つねに新しい技術やサービスを生み出しながら、可能性を広げつつあるWebの世界。そんな中、インフラであるホスティングサーバには、いったいどのようなサービスが求められているのだろうか。ホスティングサーバ各社がリリースする最新サービスに焦点を当てながら、時代に合わせて進化するホスティングサーバの現状を追った。 文=片岡義明、中村 南 |
●今月のラインアップ |
「見つけよう! あなたのサイトに最適なホスティングサーバ」 |
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【見つけよう! あなたのサイトに最適なホスティングサーバ】 |
専用サーバサービスを完全リニューアル |
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株式会社ハイパーボックスが提供する、ホスティングブランド・ドメインキーパーの専用サーバサービス「blue Box」が一新した。サーバスペックや回線の増強はもちろん、アフターサービスのメニュー化など大幅に変更されている。リニューアルの背景を同社の広報企画部のGM・藤掛真太郎氏と、同サービスの推奨サーバOS「Turbolinux Appliance Server 3.0」を提供しているターボリナックス㈱技術本部本部長・森蔭政幸氏にうかがった。 |
――今回のリニューアルではどんな点が強化されたのでしょうか? 藤掛 サーバのスペック向上はもちろんですが、今回特に重要視したのはそれ以外の部分です。専用サーバの運用でどこにいちばんお金がかかるかというと、実はサーバ本体の価格ではなく、回線や保守の費用です。「blueBox」では、全サービスに3Mbpsまで利用できる標準回線が無償でついています。それ以上必要な場合には、10Mbps専用線を月額10,500円で提供しています。この価格は、ほかと比べ最大7分の1にまでコストを削減できます。そしてこの恩恵をもっとも生かせるのは、帯域が必要となる複数サイト運営や動画配信リッチメディアを扱う場合です。「blueBox」のエントリーモデル「SV-3101」の月額18,900円と10Mbps専用回線を組み合わせても29,400円です。コストとパフォーマンスから見ても、これだけのサービスは限られてくると思います。 ――オプションの料金体系はいかがでしょう? 藤掛 今回のリニューアルは、「blue Box」としては2度目となる大きなリニューアルで、いわば“第3世代”ともいえる内容です。以前の“第2世代”のサービスでは、パーツをカスタマイズできるBTOスタイルを売りにしていました。今回はそれをさらに推し進め、メニューをよりシンプルにわかりやすくしました。たとえばHDDであれば500GBの次は1TBへとステップアップします。段階を多くするのではなく、1段階でかなり上がりますが、月額費用はそれほど上がりません。メモリも標準では2G、月額1,050円増しで4G、2,100円増しで8Gと、パフォーマンスを上げても上位の料金がかかるようなことはなく、極力コストをセーブしながらパフォーマンスアップを実現できるような料金体系にしました。 ――今回から推奨OSが「Turbolinux ApplianceServer 3.0」に絞られていますが、これはなぜでしょうか? 藤掛 経済状況が厳しいので、各社でダウンサイジングが進んでいます。そうなると、サーバ管理者の不在や管理者がいても仕事が多すぎて対応できなくなる事態が起きてきます。そこで、できるだけ運用部分はわかりやすく簡単に使えたほうがいいということで、「Turbolinux Appliance Server 3.0」を推奨しています。特にWeb制作会社の場合は、サーバの運用に不慣れな会社も多いでしょうから、オペレーションやメンテナンスが簡単なこのOSはおすすめです。Web制作の過程でテスト環境をつくる際にも、テスト用の仮想サイトを簡単に構築でき、プロジェクトごとにナレッジを立ち上げることもできます。 森蔭 「Turbolinux Appliance Server 3.0」の特徴は、サーバ管理者が不在でも一般の人がコマンド操作をせずに簡単にWebサーバの立ち上げやメールの管理を設定できることです。メンテナンスも容易で、たとえばメールアドレスの追加や削除、メーリングリストの作成なども、Webブラウザからログオンして簡単に設定できます。また、サーバ運用でもっともリスクが高いのはHDDが壊れることですが、このOSならRAIDの片方のディスクがダメになった場合に、携帯電話にメールで知らせるといった設定も簡単に行えます。 ――なぜ今の時期にリニューアルを行ったのでしょうか? 藤掛 不景気でお客さまがシビアにコストを追求するようになってきたこともありますが、それだけが理由ではありません。お客さまが契約後にもっとも気にされるのは、やはり技術的な側面です。これについては弊社は以前から24時間のサポート体制を整え、深夜の問い合わせにも無料で対応しています。ですが、サーバのメンテナンスやオペレーションなどのサービス料金は、ケースバイケースであいまいにならざるを得ないところがあります。これはホスティング業界全体にいえることです。弊社はこれまでのサポートで培ってきた蓄積があるので、こういうケースはこのくらいのコストと時間がかかるという目安が見えてきていました。そこで、今回のリニューアルでは、このグレーな部分をわかりやすくメニュー化し、「アフターサービス」という形で提供しようということになりました。サーバのパフォーマンスだけでなく、アフターサービスの導入でサービス全体の枠組みも変化したということで、結果的に“第3世代”になったともいえます。 ――アフターサービスには、どのようなメニューがありますか? 藤掛 利用ケースの多い、ミドルウエアなどのサーバ設定や、移転の作業・調査、仮想サイトの設置、アップデートなど、運用管理で必要なサービスをご用意しています。また、記載のない作業依頼については、レベルを5段階に分け、5,250円から31,500円の範囲で作業単位のアウトソ-シングできます。これにより、サーバ管理者が不在でも、専用サーバの柔軟性を活用できます。これらの作業は、ある一定量を超えるとマネージド・サービスの金額になってしまいますが、マネージド・サービスはサーバが安定しているときには無駄な面も多いです。そのような場合に通常の契約をしていただいて、必要になったときだけアフターサービスという形で作業単位ごとにお支払いいただくと。そのほうが納得できるお客さまも多いのではないでしょうか。 ――ホスティングサービス業界は、今後どのような方向に進んでいくと思いますか? 藤掛 専用サーバでマネージド・サービスが普及していくのはまちがいないでしょう。一方、価格面では下げ止まり、これ以上の価格低下が進むと品質の面で不安が出てきます。弊社の今回のリニューアルでも、コスト面では性能に優れたスペックを限界まで値下げしました。サービス面では、ニーズがもっとも多かったアフターサービスをメニュー化しました。今後は、お客さまの課題に対し解決方法や新しい提案など情報提供を強化したいと思います。もちろんパフォーマンス面では、つねに高スペック、かつ高くなりすぎないサーバ提供をしていきたいと考えています。 <用語集>
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