第2話 システムデザイン工学科の一期生 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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転職はゴールではない 3年目の壁、5年目の転機

“仕事の壁”は誰にでもやってきます。そんなとき、ほかのみんなは、どうしているのでしょうか? このコーナーでは、今まさに壁を乗り越えようとしている人、乗り越えて一歩先に進んだ人など、クリエイティブ業界でがんばる仲間たちが登場。これまでの失敗談・成功談や現在の課題、そして将来像を語ります。今の仕事に前向きに取り組み、階段を一段登るためのヒントが得られるはずです!


第11回 株式会社 カヤック 大塚雅和さんの場合


株式会社カヤックのプログラマー・大塚雅和さんは、子どもの頃から「何かを作りたい」とつねに思っていた理系少年。大学を卒業し大手電機メーカーに就職したのも、そんな思いが原動力にあったからだ。あるとき今までと違う分野に配置転換されたのがきっかけでネットに興味を持つようになり、2006年11月、カヤックに転職を果たす。現在は新規事業開発を使命とするラボチーム「BM11」に所属し、数多くのサービスの企画・開発にたずさわる日々。中でも、自らが企画・開発した、声で遊ぶコミュニティサイト「こえ部」はリリースから1年でユーザ—数2万5千人を超えるサービスへと急成長を遂げている。そんな彼に、これまでの軌跡、そして現在、未来の仕事について、詳しくお話を伺ってみました。


第2話 システムデザイン工学科の一期生

──慶応大学理工学部では、どのような学科を専攻されたのですか?
大塚●システムデザイン工学科だったのですが、実は僕、その学科の一期生なんです。機械工学や電気工学の間、全体を見ることのできる人材を育てるという新しいコンセプトでできた学科でした。ですので、情報やプログラミングが面白いなと思ったのは、大学の授業がひとつのきっかけでしたね。パソコン自体は家にあったので、普通にゲームなどは高校生の頃からやっていたのですが、実際にプログラミングを始めたのは大学に入ってからです。

──具体的にはどんな分野を研究されたのですか。
大塚●機械も電機も情報も……という学科だったので、いろいろな分野をまんべんなく学ぶことができたのですが、僕が所属していた研究室では、人工知能や画像認識、ロボットなんかを作るところだったんです。僕自身の研究テーマはラジコンの前にカメラをつけて、カメラが周りの風景を認識して、障害物をよけながら走るというものでした。

──今流行りの自動掃除機に応用できそうな(笑)。
大塚●そうですね。ラジコンの上に基板、その中にICのチップが置いてあって、そこにプログラムをロードして……その中だけでプログラムが動いていて、外と連携はせずに、単体で成り立つようなものでした。電子工作っぽい感じですね。卒業論文もそれについて書きました。研究室の周りの人たちは、ムカデみたいに足が6個あるロボットを作っていて、それぞれが協調動作するとか、車椅子のロボットを作っていて、足の部分がちゃんと歩けるようになる仕組みを作っていたり。スキージャンプのロボットを作っている人もいましたね。空中で何も支えられていないので制御が難しいとか……そんな感じで、面白い研究室でした。

──なるほど。
大塚●その後、就職先の話につながってくるんですが、自分の研究につながった就職先を選びたかったので、大手電機メーカーを選んだんです。当時やりたかったことは自動車の自動走行。運転者がいなくても、寝てたら着くというアレですね(笑)。当時はそれほど遠くない未来に実現できると思っていて、それをやるならカーナビだということで。就職活動の手前に、大学院に行くかどうかは少し迷いましたけど、やっぱり論文とかじゃなくて、リアルなモノづくりをしたいなと思ってましたね。

──自動車の自動走行ということであれば、自動車メーカーという選択肢もあったわけですが、そこは選ばなかったのですね。
大塚●そうなんですよね。カーナビを一生作り続けたいかどうかは確信がなくて、そのうち気持ちが変わるかもしれないと正直思ってました。それで、自分の興味が変わったときに転職するのは面倒くさいから、同じ会社の中で異動できるのがいいなと思っていて。大手電機メーカーだったら、いろんな分野をやっているだろうと……その時はそんな風に思っていました。選択肢を残したかったんでしょうね。その頃の方が今よりも大人だったのかもしれません(笑)。

──それで、卒業後に大手電機メーカーに就職されたわけですね。当時、同期は何人くらい?
大塚●日本で600人ですね。

──さすが大手。最初に配属されたのは?
大塚●すぐにカーナビの部署に配属されました。商品開発部門と技術開発の研究所的なところとかいろいろあるのですが、僕は消費者に近い感じの開発チームで「位置算出」をやっていました。「位置算出」というのは、カーナビの基本機能で地図を表示して、その上で自分が今どこにいるかを表示させること。それがなかったら、カーナビとは言えないですよね。そういう意味では、そこがコアで、今後、自動走行をやるなら位置算出がいちばん近い分野でした。

(取材・文:草野恵子 撮影:谷本夏)


株式会社カヤック
http://www.kayac.com/
1998年の合資会社カヤック設立をスタートとし、2005年に株式会社化。創業当初より「面白法人 カヤック」と自らを称し、つねに新しいサービス、新しい会社の在り方を求め、次々とユニークな試みを加速度的に展開している。カヤックの経営理念は「つくる人を増やす。」——その理念を体現するかのように、驚異的な数のサービスを毎年リリース、数多くの賞を受賞している。




面白法人カヤック

http://www.kayac.com/

次週は「第3話 ネットの面白さに目覚める」についてお届けします。



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