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今“ 知っておくべき”ケータイサイト制作事情 第4回 “ソーシャル”と“リッチ”がこれからのケータイコンテンツのキーワード

2024.4.16 TUE

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今“ 知っておくべき”ケータイサイト制作事情

第4回

“ソーシャル”と“リッチ”がこれからのケータイコンテンツのキーワード


ケータイと相性の良いTwitterをうまく活用する

米国での成功事例を模範として、日本でもソーシャルサービスを活用する企業Webサイトが増え、ケータイサイトの企画やその立案にも影響を及ぼし始めている。まだ水面下での動きではあるが、近くソーシャルサービスによってもたらされる影響を実感することになるはずだ。 まずは関連書籍が続々登場し、現在話題のミニブログサービス「Twitter(ツイッター)」(twitter.com/)とケータイコンテンツの相性の良さについて説明しよう。Twitterは、日本では2008年春ごろから急成長したサービスで、国内の利用者は2009年9月時点で約200万人にも上る((株)ビデオリサーチインラクティブ9月発表の推計値)。米Adobe Systems社、米Hewlett-Packard(HP)社などといった海外の大手企業だけでなく、(株)朝日新聞社や(株)ユニクロなどの国内企業も次々とTwitterでの情報発信を始めている。こうした企業では速報やお得な情報の配信、顧客対応窓口といった利用の仕方が多い。また、Twitterの公式ガイドサイト「twinavi(ツイナビ)」(twinavi.jp/)をはじめ、各種便利情報のまとめサイトなども増えており、Twitterを軸にした新しい情報流通のエコシステムが誕生しそうな気配である。
ケータイユーザーの多い日本市場を意識したためか、Twitterでは2009年10月から日本のケータイ端末の公式サポートをスタートさせている【1】。140文字という手軽なコンテンツのボリューム、ユーザー間の緩やかなつながり、テキスト交換というコンテンツ特性、APIによるマッシュアップの容易さといったことを考え合わせると、ケータイとの相性は抜群だ。しかし、単なる情報提供ならば“リンクURLのPC/ケータイサイト振り分けのケア”程度で十分であり、クリエイターによるアイデアや活用法の提案が期待される。

たとえば筆者は、ケータイサイトが苦手な集客への活用が期待できると考えている。写メール投稿や位置情報検索、友人同士のアカウント交換、メールマガジンなどケータイならではのコンテンツとTwitterを連動させる。ポイントは結果や利用履歴をユーザーアカウントから自動投稿する仕組みをつくること【2】【3】。利用したユーザーだけでなく、その人とつながっている人たちへの話題提供や参加につながり、結果的にケータイサイトへの新規集客ツールとなる。

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【1】2009年10月から日本のケータイ端末に対応。Twitterというサービスは
もともと携帯端末での利用を前提につくられていたという説もあり、ケータイとの連動が注目される

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【2】診断コンテンツや写メールを使ったエンタメコンテンツなどでは、
ユーザーのアクションをユーザーにメールなどでフィードバックしていた

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【3】結果のフィードバックをAPIを通じてTwitterにも自動投稿することで、
サービスがTwitter上で話題になり、また新規利用者獲得にも効果を発揮するようになる

ソーシャルアプリのマーケティング活用事例

国内のソーシャルサービスでもおもしろい動きがある。「mixi」(mixi.jp/)や「モバゲータウン」(www.mbga.jp/.pc/)など人気のSNSが相次いで外部へのAPI提供を開始した。ソーシャルアプリを使った“第2のSNSブーム”が始まろうとしている。先行しているmixiの場合、2009年9月の「mixiアプリ」導入によって「YouTube」(www.youtube.com/)を抜き、Yahoo!に次ぐ総利用時間国内2位に躍り出た(ネットレイティングス㈱調べ)。さらに10月にはモバイル版アプリもスタート。「サンシャイン牧場」のように短期間で数百万人規模の参加者を獲得したアプリもある。この勢いを企業マーケティングに利用しない手はない。11月には企業が提供するmixiアプリはPC限定となっているが、まもなくケータイ版企業アプリも登場するだろう。企業ケータイサイトのメールマガジン登録、キャンペーン告知と連動してアプリを提供することで大きな効果が期待できる。mixiアプリでもポイントになっているのが「○○さんが……をしました」という利用状況(アクティビティフィード)の通知だ。
また、友達をアプリに招待することで特典が得られる“お得の連鎖”もバズの広がりを後押しする。ユーザーに楽しさを提供しながらゲームを通じてブランディングを実施。さらに、自社サイトへの集客も実現できるという点では、今までにない新しいケータイコンテンツ活用の世界が開くことになりそうだ【4】【5】。

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【4】企業が提供するソーシャルアプリを通じて、より多くのユーザーにブランド体験を提供し、自社マーケティングへとつなぐことができる。もっとも、企業版ソーシャルアプリを提供する場合にはSNSとの広告契約が必要になる。SNS公式の広告アプリ展開のほか、既存の公開アプリ内での広告モデルなども登場するかもしれない<

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【5】mixiアプリ開発者向け「mixi Developer center」(developer.mixi.co.jp/appli)。ソーシャルアプリケーション開発を行うことで、これまでになかった新たなケータイコンテンツの活用法が生まれそうだ

ユーザーを引き付けるリッチなサイト表現とは

ここで“イマドキ”のケータイでのリッチ表現について述べておきたい。端末の機能向上やパケット定額制の普及によって、ケータイサイトの表現力はPCとほぼ変わらないレベルにまで達している。HTMLメール配信、Flashコンテンツはほぼすべてのケータイで利用可能な状態だ。Webサイトの“見た目”をリッチ化することで利用者数を増やしたり、マーケティング効果を上げたりしたという例は数え切れないほどある。リッチ化は公式サイトや一般サイト、また企業広報・商品販促・ECサイトなどの各カテゴリを問わず効果的な活性化のための手法である。
ケータイサイト制作を手がけるうえで「制作準備中のケータイサイトはほかと比べて見劣りする表現になっていないか」、「現在、稼働中のケータイサイトは古臭いデザインに見えないか」といった部分にはつねに留意する必要がある。リッチなデザインのケータイサイトを紹介するPC向けWebサイトや書籍、雑誌等もあるので、それらをまず参考にしてみてもよい【6】。幸いメールやサイトのリッチ化を実現するために必要なソリューションの価格は、競争激化により値下がり傾向にある。たとえば、トップページとメルマガ表現を変えるだけなら、リニューアルの予算も手間もそれほどかけずにユーザーの感じる印象をがらりと変えることができる。

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【6】ケータイサイトのデザインやレイアウトの解説に特化した書籍や、モバイルデザインアーカイブ(mobiledesignarchive.jp/)をはじめとした優れたデザインのケータイサイトを紹介するWebサイトやブログが増えている。それらを参考にしてみるとよい

Column “イマドキ”と“不変”のもの

“イマドキ”を意識したWebサイト制作は、活性化しているユーザーを味方につける効果がある。アーリーアダプター(初期採用者)やアーリーマジョリティ(後期採用者)を巻き込むことでプロモーションに弾みをつけるための戦略だ。一方で変えてはいけないこともある。ケータイサイトの「ユーザーインターフェイスのルール」はそのひとつだ。たとえばPC並みのリッチ表現が可能なのは事実だが、ケータイサイトをPCサイトのようなUIにすればよいということにはならない。ケータイサイトにはケータイで利用しやすいUIのルールがある。Flashを使ったPCサイト風なデザインのサイトが増えているが、それが必ずしもユーザーの満足度向上になっているわけではないようだ。過去に、PC向けWebサイトが一斉にFlashによる差別化競争をしたのち、ユーザビリティ優先デザインに戻っていったように、ケータイサイトにおいても「差別化」と「ユーザーの使いやすさ」の両立する着地点探しが模索されている。



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