人々の心をつかむWebデザインにまつわる数字 - WEB Design Explorer 第1回 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

人々の心をつかむWebデザインにまつわる数字 - WEB Design Explorer 第1回

2024.4.20 SAT

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第1回 人々の心をつかむWebデザインにまつわる数字



「WEB Design Explorer」では、Webデザイナーやディレクター、またそれを目指す人へ向けてWebデザインに関する身近な話題から、世界のWebの最新事情まで、毎回さまざまなテーマでお送りする。第1回目のテーマは、人々の心をつかむWebデザインについて述べることにする。

(文=河内康和)


ユーザーは待ってくれない! 4秒でユーザーは逃げる


どれだけ美しいWebサイトをデザインしても、必ずしもユーザーの印象が良いというわけではない。繰り返し訪問してもらえるWebサイトは、瞬時にユーザーの心をつかみ、ユーザーを満足させる要素が含まれている。今回は、人々の心をつかむWebサイトを制作するためにぜひ頭に入れておきたい要素を具体的な数字を使っていくつか紹介しよう。

まず、ユーザーが最初にWebサイトに訪問する際、ローディングにあまりにも時間がかかってしまうと、たいていのユーザーはイライラしてしまう。Anna Bouchらの3氏が2000年に「ACMPress」に掲載した記事では、ローディングに8~10秒を超えると多くのユーザーはフラストレーションがたまると報告されていた。しかし、現在ではブロードバンドが普及し、その時間はさらに短縮されているようだ。およそ3割のユーザーは、ページのロードまでに4秒以上かかると逃げてしまうとまでいわれている。

ローディングに時間がかかってしまうWebサイトでは、ユーザーがほかのWebサイトに逃げてしまうだけではない。なんとかページが表示されるまで待って訪問してくれたとしても、ページ内でのリンクや広告のクリック率の低下、ECサイトでは購入率の低下を招くことが報告されている。ユーザーは、ページのロードに時間がかかりすぎるとフラストレーションがたまり、その結果、血圧が微妙に上がるそうだ。血圧が上がることで精神的にも影響すると言われている。こういう状況では、ユーザーはWebサイトへ感じる信頼性やデザインなどのクオリティなど、平常時よりも若干低めに評価してしまう傾向にあるようだ。ロード時間の短縮は、結果的にWebサイトのユーザビリティにもつながっている。

Webサイトの第一印象は1/20秒で決まる


では、ユーザーは訪問したWebサイトをいったいどのように判断しているのだろうか。カナダ・オタワにあるGitte Lindgaard of Carleton大学チームの調査によると、多くのユーザーはWebサイトが表示されてから、わずか1/20秒でWebサイトの印象を判断しているようだ。この一瞬の間にユーザーは画面から得られる情報を基に、そのWebサイトに対する第一印象を決める。特にユーザーに対して肯定的な印象を与えるための重要な要素は、ユーザーの目に一瞬で飛び込んでくる色使いだ。それぞれの色には個性があり、人々に与える印象は変わる。また、さまざまな色を組み合わせることでさらに違った印象を与えることが可能だ。1/20秒でユーザーを引きつけられる色使い、色の組み合わせを見つけることがユーザーの心をつかむ第一歩となる。現在では、色の組み合わせをサポートしてくれるツールがたくさん公開されているので、そのようなツールを利用するのもよいだろう。

ビジュアル的にユーザーの心を強くつかんだWebサイトは、その後のユーザーの印象にも大きくかかわってくる。細かな部分でWebサイトのユーザビリティに多少問題があったとしても、ユーザーにとっては大きな問題にはならない。使い勝手が良ければ、さらに評価は高まり相乗効果を期待できる。言い換えれば、ユーザーのWebサイトに対する印象は、ほんの一瞬で判断され、その後のユーザーの評価にもつながっているのだ。そのため、どれだけ有益な情報やツール、商品などがWebサイトに掲載されていたとしても、ユーザーの第一印象をうまくつかまなければ、結果として、その情報やツール、商品に対する印象まで否定的な印象となってしまう、ということになる。

テキストは30%しか読まれない


ロード時間が短く、色使いもよく瞬時にユーザーの心もつかみ、運良くユーザーがWebサイトに興味を持ち始めてくれた。では、ユーザーはコンテンツを隅々まで読んでくれるのだろうか。残念ながら多くのユーザーはあまり読んではくれない。たいていのユーザーは、ページ全体を見渡すようにざっとWebサイトに目を通すことから始めることが一般的だ。ユーザーはページのタイトルや見出し、文章の一部など、平均してページテキストの約3割程度しか実際には読んでいないことがドイツのハンブルグ大学チームの調査の結果明らかとなった。コンテンツの約30%の情報から、ユーザーは篩(ふるい)にかけてWebサイトを判断するのだ。

Webサイトに人々を集め、そして強い興味を持ってもらうためには、いろいろな要因が絡み合っていることがわかる。今回紹介した数字はほんの一部のデータにすぎない。しかし、これらの数字を参考に、人々の心をつかむWebサイトの制作に役立ててほしい。



「COLOURlovers」(www.colourlovers.com/)。色はWebサイトの第一印象を決める重要な要素だ。
「COLOURlovers」では、色の組み合わせやトレンドがまとめられている


ドイツのハンブルグ大学チームの発表によれば、ユーザーは平均してコンテンツの3割程度しか読んでいない。
コンテンツの文字数が多くなっても変わりない


Profile/河内康和
米国同時多発テロ2日前に渡米。現在、ロサンゼルスでWebデザイナーとして勤務する傍ら、ブログ「ロサンゼルスで働くウェブデザイナーの日記 DesignWalker」(www.designwalker.com/)を運営中。

本記事は『web creators』2008 vol.87からの転載です。本特集全記事は誌面で読むことができます。
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