第1話 「エクスペリエンス・デザイナー」とは……? | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

第1話 「エクスペリエンス・デザイナー」とは……?

2024.4.19 FRI

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転職はゴールではない 3年目の壁、5年目の転機

“仕事の壁”は誰にでもやってきます。そんなとき、ほかのみんなは、どうしているのでしょうか? このコーナーでは、今まさに壁を乗り越えようとしている人、乗り越えて一歩先に進んだ人など、クリエイティブ業界でがんばる仲間たちが登場。これまでの失敗談・成功談や現在の課題、そして将来像を語ります。今の仕事に前向きに取り組み、階段を一段登るためのヒントが得られるはずです!


第2回 株式会社セカンドファクトリー 井原亮二さんの場合


株式会社セカンドファクトリーのエクスペリエンス・デザイナー、井原亮二さん。明治大学理工学部電気工学科出身で「とにかく電化製品が好き」という彼は、派遣スタッフとして電機メーカーのデザイナーを5年間経験したのち、29歳のときにセカンドファクトリーに入社する。アプリケーション開発で注目を浴びる「エクスペリエンス・デザイナー」とは……? 自分の目指す方向につねに前向きな井原さんに、今までの軌跡や現在の仕事についてお伺いしました。

[プロフィール]
いはら・りょうじ●神奈川県川崎市出身の32歳。明治大学理工学部電気工学科卒業後、家電メーカーでキオスク端末、BREWアプリケーション、交通監視システム、医療装置/製造装置等の組み込みシステムのGUI開発に派遣スタッフとして従事。その後、2004年に開催されたFlashカンファレンスをきっかけにセカンドファクトリーに入社する。現在はエクスペリエンス・デザイナーとしてFlash、WPF等のクライアントテクノロジーを利用したアプリケーション開発に携わる。
http://www.2ndfactory.com/


第1話 「エクスペリエンス・デザイナー」とは……?

──井原さんはデザイナーはデザイナーでも、「エクスペリエンス・デザイナー」という肩書きでいらっしゃいますね。この「エクスペリエンス・デザイナー」について、教えていただけますか?
井原●いわゆるグラフィックデザイナーや、Web制作会社などでの通常のステップアップとして、デザイナーをやって、その後、アートディレクターをやって…というタイプの職種ではないので、「デザイナー」と言っても少し感覚が違うかもしれません。


──なるほど。いわゆる「ユーザーインターフェイス」のデザインといったところが近いのでしょうか。
井原●はい。ユーザーインターフェイスを開発する上での「上流工程におけるデザイン」になります。グラフィックデザインというよりも企画/概要設計作業になります。よく広義、狭義という形でデザインの定義が語られますが、我々が担当しているのは広義におけるデザイン作業になります。「エクスペリエンス=経験」をデザインしていく──アプリケーションを使ううえでの、人の経験的な部分をどう設計していくかということになります。

──井原さんが入社した当時「エクスペリエンス・デザイナー」というのがどういうものか、理解していらしたのでしょうか。
井原●はい。私が入社して半年後くらいに、この肩書きになったのですが、それ以前からも"体験価値を創造する"という方向性でデザインを行っていましたので理解はしていましたね。
当時、「エクスペリエンス・デザイナー」という肩書きを新設することによって、より明確にその方向に特化して多角的にデザインを行っていくという会社の方針があったと思います。

──御社で「エクスペリエンス・デザイン」という方向性が打ち出されたのには、何か理由があったのでしょうか。
井原●「エクスペリエンスデザイン」略して「XD」を前面に押し出して、イメージされやすい「狭義のデザイン」から脱却したという理由がありますね。弊社が手がけるデザインは、短期的なインパクトが求められるものより、長期的に安定して使用可能なものに対しての取り組みが主となります。前者に対して後者は、"デザインによって、ユーザーが最高のパフォーマンスを発揮できるようにすること"が必須要件で、こうした要件を満たすには、グラフィック、インタラクション、システムといった多角的なデザインが求められます。こうした「広義におけるデザイン」を指す言葉として「XD」を打ち出したわけなんです。

──「エクスペリエンス・デザイン」を簡単に言うと、アプリケーションで得られる効果を、ユーザーが最短で得られるようにしてあげるという感覚でしょうか。
井原●はい、そういう感覚ですね。そのためにユーザーを“おもてなしする”インターフェイスの設計を行います。複雑化が加速するシステムの世界において、ユーザーがある目的を持ってシステムの入り口にいるのなら、手ほどきをしてあげることが必要です。「ユーザーの思い」と「システムの動作」が効率良く対応したデザインをすること、またこうした開発を実現させる環境を作ること、これがエクスペリエンスデザイナーのミッションですね。


(取材・文:草野恵子  撮影:栗栖誠紀)








株式会社セカンドファクトリー
http://www.2ndfactory.com/
「アプリケーションに“おもてなし”の心を」を掲げ、システムやサービスを利用する際の“体験価値”をデザインするセカンドファクトリー。ますますニーズが増加しているRIA開発に特化し、設計からコンサルティングまで独自の構築プロセスに基づき、幅広く手掛けている。アドビシステムズ株式会社、日本オラクル株式会社、マイクロソフト株式会社のベンダーパートナーでもある。


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次週は「第2話 とにかく、行き着くところまでやってやろうと思っていた20代」についてお届けします。
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