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失敗しないCMSツールの選び方

本来の目的に照準を定め、必要な機能をしっかり見極める

プロジェクトの失敗要因のひとつがCMS選びにある。CMSは魔法のツールでもなんでもない。また、「高機能=あらゆるニーズをカバーできる」というわけでもない。それぞれの設計思想の違いから来る特性や適性【1】を知り、CMS導入の目的に合わせて最適なツールを選ぶことが重要だ。

たとえば、Web 2.0技術の浸透により高度なWYSWYGを実現したCMSツールも存在する。「ほら、こういう風にWordのように自由に使えるんです!」というキャッチーなデモは、クライアントには“一見受ける”だろう。しかしWYSWYGは情報設計とは相反する機能であるのも事実だ。また、WYSWYGエディタはニュースや製品情報等、通常のコンテンツ運用時の生産性が高くない。このことを理解し、またメリット・デメリットをきちんと説明せずに無理にCMSを選定すれば、あとに不信感が生まれCMS導入が失敗するか顧客を失うことになるだろう。多くの高機能なCMSが備える複雑なワークフロー機能は、要望が高まり、機能だけで結局利用されないことも多い。

高度なワークフローは小規模企業には不要なものであるし、大企業にはすでに何らかの承認システムが備わっていることが多いからだ。

ここで大切なのは、機能の有無で良しあしを語るべきではないということだ。開発企業が何を実現することを考え開発しているのか、そのターゲットや開発者の「哲学」を理解し、導入企業とCMSの哲学が合っているのかを考えるべきである。

また、開発者が特定のCMSツールにこだわり続けるのも危険だ。どんなに使い勝手のよい包丁であっても、家は建てられない。自分がなじんでいるCMSに限界を感じたら、プラグインを組み合わせたりせずにほかのツールを試す柔軟性がほしい。なお、新しいツールを取り扱う際には、スケジュールに十分な余裕をもたせることも忘れずに。


【1】設計思想の違いからくる特性や適性を理解し、目的に合った最適なツールを選択しよう


抑えておきたいCMS選定における5つのTIPS

CMSツールには、およそ導入の検討に値しないようなツールが存在することも事実。中には、ベンダー自身にしかテンプレートを構築できない“CMS風”ソリューションも多数ある。そうやって見ていくと、実はそれほど選択肢は多くないのだが、だれしもツール選びで最初からつまずきたくはない。そこで、CMS選定における5つのTIPSを紹介しておこう。

1. 極力静的CMSを選ぶ
動的CMSに比べて静的CMSCMS、低リスク、高いSEO性、アクセス解析の容易性、変化への柔軟な対応など、多くのメリットがある。動的CMSはサーバ費用も高額になりがちだ。ただしこの問題は規模が大きい場合に起こる。WordPressを使った小規模な企業サイト構築などこれらの問題が問題とならない場合はこの限りではない

2. 組織に合ったCMSを選ぶ
導入後の運用担当者を特定し、そのリテラシーや人数などを考慮する。特に「使いやすさ」、「シンプルさ」の問題は必要とするリテラシーと教育コスト/期間のバランスが大きく変化し「定着失敗」も生む重要な問題である。スーパーのレジにWindowsを導入すればどうなるか想像がつくだろう

3. 他システムとの連携を考える
あらゆる要望をひとつのCMSツールがもつ機能で解決しようと考えないこと。既存システムやほかのWebサービスとの組み合わせ、あるいは「開発」、「工夫」で実現できることもある。「パン屑生成機能」などを誇らしげにカタログに載せるCMSを私なら信用しない。それは自分たち制作サイドが考えるべき機能だ

4. 実績のあるCMSを選ぶ
これも重要なポイントである。まず新しいCMSツールにはバグが多い。実績が豊富であるほど、製品の成熟度は高いと考えて良いだろう。目安としては、50社以上の日本語サイトの成功事例をもつCMSツールを選びたい。英語事例だけ、あるいは「プラグインで実現」は不十分である

5. 制作パートナーが豊富なCMSを選ぶ
これは長期的な視点で重要なポイントになる。クライアントが制作パートナーの変更を迫られたとき、代わりが見つからないような状況をつくらないためである。目安としては、10以上の制作パートナーをもつこと。これはMTの成功と技術の汎用性を見れば納得できるのではないだろうか

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