アメーバピグ成功の裏にあるクリエイティブワーク インタビュー(1) | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

アメーバピグ成功の裏にあるクリエイティブワーク インタビュー(1)

2024.4.24 WED

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インターネット広告 株式会社サイバーエージェント


今や利用者数が1,000万人を超える人気のアバター・サービス「アメーバピグ」。親しみやすいキャラクターデザインやわかりやすい操作性、多彩なコミュニケーションエリア、完成度の高いゲームなど数々の魅力を持つこのサービスだが、その成功の裏にはどのようなクリエイティブワークが隠されているのだろうか。同サービスを運営する株式会社サイバーエージェントのプロジェクトマネージャーやデザイナー、Flashクリエイターに話をうかがった。

「アメーバピグ」とは
「アメーバピグ」は株式会社サイバーエージェントが2009年2月から開始したアバター・サービス。自分に似た2頭身の「ピグ」と呼ばれるアバターを作り、「渋谷」や「浅草」など現実の街を模した広場や、「江戸時代」や「大航海時代」などタイムトラベルの世界などを舞台にリアルタイムにチャットのようなコミュニケーションを楽しむのが主な機能で、「釣りゲーム」や「カジノ」などのゲームで遊んだり、アイテムを購入したりすることができる。ピグ上で仲間を作ってパーティーなどのイベントを開催することも可能だ。自分の部屋や庭、着ている服なども多彩にカスタマイズできる。

オフィシャルサイト:http://pigg.ameba.jp/
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アメーバ事業本部
ピグディビジョン
プロジェクトマネージャー

山崎眞由子さん
アメーバ事業本部
ピグディビジョン
Flashデベロッパー
堀江優さん
新規開発局
フロントクリエイティブグループ
デザイナー
伊東貴代さん
サイバーエージェントに新卒として入社して今年で5年目。マーケティング部を経てから女性向けコミュニティサービス「プーペガール」のプロデューサーを担当し、2010年に「ピグ」に配属。ピグではカジノゲームや昭和エリアの立ち上げ、サービス内雑誌「ピグマガジン」の運営などを行う。現在は12月に向けてクリスマスイベントの企画などに取り組んでいる。 広告系の会社で企業のキャンペーンサイトやフルFlashのスペシャルサイトを数多く手がけたあと、2010年7月に同社に転職。アメーバピグ内花火大会での花火の打ち上げアニメーションやピグ2周年の記念エリアである宇宙エリアの制作などを担当し、今年夏からは昭和の町エリアの目玉ゲームである「めんこげーム」の企画・開発を手がける。 広告代理店のグラフィックデザイナーからサイバーエージェントに転職して今年で2年目。当初はピグのイラストレーター兼デザイナーとして活動し、「釣りゲーム」や「中国エリア」などのアートディレクションを担当したあと、来春に正式リリース予定の「サバイバルゲーム」のデザインを担当。





Interview(1)

ピグの楽しさを生み出す企画づくりとマネージメント


──ピグのプロジェクトマネージャーとはどのような仕事ですか?

山崎●新しいエリアやゲームを作る際に、ゴールを設定して、製作過程でデザイナーやエンジニアの要望をとりまとめをしたり、制作の現場がスムーズに動けるように管理したりする仕事です。企画も含めてプロジェクトに関わるすべてを見る必要があります。企画については叩き台となる案や数字の部分などは私が用意することもありますが、ひとりだけで練るというよりは、各プロジェクトに関わるメンバー全員で要件を決めていくケースがほとんどですね。要件が確定すれば、スケジュールを設定して進行管理も行います。1つのサービスがリリースするまでには色々なステップがあるので、その都度デッドラインを決めつつ、各担当メンバーと日々細かくコミュニケーションをとりながら進めていきます。

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カジノゲーム
山崎さんがピグで最初に担当したカジノゲームの画面。賭けに参加しなくても勝負を見られる観戦モードを搭載する


──コンテンツを作る上で心がけていることは?

山崎●ピグで私が最初に担当した仕事は「カジノゲーム」の立ち上げでした。当時、ピグで提供するゲームは釣りゲームしかなく、男性向けに新しいゲームを提供しようということでカジノに決まりました。プロジェクトを開始するにあたって、実際にラスベガスに視察にも行ってカジノを体験してきました。そのときに強く印象に残ったのが、カジノという場所は、賭けに参加しなくても、みんなでテーブルを囲んでワイワイ盛り上がるだけで楽しめる、ということでした。周りの友人たちが応援している楽しい雰囲気をピグでも表現したいと思い、「観戦モード」という機能を用意しました。観戦しながら「がんばれ!」と応援すると吹き出しが流れる仕組みです。「カジノゲーム」だけでなく、どのプロジェクトでもキックオフのときは、釣りゲームなら釣りに行きますし、サバゲー(サバイバルゲーム)ならサバゲーに行って「この遊びの面白さは何だろう?」ということを探りますね。リアルで体験したワクワク感をピグでも味わえるように心がけています。

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コンテンツ画像のサムネールや進行管理表
コンテンツ画像のサムネールや進行管理表、仕様書などさまざまな資料を使い分けながら仕事を進めていく


──ピグの魅力はどんなところですか?

山崎●まず、アバターのデザインがかわいい点や、アバターを自分そっくりに作って身近な存在にできるということが挙げられます。あと、常に変化しているというのも魅力ですね。ピグでは定期的にイベントを開催していますし、多彩なアイテムも次から次へと登場します。先日は、新たに「ピグマガジン」というピグ内で読める雑誌も発行しました。私たちスタッフ側もユーザーを「飽きさせない」というのは強く意識していますね。新しいサービスも出した直後は人気があっても、放置していればすぐに飽きられてしまうし、最初は人気がなくてもリリース後の運用によって“化ける”サービスもあります。つまり出してからが勝負、ということですね。ピグでは日々開催しているイベントや機能の改善など、歩みをとめることなく、運用を続けているので、その辺りも支持していただいているのではないかと思います。

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席は職種別に分かれていなくて、プロジェクトのスタッフ同士で話しやすい雰囲気
「席は職種別に分かれていなくて、プロジェクトのスタッフ同士で話しやすい雰囲気です」と語る山崎さん



──今後はピグをどのように発展させていきたいと思いますか?

山崎●ピグは操作性がわかりやすく、ソフトウェアをインストールする必要もないので若い人だけでなく年配のユーザーの方もたくさんいらっしゃいます。友人の話ですが、「彼氏をお母さんに最初に会わせた場所がピグだった」という人もいるくらいで(笑)。あとは遠距離恋愛や同窓会の通信手段などにも利用されています。今も多くのユーザーさんに使っていただいて、人それぞれ色んな楽しみ方でピグを利用されていますが、この先ももっと多くの人に使っていただきたいと思っています。ほかにはない独自のサービスとして、ゲームもできるしコミュニケーションも可能な、「ここに来れば絶対に楽しいことがあるよ」という場所に育てていきたいですね。

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山崎さんが現在担当するピグ上のオンライン雑誌「ピグマガジン」
山崎さんが現在担当するピグ上のオンライン雑誌「ピグマガジン」。ピグの楽しみ方や有名人へのインタビューなどの記事を読める


──プロジェクトマネージャーやプランナーを目指す若い人にメッセージをお願いします。

山崎●私自身はデザインもできないですし、システムを組むこともできませんが、これだけの“モノ作り”に関われるということに大きなやりがいを感じています。この仕事に必要なのは、多方面にアンテナをはって、色々なものに興味を持つことではないでしょうか。たとえば当社にはネット好きはもちろん多いですが、アイディアのヒントはネット以外のところにも、映画でもなんでもたくさんあります。さまざまなものからヒントやアイディアを得て、それを元に色々な職種の人とモノを作っていく仕事なので、常に幅広く興味を持つことが大切だと思います。挑戦しようとする人にチャンスをくれる職場なので、そういう環境も幅広い興味を持つことに役立っていると思います。また、当社はメンバーみな仲が良く、イベントも多いですし、自然と職種の壁を越えて話す機会が多いのもありがたいですね。


(取材・文:片岡義明 写真:片桐 圭)


目次
>>> 山崎さんが語る「ピグの楽しさを生み出す企画づくりとマネージメント」
>>> 堀江さんが語る「クリエイター側から提案した新ゲーム『めんこ』」は2ページ目へ
>>> 伊東さんが語る「新ゲーム『ピグサバゲー』に込めたデザイナーのこだわり」は3ページ目へ

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