花王が欧州や米国のインク会社を買収-環境に配慮したインクジェット向け水性顔料インクの世界展開を加速
花王が欧州や米国のインク会社を買収-環境に配慮したインクジェット向け水性顔料インクの世界展開を加速
花王株式会社は、印刷用インク関連の海外企業2社を買収することを、2016年6月20日(月)に発表した。スペインのチミグラフ ホールディング社の事業買収契約を締結し、2017年4月に事業買収の完了を予定。また、米国のコリンズ インクジェット社の買収契約も締結し、こちらは2016年7月に買収完了を予定している。今回の買収は、新たに獲得する技術 / 生産設備 / 販売網を活用し、環境負荷の低減に役立つ商品やサービスのグローバル展開を進めることが目的だ。花王株式会社は2016年3月に産業印刷分野への新規参入を発表したばかりだが、その展開がますます広がりを見せることが予測される。
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花王株式会社による2016年3月の発表では、“顔料ナノ分散技術”を応用し、環境配慮型の新たなインクの開発に成功したことが明らかにされた。“顔料ナノ分散技術”とは、表面をポリマーで被覆することにより、顔料をナノサイズで分散安定化させる技術。この技術の応用によって、印刷工程での揮発性有機化合物(VOC)を一定基準以下に抑えられる水性インクジェット用顔料インクが開発され、高品質かつ環境に優しい印刷を実現している。今回、買収が発表されたチミグラフ ホールディング社は、パッケージ印刷用のフレキソインクやインクジェット用インクの開発 / 製造 / 販売を行う企業。また、コリンズ インクジェット社も、インクジェット用インクの開発 / 製造 /販売を手掛けている。
近年では、環境に優しい印刷の重要性が広く啓蒙されており、デザイナーなどにとっても“自分には関係ない”と避けては通れない時代となった。もちろん、ただ環境に配慮するだけでなく、見映えの質や機能性を損ねないことが、デザイナーの立場からは非常に重要な注目ポイントとなる。そのためには、最先端での研究開発が欠かせない。花王株式会社が今回のような積極的な動きを見せていることは心強く、印刷に関わる者は注目しておきたいトピックと言えるだろう。