「『位置情報サービス』は今年の目玉になるか?」
「『位置情報サービス』は今年の目玉になるか?」
2010年3月16日
TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)
2010年の新たな“台風の目”
「foursquare」という位置情報サービスが米国で注目を集めている。主たる機能は、自分の友達の居場所を知ることができる、というものだが、そこにある種のゲーム性を加えていることがfoursquareのユニークなところだ。
ユーザーはiPhoneなどのモバイル端末にインストールしたfoursquareのアプリにログイン(foursquare用語では「チェックイン」)する。すると、現在の自分がいる場所を友人たちに通知できるという仕組みだ。サービス自体にはまだ、いわゆるSNSのような面白さは希薄だが、foursqurareでは頻繁にユーザーがチェックインすることをしむけるために、チェックインするたびになんらかのポイントがたまる仕掛けを講じており、これがユーザーにとってのインセンティブになっている。
ソーシャルアプリの新顔として注目される「foursquare」
http://foursquare.com/
ポイントを得るためのアイテムが、実在の都市のさまざまな場所にリンクした仮想空間(AR)上に置いてあり(foursquareではバッジと呼ぶ)、その場所に実際に行くことによって、ポイントを取得することができる。さらにポイントを稼ぐことで、特定の場所や友人内でのランキングが表示されることも、インセンティブになっている。
「foursquare」はiPhoneをはじめとしたスマートフォンにも対応する
要はfoursquareはよくあるタイプのソーシャルアプリであるが、iPhoneのような強力なスマートフォンプラットフォームの普及と、GPSの連携を非常にうまく使って、既存のサービスと一線を画すクールなサービスに仕上がっている。日本ではこうした位置情報と連動するソーシャルアプリは総務省の規制があって、なかなか思い切った普及に踏み込めないのだが、米国ではプライバシー問題との蹉跌が問題視されながらも急速に成長している。
競合他社も既に類似サービスを開始しており、2010年の新たな台風の目になりつつあるのである。
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。