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「世界の気になるデザイナーたち(4) newt 奈雲裕介」

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「世界の気になるデザイナーたち(4) newt 奈雲裕介」


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「世界の気になるデザイナーたち vol.004
──newt 奈雲裕介(日本)」

2008年8月6日

TEXT:蜂賀 亨
(クリエイティブディレクター/エディター)



最近「デザイン」という言葉がいい意味で浸透してきたようで、「デザイン」に対する意識も大きく変化してきたようだ。街で見かけるフリーペーパーやポスター、スーパーにおいてある食品パッケージなど、昔と比較すると、きちんとデザインを考えてつくられているものが増えてきている。

そんななか、帝京大学のフリーペーパー『feel TEIKYO』(2009 Campus life Ver.)はまるで雑誌のような内容とデザインで、いま学校関係者、デザイン関係者から注目を浴びている。大学案内や学食のメニュー、学部の紹介など、いたって内容は真面目なモノだけど、編集とデザインによって、大学案内がこんなにポップで楽しいフリーペーパーになってしまうとは、まさにデザインと編集のマジックといってもいいだろう。

帝京大学のフリーペーパー『feel TEIKYO』(2009 Campus life Ver.)
帝京大学のフリーペーパー『feel TEIKYO』(2009 Campus life Ver.)

編集・企画を担当したのはロケット・カンパニー、そしてデザインを手掛けたのはnewtの奈雲裕介氏だ。

「このフリーペーパーは雑誌っぽくつくることができて、評判がとてもよかったですね。大学業界では衝撃だったらしく、学校側も気に入ってくれました」と語る奈雲氏は、以前藤本やすし氏率いるデザイン事務所「cap」に所属し、2007年1月に独立、「newt」を設立。「少し下世話でありたいというか、強いものをつくりたいんですね。シンプルで、きれいなだけではなくて、どこか惹き付けるデザインをしたい。奇をてらったデザインではなくて、オーソドックスだけど、デザインでなにか強さを感じさせることができると思うんですね。かわいくて、きれいなだけだと僕は満足できないみたいで」と本人が語るように、彼の作品にはどこか力強さ、男らしさを感じさせるものが多い。

雑誌やフリーペーパーなどをデザインするには、的確なディレクションと迅速な作業スピードが必要だ。彼は『feel TEIKYO』全84ページを流し込みからすべて1人でやっているというから驚く。ほかにも最近では『GQ JAPAN』の別冊『GQ WATCH』(GQ JAPAN 2008年10月号別冊付録)なども手がけた。100ページ弱あるもので、撮影のディレクションから1冊すべてを1人で行った。

『GQ JAPAN』別冊『GQ WATCH』(GQ JAPAN 2008年10月号別冊付録)
『GQ JAPAN』の別冊『GQ WATCH』(GQ JAPAN 2008年10月号別冊付録)

「僕は独立してからずっと1人ですべてやっていますし、藤本さんのように、デザイン事務所としてブランディングする、あるいはスタッフを使ってディレクションすることにあまり向いていなくて、職人的に個人で目の届く範囲でデザインの仕事をしていきたいと思っています。アーティストではなく、デザイナーなので、自分の作品をつくっているといった感覚はまったくありません。クライアントがいて、クライアントが求めるコミュニケーションのお手伝いをするのが僕のデザイナーとしての仕事だと思っています」(奈雲氏)。

彼のように雑誌やフリーペーパーなど、ページ物を得意とするデザイナーは多い。彼にページ物の魅力を尋ねると、「広告の場合はクライアントの制約が多いですが、雑誌やフリーペーパーだと、担当者や編集者が理解をしてくれればデザイン的に面白いことができるということでしょうか。また、一冊のなかで流れをつくることがとても面白い。また、雑誌やカタログなどの存在感、サイズ感、触れた時の質感とかも好きですね」との答え。まさに『feel TEIKYO』はデザインによってそれまでの堅苦しかった大学のフリーペーパーを楽しく、面白いものにしている。

奈雲裕介氏のオフィスnewt

newt 奈雲裕介
ニュート・なぐもゆうすけ●デザイナー/日本大学芸術学部デザイン科卒。藤本やすし氏に師事。『Casa BRUTUS』、『流行通信』、『VOGUE NIPPON』、『GQ JAPAN』などのデザインを担当。2007年、独立後「newt」設立。
http://meetnewt.com/



蜂賀氏近影

[筆者プロフィール]
はちが・とおる●クリエイティブディレクター/エディター。ピエブックスを経て、クリエイターマガジン『+81』を企画/創刊させて11号まで編集長。その後ガスプロジェクトにあわせて、書籍「GAS BOOK」シリーズ、雑誌『Atmospehre』編集長などを担当。現在はフリーとしてグラフィックデザインを中心に企画/ディレクションなどで活動中。
http://www.hachiga.com/





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