月刊『web creators』がお送りする、Webデザイナーのためのイベント「Designer meets Designers」から生まれた、もっと濃く深く学ぶためのイベントが「Designer meets Designers Plus」(以下、D2Plus)である。その第4回が2009年11月6日(金曜日)に東京・麹町のC&R社レインボーホールにて開催された。
D2 Plus04は、「プロモーションサイトのためのリッチコンテンツ<実践>制作講座」をテーマとし、業界の最前線で活躍する(株)電通レイザーフィッシュ ソリューション本部 シニアコンサルタントの松岡清一氏をお迎えした。
また、ダイナミックなデザイン表現でテクニカルの最前線を担う、アドビシステムズ(株)およびマイクロソフト(株)より両社のエバンジェリストを招き、技術面および今後の動向などのフォローアップを講義に取り入れた。
前半のSESSIONでは、プロモーションサイトの考え方に関する講義と、そのテクニカル面のフォローとして、アドビシステムズ(株)とマイクロソフト(株)からそれぞれの製品をベースにしたプロモーションサイト制作について解説を行うという形式を取っている。後半はそれらの講義を受けて、参加者がグループに分かれてプロモーションサイトの企画、プレゼンテーションを行うという構成となっている。まさに全員参加型のD2 Plus 04。その充実したSESSIONの模様をお送りしよう。
SESSION 1
プロモーションサイトを考える D2 Plus 04は予定通り14:00にスタートした。この日、すべてのSESSIONにおけるメイン講師である松岡清一氏が登壇し、D2 Plus 04の全体像を説明したあと「今日の講義は、皆さんにあとほど参加してもらうオリエンテーションを中心として、アットホームな感じで進めていきたいと思っています」と伝えて講義を開始した。
「まず皆さんにおうかがいしたいのは、広告と販促の違いとはなんでしょう?」参加者にこう問いかけ、広告と販促の違いについて広義を解説したあと本題に。「広告は、広く知ってもらうこと。販促は販売促進ですね。これらは予算のつけ方が違うのをご存知ですか? われわれは、言葉をつくして不景気を嘆く中、広告費が削られていく現状を目の当たりにしていますが、一方で企業は広告費を下げて販促費を上げる現状にあるのです。Webサイトは予算が足りないから、もう一歩踏み込んだことができないと嘆く方々が今日いらしているなら、販促費を使っていけるクライアントを狙っていくことを提案します」と語り、市場動向の解説が行われた。これには参加者も身を乗り出して集中した様子。予算不足の画提案に日々頭を悩ませている参加者も多かったことだろう。現実的な松岡氏の講義に必死でメモを取っている姿が見受けられた。
続く講義は「企業におけるWebサイトの自社メディア化とプロモーションサイトに動画を適用するメリット」について。自社メディアを使う企業が動画を採用することで、どのようなコミュニケーションが展開できるのかが事例とともに語られた。
「なぜ動画を使うのか。これは、圧倒的な情報量につきます。百聞は一見にしかず。百静止画像は一動画にすぎず、なのです」そう語ると、現在松岡氏がプロジェクトにかかわっている独自番組制作配信サービス「goomo」(
www.goomo.com/)の事例を紹介した。
動画を使ったプロモーション企画の解説では、ひとつの動画の長さを決めるまでの工程や、番組数の算出方法、さらにクロスメディアの効果検証方法などの裏話に話はおよび、参加者はすっかり引き込まれた様子。
「親和性の高い情報を発信することから、口コミ効果や、コミュニティサイト、ブログでの意見交換などに波及を狙います。このためには、もっとアクセスしたくなる導線設計、これが必要です。プロモーションサイト制作は、コミュニケーションを設計すること。そして効果検証を的確に行うことが重要です」とまとめ、SESSION 1は終了した。
SESSION 2
プロモーションサイトのための
Flashクリエイティブ&Silverlightクリエイティブ SESSION 2は、アドビシステムズ(株)DMO(ダイナミックメディア)テクニカルエバンジェリストの太田禎一氏と、(株)マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部 デベロッパービジネス本部 マネージャー 春日井良隆氏が登壇した。ふだんは自社の製品の宣伝の機会が多い両名だが、このSESSION 2ではあくまで“プロモーションサイトのための表現手段”というテーマで語られ、ふだんの登壇とは話の内容やアプローチもまったく異なった様子。 SESSION 3のオリエンテーションに自社の製品を採用してもらうための製品紹介を模した形式で、両者の製品をベースとしたクリエイティブな最新トピックが語られた。
まずは、圧倒的な普及率を誇るAdobe Flashからスタート。UNIQLO COLLECTION 東京2009や、新曲プロモーションのためのサイトなど、最新プロモーションサイトの紹介とトレンドの事例を紹介した。また、問題視される傾向がある Flash SEOについて「Flashを使ったサイトではSEOが不可能というのは都市伝説です」ときっぱり断りながら、FlashサイトでのSEOに関する留意点やソリューション提案を行った。さらに、SWFObject、Progression、Wonderflなどさまざまなツールやコミュニティの紹介、そしてApplications for iPhoneのデモンストレーションとして、iPhone上に表示したAdobeのロゴをPC側で認識させると3D映像になって回転するというデモを行い、参加者から大きなどよめきが上がった。
続いて、 Microsoft Silverlightについて春日井氏にバトンタッチ。「クラウドコンピューティング」という旬のキーワードからスタートした。Microsoft Silverlightでユーザーエクスペリエンスを、加えてWindows Azureでクラウドコンピューティングを展開しこれからのアプリケーションのありかたを提案した。
Silverlightになじみのない参加者も多い中、再生メディア対応や疑似3Dの簡易制作などビジュアル面に引きの強い事例が次々と飛び出し、参加者からはため息が漏れるほど。また著作情報の保護やSEOに関する対応も語られた。最後は、Microsoft Silverlightを支えるツール郡の紹介や関連書籍、Webサイトなどを紹介しSESSION 2は終了した。
SESSION 3
手を動かし、頭で考えるオリエンテーション 続くSESSION 3は前回のD2 Plus 03でも好評だった全員参加型のオリエンテーションである。今回は前回よりも時間をたっぷり用意し、じっくり考えてもらう時間が用意された。参加者は5つのグループに分かれ、グループごとに課題をディスカッションし代表者が発表するという形式で行われた。課題は「もっとTVを見よう キャンペーン」。このテーマをどのようにプロモーションサイトとして展開するのか、企画提案書を作成するというものだ。本番さながらの企画会議には、松岡氏をはじめ太田氏や春日井氏もグループディスカッションに参加し、各チームの質問や問題解決を手助けしながら進められた。
プレゼンテーションは「コンセプト」、「ツール選択(FlashかSilverlightか)とその理由」、「展開方法」、「予算」の順に発表を行った。各グループがプレゼンテーションを行ったあとでゲスト陣から講評を得る。結果、ひとつとして同じ提案はなく、それぞれユニークなアイデアが披露された。日常ではなかなか競合のプレゼンを聞く機会はないもの。同じテーマのもと、さまざまな視点から行われたプレゼンテーションは参加者全員の大きな刺激になったようで、終わった後もほかのチームのプレゼン発表物の内容をカメラに収めている光景が多数見られた。
余談であるが、この日ツールとして選択したのはFlashが3チーム、Silverlightが2チームという結果に。圧倒的な普及率を誇るFlashに2票を返すことができた春日井氏も少し嬉しそうであった。ゲスト陣の意気込みも汲みとれるオリエンテーションとなった。
SESSION 4
プロモーションサイトはこうつくれ! 最終SESSIONは、オリエンテーションに対する講師陣の総評と模範解答が披露され、そのあと1日のまとめが行われた。松岡氏は「プロモーションサイトのプランニングを多面的に考えていくこと。メディアの特徴を生かした施策や企画を考えること。それがプロモーションの成果につながります」と語りプロモーションサイトの企画ポイントを語った。
「プロモーションサイトのあるときとないときを考えましょう。その差がプロモーションサイトを制作する理由となるのです」とし、KPI (重要業績評価指標)の必要性やプロモーションサイト制作のROI (投資利益率)検討に、Webサイト運用のKPIを適用する方法や客観的に効果測定を行うための指標について解説した。
「最後はやや固い話になりましたが、そのKPIを果たすべき施策の検討と実効性と効果の検証はたいへん重要です。おもしろければ良い、新しければ良いサイトではないのです。私たちは、クライアントのビジネスパートナーとして相互利益のために努力をしていることを忘れないでください」と締めくくり、SESSIONは終了した。
すべてのSESSION 終了後、D2 Plusでは恒例の懇親会が開かれる。懇親会は参加自由だが今回もほとんどの参加者が引き続き参加した。4時間を超える長丁場のあとではあるが、名刺交換を行ったり、ゲスト陣へ直接質問を投げかけたりとたいへんなにぎわいを見せた。また、今回はD2 Plus 04の開催と同日に発売された「Expression Studio 3 日本語版」のパッケージがマイクロソフト(株)より2本プレゼントされ、懇親会の席上でじゃんけん大会が行われた。
こうして、松岡氏の最初のコメント通りアットホームでにぎやかな中、すべてのプログラムは終了した。後日談ではあるが、参加者同士で特に同じグループとなった方々がメーリングリストをつくり、今も活発な意見効果を行っているという報告をちょうだいした。D2 Plusの開催意義をあらためて実感できる充実したセミナーであったことはまちがいない。
