自分の考えたロボットを作品にする無料の「俺のロボ講座」とは?講師インタビュー
自分の考えたロボットを作品にする無料の「俺のロボ講座」とは?講師インタビュー
2015年07月18日
TEXT:佐藤 勝
TEXT:佐藤 勝
誰しも、少年期にはアニメやSFのロボットに夢中になったことがあるだろう。いい大人になっても、同年代の仲間と飲みに行くと、「俺の一番好きなモビルスーツは、○○だな」「俺の理想のガンダムはこんなスペックで、こんな装備がついていて…」と、ロボットについての妄想やこだわりに話が弾むことも。
そんな理想のロボットを単なる妄想にとどめず、誰でも作品として形にできる講座がこのほど開講することになった。その名も「俺のロボ講座」だ。この講座を企画し、講師をつとめるアーティスト・杉岡一樹さんにお話を伺った。
そんな理想のロボットを単なる妄想にとどめず、誰でも作品として形にできる講座がこのほど開講することになった。その名も「俺のロボ講座」だ。この講座を企画し、講師をつとめるアーティスト・杉岡一樹さんにお話を伺った。
杉岡さんは美大を卒業後、ニューヨークでアーティストのアシスタントを経験し、帰国後デザイン会社などを経て独立。現在は個人向けのシンボルマーク作成サービス「シンボルアート」や、オリジナルのカードゲームの制作・販売などを行う「青い街」を設立して活動している。
「友人たちが『ヘボコン』(技術力の低い人限定ロボットコンテスト)に出場することになって、『俺のロボがさぁ…』と口々に言い合っているのがめちゃくちゃおもしろくて、それでひらめいたんです。自分だけのロボットをもつワクワク感を誰でも体験できる講座をやりたいな、と」(杉岡さん)
講座は全5回で、公式サイトからWebフォームで申し込みをすると、解説動画つきのコンテンツがメールで届く(受講料は無料)。受付期間は7月21日(火)から28日(火)まで。
パーツを集めて実物のロボットを制作するものではなく、自分にとっての理想のロボットについて考え、コンセプトをつくり上げていくのがメインだ。講座のゴールは、「自分だけのロボット」のラフスケッチを作成すること。講座では頭のなかのイメージを視覚化する方法についても解説する予定で、「絵心や技術がなくても、考えたロボットをラフ描きすることができるようになります」という。
「友人たちが『ヘボコン』(技術力の低い人限定ロボットコンテスト)に出場することになって、『俺のロボがさぁ…』と口々に言い合っているのがめちゃくちゃおもしろくて、それでひらめいたんです。自分だけのロボットをもつワクワク感を誰でも体験できる講座をやりたいな、と」(杉岡さん)
■ゴールは理想のロボットの姿を描くこと
講座は全5回で、公式サイトからWebフォームで申し込みをすると、解説動画つきのコンテンツがメールで届く(受講料は無料)。受付期間は7月21日(火)から28日(火)まで。
パーツを集めて実物のロボットを制作するものではなく、自分にとっての理想のロボットについて考え、コンセプトをつくり上げていくのがメインだ。講座のゴールは、「自分だけのロボット」のラフスケッチを作成すること。講座では頭のなかのイメージを視覚化する方法についても解説する予定で、「絵心や技術がなくても、考えたロボットをラフ描きすることができるようになります」という。
■ロボットを取り巻く世界観を考える
しかし、理想のロボットの姿を追求するだけでは、作品として成立しない。ロボットの背景となる世界観について考えることも大切なプロセスだと杉岡さんは言う。
「友人のひとりが、いちばん好きなガンダムのモビルスーツは量産型のジムだというんです(笑)。連邦とジオンの戦争という緻密な背景があってこそ、ロボットという存在にリアリティや魅力を感じるのだと思います」(杉岡さん)
「友人のひとりが、いちばん好きなガンダムのモビルスーツは量産型のジムだというんです(笑)。連邦とジオンの戦争という緻密な背景があってこそ、ロボットという存在にリアリティや魅力を感じるのだと思います」(杉岡さん)
■理想のロボは、「自分自身を写す鏡」
アニメーション制作の現場では、1本の作品をつくるのに膨大な量の設定資料を作成する。理想のロボットが活躍する世界を創造することは、かなり大がかりだが刺激的な作業になりそうだ。
「理想のロボットを考えることは、自分にとっての理想の世界はなにか? を考えることになるわけです。戦うロボットを創造するなら、当然ながら戦争のある世界になるし、優しい友人のようなロボットであれば、人類とロボットが共存する世界になるかも知れません。ロボットの創造を通じて、自分自身を深く見つめ直し、そこから未来に目を向けていくことが、この講座の最大の狙いなのです」と杉岡さんは強調する。
無料講座で完成したロボットのラフスケッチはひとまずのゴールだが、それをどう役立てるかは自由だ。スケッチやコンセプトなどの著作権は自分のものなので、そこから壮大なストーリーを考えたり、Tシャツなどのグッズにしたりと、さまざまな展開が可能だ。ゲームや小説などの作品ができれば、ビジネスを立ち上げる可能性も広がるだろう。
「理想のロボットを考えることは、自分にとっての理想の世界はなにか? を考えることになるわけです。戦うロボットを創造するなら、当然ながら戦争のある世界になるし、優しい友人のようなロボットであれば、人類とロボットが共存する世界になるかも知れません。ロボットの創造を通じて、自分自身を深く見つめ直し、そこから未来に目を向けていくことが、この講座の最大の狙いなのです」と杉岡さんは強調する。
無料講座で完成したロボットのラフスケッチはひとまずのゴールだが、それをどう役立てるかは自由だ。スケッチやコンセプトなどの著作権は自分のものなので、そこから壮大なストーリーを考えたり、Tシャツなどのグッズにしたりと、さまざまな展開が可能だ。ゲームや小説などの作品ができれば、ビジネスを立ち上げる可能性も広がるだろう。
■参考になる講師作品も
杉岡さんは作品展開の一例として、自身の考えたロボットの世界を描いたオリジナル作品「UNGERADE(アンジェレイド)」を公開している。
「この世界では、18歳以上の人のほとんどが『パートナー』とよばれるロボットをもっている。持ち主とパートナーの脳が直結していて、考えや体験を共有できます。生活のあらゆることをパートナーがやってくれる世界だからこそ、人間がゲームで遊ぶときだけは、パートナーを待合室に待たせて、人間同士で遊べるお店ができるだろう、と考えたのです」
杉岡さんの描く世界観は、ロボットのおかげで多くの人々が幸せに暮らしている社会。そこに杉岡さん自身の希望が込められているといえるだろう。
日本の社会だけを見ても、さまざまな矛盾や課題が存在している現在だが、音声入力や人工知能などをはじめさまざまな技術が進歩し、私たちの生活を支えるパートナーのようなロボットが登場する可能性も、現実味を帯びてきている。
こうして杉岡さんのお話を聞いていると、自分にとっての理想のロボットとその世界観を考えることは、不安に満ちた時代を乗り越え、自分の望む未来に向かうための道しるべを探すことに等しいのではないかと思える。「自分だけのガンダム世界」も、決して単なる妄想ではなくなるだろう。機会があれば、自分にとっての「ロボット」に思いを巡らせてみてはいかがだろうか?
「この世界では、18歳以上の人のほとんどが『パートナー』とよばれるロボットをもっている。持ち主とパートナーの脳が直結していて、考えや体験を共有できます。生活のあらゆることをパートナーがやってくれる世界だからこそ、人間がゲームで遊ぶときだけは、パートナーを待合室に待たせて、人間同士で遊べるお店ができるだろう、と考えたのです」
杉岡さんの描く世界観は、ロボットのおかげで多くの人々が幸せに暮らしている社会。そこに杉岡さん自身の希望が込められているといえるだろう。
■自分の望む未来への道しるべにも?
日本の社会だけを見ても、さまざまな矛盾や課題が存在している現在だが、音声入力や人工知能などをはじめさまざまな技術が進歩し、私たちの生活を支えるパートナーのようなロボットが登場する可能性も、現実味を帯びてきている。
こうして杉岡さんのお話を聞いていると、自分にとっての理想のロボットとその世界観を考えることは、不安に満ちた時代を乗り越え、自分の望む未来に向かうための道しるべを探すことに等しいのではないかと思える。「自分だけのガンダム世界」も、決して単なる妄想ではなくなるだろう。機会があれば、自分にとっての「ロボット」に思いを巡らせてみてはいかがだろうか?