第1話 「Webの雑誌」フイナムとは | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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2004年、雑誌のページをめくるような革新的なインターフェイスで登場したファッション&ライフスタイルのWebメディア、フイナム(houyhnhnm.jp)。そのフイナムの発行人でもある(株)ライノの代表取締役である蔡 俊行氏に話をうかがった。


第1話 “「Webの雑誌」フイナムとは”


??フイナムとはいったい何でしょうか?

蔡●週刊の「Webの雑誌」です。Webマガジンというといろんな形態のWebマガジンがあるんですけど、あえて「Webの雑誌」と言いたいんですね。今までにないWebスタイルだといった意味で、「Web」上に「雑誌」がある。なので「Webの雑誌」と言っています。


??どういった経緯でスタートされたんですか?

蔡●経緯はいろいろ複合的なんですけど、自分たちで発信できるメディアのようなものが漠然とやりたかったんですね。基本的に自分たちの仕事は制作事務所として、広告を作ったり、企業のカタログを作ったり、印刷物全般の仕事、あるいはブランディングのお手伝いとか、そういったことをずっとやってきたんですけど。それは、あくまでも相手先があっての仕事であって、いわゆる受託仕事なんです。


受託仕事をやっていると、ひとつ終わったらそれで終わりってことがほとんどで。自分たちに求められるのは、いつも、より新しいものでして、クライアントも常に新しいなにかを求めています。今回は気に入ってもらって仕事をやらせてもらったけど、でも次回は新しい若手にクライアントが仕事を依頼するということもよくあります。もちろん他のレギュラーの仕事もたくさんあるんですけども。そういった意味で、自分たちでレギュラーというか、続けていける何かが欲しいとずっと以前から考えていて。


ずいぶん前にフリーペーパーをやろうという話もあったんです。その時にはフリーペーパーというビジネスモデルでどこまで成功しえるのかも検証しました。他のフリーペーパーもいろいろあるけれど、ほとんどが企業が冠スポンサーになって販促費から捻出してますよね。フリーペーパーのコストで何が一番かかるかといったら、流通コストと紙代と印刷費。これは編集料と同じくらいかかる。じゃあ、それだけの広告が簡単に集まるかといったら、なかなか広告はとれないし。ということで、結局この話はなくなったんですね。

やはり、ネット環境も関係してきていますね。2004年の10月にフイナムを始めたのですが、その前年ぐらいからようやくブロードバンド環境が整ってきて、自分としてもWebサイト上で気になるものが増えてきたし、期は熟しつつあるかなと思って。じゃあ、フリーペーパー的なものをWebでやってみようと思ったのが最初かな。でも、やるからには、収益を考えずに自己満足なものをやっても仕方がないし、かといって、収益を上げられる確信が必要なので、いろいろ調査をして、つきあいのあるクライアントに話を持っていって、広告を出してもらってスタートしました。

??現在の収益については?

蔡●現在は広告収入と物販の両方をやっていますが、広告は少しずつ入るようになってますけど、商品を売るというのはなかなか難しくて。やはりベンダーさんからの供給が一番難しいんですね。そこの問題を軽く考え過ぎていたようで。やはり専業ECサイトには大きく水を開けられている。もともと「Webの雑誌」ということでEC専業でやるつもりではなかったのでそうなってるとは思うのですが。


商品紹介ページなどもクレジットをクリックすると詳細が
わかるようになっているのはWEBならでは


??「Webの雑誌」におけるこだわりは?

蔡●ひとつ気にしていたのは「読了感」なんですね。読み切った満足感。Webサイトでも、ボリュームが少なければすべてのページを読むことができると思うんですけど、でも、リンクがあちこちと貼られてて、どこまでで終わりなのかがなかなか見えないサイトってよくありますよね。あるいは、リンクが貼られていて最終的に関連するところへ飛んでいくようになっているんだけど、結局そこは別のサイトだったり。それはそれで面白いんですけど、最初のところに戻れなくなったりすることも多かったりするし.


houyhnhnmのビジュアルページ。
紙の雑誌の見開きがそのままWeb上で展開されている

一方では、あるサイトを見ていて、そのサイトの情報をすべて読み切る前に、リンクでいろいろなところへ飛んでいっているうちに、最初のサイト上の情報を読みすごしてしまったり。リンクというのはWeb特有のものでとても便利で面白いんだけど、実際には他のサイトに飛んでいってしまうと、自分が最初にみていたサイト上の情報を何パーセント読んでるのかわからなくなってしまったりもする。

Webというのはそういった「読了感」の満足度が足らないかなと僕は思ったんですね。普通の紙の雑誌というのは一冊を読み切ったとか、一通り目を通したとか。半分まで読んだとかいう実感があるのだけど、Webにはそういった実感がない。なので、「Webの雑誌」というコンセプトにした瞬間から、情報伝達するうえでの「読了感」にはこだわるようにしましたね。

??現状の購読者は?

蔡●30前後が多いですね。

??地域的なものはいかがですか?

蔡●はっきりしたことはよくわからないんですけども、人口分布図とほぼ同じという感じです。関東圏が最も多くて地方が少ない。人口分布に比例しています。





(取材/文:服部全宏(GO PUBLIC) 写真:谷本 夏  編集:蜂賀 亨)



[プロフィール]

(株)ライノ 代表取締役 
蔡 俊行
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