第1話 “想像と創造の産物” | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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当初、音楽のCD卸しからスタートした株式会社スタートトゥデイは、自分たちが欲しいもの、自分たちがインターネット上で売りたいものとして「洋服」とい うアイテムをセレクトし、2000年10月に最初のショップ「EPROZE(イープローズ)」をネット上にオープンさせた。ショップはその後17店舗まで 増え続け、2004年にはショップが集まった「街」として現在の「ZOZOTOWN」がオープン。2006年4月現在では「ZOZOTOWN」は月商7億 円、会員数30万人、550ブランドを取り扱い、合計53店のオンラインセレクトショップを運営するまでに至る。

2004年に「街」としてその全貌を現すと同時に、既存のインターネットにおけるショッピングスタイルやビジネスに多大な影響を与え、さらには購買者のライフスタイルまで変えつつある架空の「街」。それが「ZOZOTOWN」である。
今回は「ZOZOTOWN」を運営する(株)スタートトゥデイにおいてマーケティング本部 ディレクターを務める前原正宏氏と創造開発本部 デザイン部 ディレクターとしてブランディング/アートディレクションに携わる渡邊 順氏に、今も進化し続ける「ZOZOTOWN」のクリエィティブとビジネス、そし て今後についてうかがった。

第1話 “想像と創造の産物”


バーチャルとリアルが入り交じったような街 「ZOZOTOWN」

マーケティング本部でディレクターを務める前原正宏氏


マーケティング本部でディレクターを務める前原正宏氏



――「ZOZOTOWN」とはひと言でいって何でしょうか?

前原●ひと言で何?と聞かれると、『想像と創造の産物』と答えています。

――それは会社のフィロソフィーなのですか?

前原●そこまでは固くないですが。

渡邊●「ZOZOTOWN」のサブテーマに『想像と創造が行き交う街』というのがあるのです。だから、ひと言で何?と聞かれるとそう答えたりすることが多いですね。『想像と創造の産物』。考えたものを形にしていこうということなのですが。

創造開発本部でブランディングとアートディレクションに携わる渡邊 順氏

創造開発本部でブランディングとアートディレクションに携わる渡邊 順氏

――「ZOZOTOWN」 という「街」そして、そこから発信していくものを含めてということですか?

前原●現在は、「ZOZOTOWN」しかありませんが、今後は「ZOZO○○○」という形で、ショッピングサイト以外に様々な展開をしていきたいと思っているので、ショッピングサイトの枠に収まらないという意味も込めています。名前の由来そのものは、「想像」と「創造」から「ZOZOTOWN」と命名しているので、ZOZOという部分は今後も使い続けていく予定です。何をやるにしても「ZOZO○○○」という形で新規の事業を展開していきたいと思っています。

想像と創造が行き交う架空の街として作られた、インターネット上のショッピングモール「ZOZOTOWN」
想像と創造が行き交う架空の街として作られた、インターネット上のショッピングモール「ZOZOTOWN


――お二人のそれぞれの役割をお教えください。

前原●僕はマーケティング本部ディレクターとして、「ZOZOTOWN」の広告を中心にディレクションをしています。どのファッション誌に「ZOZOTOWN」の広告を載せるかをセレクトしたり、キャッチコピーを考えたり、イメージヴィジュアルを渡邊と一緒に考えたり。あとは、広告だけではなくお客さまへのサービスなどももちろん考えたりもします。

渡邊●ブランディングということに関わってくると思いますけども、広告やデザインは二人で共同作業をすることが多いです。前原のマーケティングコンセプトを、僕が実際にビジュアル化していきます。

前原●広告出稿については、ただ売れればいいとか、アドレスを大きく目立つように記載するとかといったことはありません。「ZOZOTOWN」ならではのイメージやコンセプトが伝わるビジュアルやデザインが必要だと思います。出稿するメディアのセレクションもそうなってくると当然重要ですよね。けっしてどんな雑誌でもいいというわけにはいかないので。

スタートトゥデイ、オフィスのエレベーターフロア。オフィスデザインはワンダーウォールの片山正道がデザイン
スタートトゥデイ、オフィスのエレベーターフロア。オフィスデザインはワンダーウォールの片山正道がデザイン


――サイト内のショップに関してもディレクションを担当しているのですか?

渡邊●サイトをみていただくとわかると思いますが、「ZOZOTOWN」では、実際に建っているショップをそのまま3Dに落としているショップもあれば、ブランドディレクターが『こういうショップを作りたい』ということをもとに、バーチャルなショップを3Dで起こして、それを実際のネット上の街で建設しているのです。そういったバーチャルとリアルが入り交じったような街が、「ZOZOTOWN」ならではのポイントだと思っています。実際にショップのデザインは建築家の方にお願いしている場合もあるので、僕らは『建築物』と呼んでいるんですが、そういった建築物ももちろん他のネットショップとは異なる重要なポイントになっています。

前原●それぞれのブランドやショップは、既存のイメージがあるので、それらの要望に応じた架空ショップデザインを考えるとか、ブランドの個性を消すことがないように注意をしています。

渡邊●ひとつのサイト上でオリジナリティあるたくさんのショップやブランドを取り扱うということは結構難しかったりもします。やはりブランドイメージは大切ですからね。

――そこが、「ZOZOTOWN」のおもしろみでもありますよね。

渡邊●そうですね。

前原●見せ方やトータル的なブランディングなどは渡邊が担当しています。

前原氏のいう「自分たちのスタイル」へのこだわりは、オフィスのデザインをはじめ、いたるところに感じられる

前原氏のいう「自分たちのスタイル」へのこだわりは、オフィスのデザインをはじめ、いたるところに感じられる




スタッフの平均年齢24歳と非常に若い。洋服が好きという点は全員に共通している

スタッフの平均年齢24歳と非常に若い。洋服が好きという点は全員に共通している


――「ZOZOTOWN」がつくられている現場は?

前原●現在はアルバイトも含めて114人のスタッフが働いています。平均年齢は24歳です。デザイン、システム、広告、商品の仕入れ、商品の撮影、サイズ計測、商品の発送などすべてを原則的に自社で行っています。他では自社内でここまですべてを行っているところはないと思います。

 もともとCDの卸し業務をやっていたので、ロジスティックスに関してはすでにノウハウがあったのも強いのかもしれないですね。倉庫もカッコよく作ったりして(笑)、スタッフ全員が洋服が好きで、若いので、みんなのモチベーションが上がるように、常にそういったところでは敏感でいたいと思います。このオフィスデザインや雰囲気もそうですが。すべてに関して自分たちのスタイルでこだわっています。


次週、第2話は「“好き”だからこそわかる感覚」についてうかがいます。

(取材/文:服部全宏(GO PUBLIC) 写真:谷本 夏)


[プロフィール]
前原正宏(まえはら・まさひろ)
●株式会社 スタート トゥデイ
マーケティング本部 ディレクター

渡邊 順(わたなべ・じゅん)
●株式会社 スタート トゥデイ
創造開発本部 デザイン部 ディレクター
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