つねに新しい技術やサービスを生み出しながら、可能性を広げつつあるWebの世界。そんな中、インフラであるホスティングサーバには、いったいどのようなサービスが求められているのだろうか。ホスティングサーバ各社がリリースする最新サービスに焦点を当てながら、時代に合わせて進化するホスティングサーバの現状を追った。 文=片岡義明、中村 南 |
●今月のラインアップ |
「見つけよう! あなたのサイトに最適なホスティングサーバ」 |
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【見つけよう! あなたのサイトに最適なホスティングサーバ】 |
フレキシビリティな運用が可能に |
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ファーストサーバ(株)は2009年10月22日、仮想専用サーバサービス「ビジネスプラットフォーム・シリーズ」の提供を開始した。同サービスは、マイクロソフト(株)の仮想化技術「Hyper-V」を利用し、1台から20台までの仮想サーバを複雑な移行作業なく簡単に構成変更できるのが特徴だ。このサービスについて、同社のサービス開発部サービス企画グループ担当課長の梅林和男氏と、事業推進本部販売企画部部長の西村謙一氏に話をうかがった。 |
――「ビジネスプラットフォーム・シリーズ」をリリースした経緯をお聞かせください。 梅林 ビジネスでのIT活用がますます拡大してきており、必要とされるサーバ数も増加傾向にあります。また、サーバに対するセキュリティ面・性能面・拡張性への要求レベルも高まる中、一方で当然コスト削減も必要です。これらへの解決策のひとつとして、今回提供を開始したのが、仮想化技術を使ったクラウド型のホスティングサービス「ビジネスプラットフォーム・シリーズ」です。 −−具体的にはどのようなサービスなのでしょうか? 梅林 このサービスは、仮想化技術を使った非常に拡張性の高いサービスです。仮想化のミドルウエアにはマイクロソフト(株)のWindowsServer 2008に搭載された「Hyper-V」を使っており、これは業界でもまだまだ例の少ないサービスです。仮想化技術を使っていますので、CPUやメモリ、ストレージ容量などのサーバリソースをデータの移行をすることなく簡単に変えられます。通常、専用サーバで複数台構成にする場合はラックスペースを確保するための費用が発生しますが、このサービスは仮想サーバですので、ラック費用は不要です。また、サーバ、ネットワーク機器、ストレージなどをすべて冗長化しておりますので、幅広い用途に安心してご利用いただけます。 ――従来の仮想サーバ・サービスと違うのはどこでしょうか? 梅林 一般的なVPSは1台の物理サーバを仮想的に複数に切り分け、あたかも1台の専用サーバのように提供するサービスです。今回のサービスは複数台のサーバ群からなるサーバ領域を仮想的に複数に切り分けて、1台の専用サーバのようにお使いいただくという違いがあります。物理的な1台のサーバ内という制限がありませんので、スケールアップの範囲が広く、かつサーバ移行作業が必要ないので、スピーディーにサーバのスペックを上げられます。また、1台から最大20台まで自由なサーバ構成にスケールアウト(サーバの追加)できます。普通の専用サーバであっても、シングルコアのサーバではスペックが足らないからデュアルコアにしたいという場合、必ずデータの移行が伴います。しかし、「ビジネスプラットフォーム・シリーズ」ならば移行作業をまったく行うことなく、簡単に スペックを変えられます。 ――スケールアウトしやすいというメリットが生かされるのはどのような場面でしょう? 梅林 たとえばサーバのレスポンスが遅くなったときに、2台に分離して負荷を下げる場合ですね。特にWebサーバの場合、サーバのスペックを上げるよりも、台数を増やしたほうがパフォーマンス向上には有効ですが、それが簡単にスピーディーに実現できます。 ――セキュリティについてはいかがですか? 梅林 ファイアウォールを標準提供しています。共有型ですが、オプションの「パケットフィルタ個別設定」をご利用いただくことで、個別にフィルタリング設定を追加することが可能です。たとえば、Webサーバだけ利用したい場合には、httpやhttpsだけを開けて利用するといった、専用型ファイアウォールのような使い方ができます。また、仮想サーバの管理コンソール画面への接続は、専用のTS(ターミナルサービス)ゲートウェイを用意しており、SSL通信を使った非常にセキュアな形でセットアップや運用管理ができます。開発環境やテスト環境を構築するのにも最適です。テストが終わったらそのままの環境ですぐに外部に公開できます。また、仮想サーバ上にクライアントOSを乗せることも可能なので、一時的にWindows 7などの新しいOSを入れて、サーバとの相性をテストすることもできます。 ――Web上でキャンペーンやイベントを行う際にも便利そうですね。 梅林 キャンペーンやイベントなどで一時的にリソースが必要なときも、7営業日以内ですぐに対応いたしますので、低コストでスピーディーにイベントを展開できます。インターネット回線も1,000Mbpsの共有回線を確保していますので、アクセスが殺到するような大規模なイベントにも十分に対応可能です。 ――「ビジネスプラットフォーム・シリーズ」という名称には、どのような意図が込められているのでしょうか? 梅林 弊社は中小企業を中心にビジネス向けのサービスを提供していますので、今回のサービスには、ビジネスの基盤を担っていけるサービスでありたいという気持ちを込めました。あえて「仮想化」や「Windows Server 2008」などの用語を前面に打ち出さなかったのは、こうしたバックヤードの仕組みにとらわれることなく、お客さまのご利用形態に合わせて使っていただけるサービスだからです。 ――今後はこのサービスをどのように発展させていこうと考えていますか? 梅林 一般的に、サーバを導入したあとは、サーバの運用管理業務の負荷が高くなりますので、この部分の工数削減につながる、障害監視や性能監視などのサーバモニタリングサービスのリリースを予定しております。 ――ホスティングサービスは全体的にこれからどのような方向に向かうのでしょうか? 梅林 現在はホスティングサービスに対するユーザーのニーズが非常に多様化している時代なので、さまざまなことができるサービスを増やし、ユーザーの選択肢を広げていく必要があります。「ビジネスプラットフォーム・シリーズ」もその一環としてリリースしたものです。このサービスはインターネットで使うWebサーバだけでなく、社内で使う業務アプリケーションなどのサーバにも十分使えますので、アウトソーシングのプラットフォームとしてもアピールしていきたいですね。 <用語集>
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コストバリューの高い専用サーバを |
10Mbpsの専有回線を
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イマドキの制作現場で求められるのはこの知識!
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