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今“ 知っておくべき”ケータイサイト制作事情 第7回 これからケータイサイトをつくるうえで知っておきたい・考えておきたいこと

2024.4.18 THU

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今“ 知っておくべき”ケータイサイト制作事情

第7回

これからケータイサイトをつくるうえで
知っておきたい・考えておきたいこと


ケータイサイト活用の本質を見極めるふたつの法則

ケータイサイトにまつわる“幻想”や“誤解”は多い。本来「ケータイでできること・できないこと」、「クライアントに実現可能なこと・可能でないこと」を整理しなくてはならないのだが、競合他社の事例をまねたり、PC向けWebサイトの成功法則をそのままケータイサイトに当てはめようとしたりして失敗するケースが多い。
ケータイマーケティングは正しく運用しさえすれば、ほかでは得られないほど高い効果が上がる。高いROI(投資利益率)と顧客満足が両立可能であり、しかも持続性がある。しかし、うまく波に乗るには戦略とコツが必要だ。少なくとも大失敗しないことを目標にするのであれば、知っておきたい法則がある。『ケータイの集客力は既存顧客接点とセットで発揮される』と『ケータイは顧客との強い接着力を生かして効果をつくる』というふたつの法則である【1】。

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【1】ケータイサイト制作と運用における重要なふたつの法則。
これさえ押さえておけば、失敗の可能性は低い

ケータイマーケティングにおける3つのフェイズ

前述したふたつの法則は、企業サイトがたどる一定のパターンとぴたり符号する。まず、ケータイサイト立ち上げ期には、新規ユーザーを誘導しても、ほぼ全員が離脱するような状態がある。この現象は、ユーザーがWebサイトに一定の信頼を持たないとアクションしないことに起因する。ある程度の数のメールマガジン会員を獲得し、彼らと一定の信頼(クレディビリティ)を結ばないうちは目立った効果が出ない「死の谷」のフェイズだ【2】。この状態の期間は平均的に3~6カ月、長い場合は1年近くになることもある。回避するためには、『ケータイの集客力は既存顧客接点とセットで発揮される』法則を使う。店舗接客や商品パッケージなど、ユーザーがすでに信頼を寄せている接点を活用して直接ケータイメルマガの登録案内をするのが効果的だ。

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【2】「死の谷」、「黄金のゴキブリ」を経て、「天国への階段」を駆け上がることで、
ケータイサイトはほかでは見られないほどの高い効果を上げる

メルマガの返信ひとつは30~50倍の価値がある

メルマガはケータイ活用の最重要ツールだ。配信を続けていると、あるときメルマガにユーザーからの自発的な返信/感想メールが送られるようになる。「いつもメルマガが楽しみ」など自発コメントが来るようになったら、死の谷越えが近い証拠だ。その裏には30~50倍の親派ユーザーがいると推測される。この状況をたとえて「黄金のゴキブリ」メールと名づけている。これは顧客への接着力が効きはじめているサイン、「福音」だ。そこを抜けると一気に「天国への階段」を駆け上がることができる。これが『ケータイと顧客との強い接着力を生かして効果をつくる』シナリオだ。

うまくいくケータイサイトとはどのようなものか?

では、ユーザーの信頼獲得には一体どのようなコンテンツをそろえるのが望ましいのだろうか。これについては【3】を参照してほしい。こうしたコンテンツは簡単に制作可能であり、業種やビジネスの形態にかかわらず、ユーザーとの絆を深めてくれる。ぜひ設置することをお勧めしたい。これで「メルマガ配信」→「アンケート参加/メールの募集」→「寄せられた声を分析」→「喜びの声をサイト掲載」……という流れが生まれる。担当者が登場するコーナーでキャラクターを打ち出し、寄せられた声の紹介コーナーではラジオのパーソナリティ的なコメントを入れることが理想的だ。ECサイトであればユーザー参加型に商品販売コンテンツをプラスし、店舗や商品の販促サイトであればアクション誘導コンテンツをプラスで設置しておきたい。
ケータイは顧客ユーザーとのコミュニケーションを太くする(顧客に強く接着する)ことなしでは、EC利用や来店といったアクションにつながらない。まずは顧客との絆を深めるコンテンツをしっかりとつくり込んでおく必要性がある。そして、1週間~2週間に1回程度の頻度でメールマガジンを発行し、メルマガの中で上記コンテンツのトピックを紹介してサイトへと誘導する、というのが有効な運営パターンだ。

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【3】うまく効果を上げるケータイサイトにするためのコツは、

ユーザーとの絆を深め、流れを物語化することだ

購買履歴をもとにしたCPMという売り方

ケータイマーケティングは最初から大成功を狙うよりも、基本に忠実に、小さくスタートさせるのがよい。「死の谷」の向こうの「天国への階段」を目指す覚悟ができたら、即座にWebサイトをつくってみるのがいちばんだ。実際に既存の顧客接点でどのようにメルマガ案内をすればよいのか、案内したときにどれだけの人がケータイサイトに来るのか、来た人はどのような動きをするのかを確認するという意味がある。これを「β運用」または「プロトタイピング」という。
ケータイサイトの構築に必要なツールとして、今ではとても便利なサービス(ASP)がそろっている【4】。月額1万円程度でケータイマーケティングに必要な機能すべてを手に入れられるようなものもあれば、飲食店やアパレル店など利用する業態別にカスタムされた状態からケータイサイトを構築できるものもある。DIY的に利用すれば、それほど大きな投資は必要ない。
ケータイサイト構築ツールを利用するときに注意するポイントはふたつある。β運用でスタートさせたとしても、ケータイサイト運用に成功したときにそのままスケールを拡大できる仕様のサービスを選ぶことだ。たとえば、メルマガの配信上限数は万単位で増やせるかなどは重要なポイントだ。もうひとつは、成功するまで考えられる限りの試行錯誤を繰り返すこと。そのためのアクセス解析機能やQRコード発行機能、来訪経路分析機能などはあったほうがよいだろう。今の世の中でケータイを利用していない人は極めて少ない。60代でも過半数がケータイメールを利用している時代だ。ケータイサイトがうまくいかない理由は“ケータイがダメ”なのではなく、ほかに理由があると心得ることが大切だ【5】。

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【4】ケータイサイト構築のために必要なASP(Application Service Provider)
は便利で安価なものが多く、その選択肢も広がっている

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【5】筆者も執筆参加した『モバイルマーケティングを活性化する 企業携帯サイトの構築』
では事例も紹介している。参考資料に

Column メールマガジンでのおもてなし

「ケータイ(サイト)はメルマガが中心のマーケティングだ」というと、「PC向けWebサイトの世界ではとうの昔に絶えた手法ですね」という人がいる。PC向けWebサイトのマーケティングでは、メルマガよりもSEOが主流になっており、ケータイサイトでもメルマガよりもSEOが大切だと信じている人は多い。しかし、筆者の実体験でいえば、SEOよりはメルマガ登録にパワーを割いたほうがビジネスが早く立ち上がる。その理由は、ケータイメールが無視されにくいためだ。平均的に5~6割のユーザーが届いたメールを見ると言われている。また、SPAMのようなメールであると感じれば、ユーザーはすぐに配信解除される。メルマガ配信のたびにこの配信登録の解除数をチェックすることは、ある程度クオリティのバロメーターとなる。また、ケータイSEOではサイトの表示順位を上位に上げることに成功しても、そこからの訪問者をコンバージョンに結びつけることは難しい。むしろ店舗のスタッフが地道にメルマガ案内しています、という企業のほうが大きな成功を収めているように見える。

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