(4)これから求められるデザイナーと開発者の協業体制
FlashはCS4にアップグレードするべきか?
Flash CS4 Professionalは、オブジェクトベースの新しいモーショントゥイーンを採用し、Flashワークフローに大きな影響を与えることになった。なおCS3までのモーショントゥイーンは「クラシックトゥイーン」として分けられているが、CS4でも使用可能だ。これからFlashを学ぶクリエイターにとってはオブジェクトベースのモーショントゥイーンを標準機能として学ぶことになるが、CS3以前からのユーザーは多少の再学習が必要になる。ただ、詳細なグラフエディティングを可能にする「モーションエディタ」や新概念のモーショントゥイーンによって作業効率が飛躍的に向上することは間違いない。 FlashについてはCS4へのバージョンアップを強くおすすめしておきたい。

Flash CS4 Professionalは、オブジェクトベースでオーサリングできる新概念のモーショントゥイーンを採用した
Adobe AIR未体験の人はすぐにトライしてみよう
今回のレポートは、クリエイター視点で見ていくのが目的であった。Adobe PhotoshopやIllustrator、Fireworksなどは素材づくりに使う業界標準ツールになっており、その役割はMacromedia時代からそれほど変わっていない。しかし、Flashの場合は違う。Webアニメーションの代表的なツールとして紹介されていたFlashと現在の超重量級のFlashとは、あまりにもスケールが違うといってよいだろう。ActionScript 3.0に手を出せず、タイムライン上でひとつずつ指定しながらモーションを構築してきたクリエイターにとって、CS4のバージョンアップは大きな希望を与えてくれた。オブジェクトベースのオーサリングは、今までの手作業に近いワークフローを大きく進化させるだろう。さらに、Adobe AIRアプリケーションの開発にFlashやDreamweaverなどの手に馴染んだアプリケーションソフトが利用でき、すでに習得したスキルやノウハウを生かせるのは大きい。
基調講演ではケビン・リンチ氏からAdobe AIRランタイムのインストール数が世界で1億を達成したという発表があり、「ところでAdobe AIRは普及するのか?」という私たちの疑問に答えてくれた。NTTドコモの執行役員プロダクト部長である永田清人氏が提示した「AIR+ケータイ」は、Flashクリエイターにとっても興味深いプレゼンテーションだったのではないか。AIR+ケータイは、PCと携帯電話(およびスマートフォン)の垣根が無くなっていくことを示しており、NTTドコモも参加しているOpen Screen Projectによって、さまざまなデバイス向けにアプリやコンテンツを提供できる環境も用意される。この動向については、Adobe Labs(
http://labs.adobe.com/)などで実施されているプロジェクトをチェックしながら追っていくことをおすすめしたい。


Adobe MAX Japan 2009にて参加者全員に配布された小冊子「Adobe Flash Platform / ActionScript Reference / Rich Internet Application Development」 。掲載されている構成図を見ると、Flash Platformの全景を俯瞰することができる

Adobe AIRエクステンションがインストールされたDreamweaver CS3もしくはCS4で、デスクトップアプリケーションのパッケージやプレビューなどが可能になる
デザイナーと開発者の新しい関係を築く
Flashクリエイターやデザイナーにとって大きなチャンスを生み出す環境が整いつつある現在、まずトライしておかなければならないことがある。それは、開発者との協業だ。ビジュアルデザインの作業に限られていたクリエイティブツールが、Adobe AIRアプリケーション開発にも活用できるようになったことで、開発者との関係も変わってくる。プレビュー版として公開されているAdobe Flash Catalyst(
http://labs.adobe.com/technologies/flashcatalyst/)は、まさにデザイナーと開発者の新しい関係を構築するためのツールだ。
今回のAdobe MAX 2009を総括すると、開発革命といってもよい「デザイナーと開発者の新しい関係構築」に収斂されていくのではないだろうか。異なる2本のワークフローが交わり、シナジー効果を引き起こす。Adobeプラットフォームの手のひらに乗って、大暴れするタイミングとしてはちょうどよい。開発キットやエクステンションの無償公開も、その流れを加速していくだろう。Flash、Adobe AIRで何かつくってみたいというワクワクした感情がこみ上げてきたら、すぐに行動してみてほしい。次のステージを見つけるきっかけになるはずだ。

Adobe Flash Platformを構成する開発アプリケーション群。開発総合環境のAdobe Flex Builder、Adobe Flex SDK、クリエイティブツールのAdobe Dreamweaver、Adobe Flash Professional、デザイナーと開発者のワークフローをつなげるAdobe Flash Catalyst