日常的な距離感を保つユニークなSNS「Path」(後編)
日常的な距離感を保つユニークなSNS「Path」(後編)
2011年6月6日TEXT:小川 浩(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)
※本記事は「日常的な距離感を保つユニークなSNS「Path」(前編)」のつづきになります。前編をお読みでない方は、前編からお読みください。
Path(パス)は50人という、一見とても狭い範囲の交友関係をオンライン化するサービスだ。しかし、Facebookの友人数が平均130人(国別に見ると、なぜかマレーシアが平均250名以上でトップ)であり、mixiにいたっては20人強というから、Pathの人数制限はむしろ実態に即しているといえる。
コミュニケーションにおける最強ツールは携帯電話だが、携帯電話の電話帳に登録されている電話番号は、20代で平均74.8人という(ちなみに30代以上では平均51.6人となり、20代の方がより社交的であるということは明らかだ)。それらの番号はいわば「知り合い」であり、必ずしも「友人」や「家族」というわけではない。このことからもやはり、Pathの50人という人数制限は妥当といえるだろう。
B2Cにおいて、事業はサービスモデルとビジネスモデルというふたつの観点から考える必要がある。サービスモデルとしてはFacebookのミニマル版――巨大なパーティのような社交場をオンライン化したFacebookに対して、よりこじんまりとしたカラオケルームをオンライン化したものがPathだと思えばよい。しかしビジネスモデルの面では、広告事業に特化しているFacebookに対し、50人という小さな集団に対してターゲット広告を仕掛けることは難しい。つまり、Pathのサービスモデルに広告というビジネスモデルはフィットしないといえる。
Twitterもまた、140文字という文字数制限と、自身のWebサイトにトラフィックを集約しがたいという、広告事業というビジネスモデルには不向きなサービスモデルを選択したことで、売上が伸び悩む問題に直面している。
Pathがどのようなビジネスモデルを選択するかはまだ明確ではないが、Twitterほどには引っ張れない(つまりIPOもM&Aもアリで、どちらかを選択するという結論を後回しにしてサービスの成長を図っていけはしない)、いずれFacebookなりGoogleなりに買収してもらうことを狙うイグジット戦略のもとにつくられた会社であると考える。
Pathの紹介動画
iPhoneアプリ版のPath
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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