでどうにかできる」類のものではないこと
・大事なのは、Webサイトをつくるときに「これってSEO的にはどうなんだろう?」という考えを頭の片隅においておくこと

以上のことをあらかじめ理解しておけば、対応できるSEO上の問題は決して少なくありません。また、SEOを実装するうえの細かい点については、SEOに精通する人物に助言を求めることも肝になりますが、Webサイトをつくるにあたって、まずは関係するすべての人がSEOについての基本的な理解をもっていることがとても重要です。

これらを踏まえたうえで、「自分の仕事のなかで、SEOが必要な部分はないだろうか?」と改めてお考えいただければと思います。




ヴォラーレ株式会社

【著者プロフィール】
ヴォラーレ株式会社
ヴォラーレでは、旧来型の「リンクを使ったSEO」ではなく、技術/マーケティングの両側面からWebサイトを改善していくための本質的なSEOコンサルティングを中心としたWebコンサルティング事業を行っています。

Webコンサルティング、そのなかでもSEOを遂行すべく、WebディレクションやWebデザインに携わる方々に、最新のSEOに関する基本的な考え方・取り組み方をセミナーやメディア寄稿を通して伝える啓蒙活動も行っております。

●ヴォラーレ株式会社:http://www.seohacks.net/

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