第4回「PUMA ONE CLICK TO JAMAICA」 - WEBクリエイティブの舞台裏 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

第4回「PUMA ONE CLICK TO JAMAICA」 - WEBクリエイティブの舞台裏

2024.4.19 FRI

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新しく生まれるプロジェクトには、多くの人が見る「完成図」の裏側に、そこに至るまでの多くの人々の考えやアクション、努力がある。とかく人気クリエイターにスポットがあたりがちなクリエイティブの世界で、プロジェクト全体を俯瞰し、その舞台裏を通じてプロジェクトそのものに焦点をあてるのが本連載「WEBクリエイティブの舞台裏」である。


第4回「PUMA ONE CLICK TO JAMAICA」



PUMA ONE CLICK TO JAMAICA



大手スポーツメーカーであるプーマのランニング、ウォーキング関連商品である“プーマ ランニング”のキャンペーンコンテンツとして展開された「PUMA ONE CLICK TO JAMAICA」。Facebookアプリとして公開され、すでにキャンペーン期間は終了したが、コンテンツはまだ楽しむことができる。今回は、このプロジェクトに携わったプーマ ジャパン株式会社の関谷雄二さん、株式会社コムニコの市川伸一さん、そしてクリエイティブを担当された株式会社ピクルスのタナカミノルさんに、制作の舞台裏を伺った。


左から関谷雄二さん(プーマジャパン)、市川伸一さん(コムニコ)、タナカミノルさん(ピクルス)
左から関谷雄二さん(プーマジャパン)、市川伸一さん(コムニコ)、タナカミノルさん(ピクルス)




レジェンドとともにプーマ ランニングを記憶に刻む


――プロジェクト始動のきっかけは?


関谷●今季は世界陸上が行われた年とあって、プーマ ランニングをメインとしたプロモーションを展開していました。その中で、新商品としてFaasがあり、これをメインとしながらプーマ ランニングの訴求を行うことを目的としてスタートしました。


市川●今回のお話しをいただいた時点で、すでに関谷さんがいろいろなアイデアをお持ちで、プーマ ランニングの訴求においてもイメージキャラクターであるウサイン・ボルトがプーマ契約アスリートであることをアピールしたいということでした。そもそもプーマさんのスタンスとしては“スポーツを楽しむ”という考え方があり、まさにそれを具現化しているのがボルトなのです。


関谷●Faasに関してはTVCMなどにより、プーマとしても最大規模のマスプロモーションを展開してはいましたが、それが終了したあとでも長く記憶に残すために、Webコンテンツでのフォローが重要と認識していました。世界陸上では、おそらくボルトが世界新記録をマークするだろうと予想していました。それは伝説として記憶されるほどのイベントになるだろうと。その伝説と連動したコンテンツを展開することで、ファンの方の記憶に長く残ることを狙ったのです。


――Facebookアプリとして展開した理由は?


関谷●すでに開設していたFacebookファンページですが、ファンの方の数が500程度と幅広い認知には至っていませんでした。したがって、ファンの方を増やすということが目的のひとつでした。


市川●Facebook自体がまさに広がり始めたばかりですから実数値として小さいのは当然としても、Facebookユーザーには潜在的なファンの方が多くいるだろうと予測していました。問題はまだ十分に認知されていないことであり、対策としては注目を浴びるためのキラーコンテンツが必要だろうと考えました。


関谷●今だからこそFacebookで展開するといった狙いもありました。Facebookユーザーの口コミによる伝播力・拡散力に期待したところもあります。ボルトがプーマアスリートであること、スポーツを楽しむというプーマの思想を、それがより突き刺さるファンの方に広く伝える手段としてFacebookが有効だと考えたのです。



「PUMA ONE CLICK TO JAMAICA」は、ウサイン・ボルトの男子100mの世界記録「9.58秒」に体感速度でチャレンジするアプリ。9.58~10.50秒間で記録を残すと、抽選でプレゼントが当たるというプーマ ランニングコレクション「Faas」のプロモーションコンテンツでもある(すでにキャンペーンは終了しているが、アプリは2011年内は公開している)
「PUMA ONE CLICK TO JAMAICA」は、ウサイン・ボルトの男子100mの世界記録「9.58秒」に体感速度でチャレンジするアプリ。9.58~10.50秒間で記録を残すと、抽選でプレゼントが当たるというプーマ ランニングコレクション「Faas」のプロモーションコンテンツでもある(すでにキャンペーンは終了しているが、アプリは2011年内は公開している)
ゲーム内容は体感速度で測るタイムアタック。体感として時間をカウントして、世界記録である9.58秒から10.50秒の間でストップボタンを押すだけというシンプルな操作性により、誰でも同じように楽しむことができる
ゲーム内容は体感速度で測るタイムアタック。体感として時間をカウントして、世界記録である9.58秒から10.50秒の間でストップボタンを押すだけというシンプルな操作性により、誰でも同じように楽しむことができる



――クリエイティブをピクルスさんが担当したきっかけは?


市川●Flashコンテンツの開発実績が多数ありますし、Facebookアプリの開発実績もあるということが大きな要因ですね。特にFacebookアプリの開発はノウハウが必要ですから。また、今回のプロジェクトは開発期間がすごくタイトなことがわかっていましたから、コミュニケーションロスを可能な限りなくすことも重要でした。もともとピクルスさんとは何度か仕事をしていたこともあり、コミュニケーションがスムースであることは分かっていました。なおかつピクルスのタナカさんは、細かいことを積み上げていくタイプ。そして必ずプラスアルファのアイデアが出てくること。さらにマーケティング的な視点をお持ちであり、クライアントの意図を適確につかんでくれる点も、ピクルスさんにクリエイティブを依頼した要因です。


――初期段階ではどんな提案があったのでしょうか?


タナカ●お話しをいただいた時点で“タイムアタック”というアイデアは与件としていただいていました。Facebookアプリとして、すばやく簡単に楽しめるコンテンツが求められていると考えました。


市川●ほかにもボルトとレースをするゲームといったアイデアもありましたが、今回のコンテンツと比べるとよりゲーム性の強いものでした。指2本で操作して画面上で走るといったアイデアで、それなりに面白さはあったのですが、ゲームを楽しむよりも、コンテンツ自体はシンプルに楽しむことができて、さらにインセンティブなどが期待できる。ゲームが上手い人が楽しむのではなく、誰もが同じレベルでシンプルに楽しめることが必要でした。


関谷●多くの人が経験があると思いますが、ストップウォッチ機能付きの時計で10秒ジャストで止めるといった遊びがありますよね。あれをイメージしたんです。誰でも簡単に遊べて、しかも人と競うこともできる。そんなコンテンツができないかと考えていたんです。


市川●Facebookアプリというお題も与件段階でありましたから、“すばやく簡単に”という点は重要でした。事前調査でも、国内のFacebookユーザーがアプリに費やす利用時間は1カ月に長く見積もっても4分程度だと想定されました。同時にFacebookアプリがファンの方を増加させる誘引剤となっていることもわかっていました。そこで、数十秒程度で楽しめるアプリを提供することでファンの方を増加させるという初期の目的の達成を目指したのです。


関谷●お題としては“ワンクリック”にもこだわりました。ワンクリックでジャマイカ旅行が当たる!このくらいのシンプルさが、Facebookユーザーにはウケると思ったのです。ゲームとしてのシンプルさが、継続性につながると。初期の目的はファンの方の獲得ですが、継続性も重要。リピーターを獲得して繰り返し楽しんでもらうことで口コミの伝播力も高まるはずだと。僕自身、ネットやゲームに長時間費やすほうではないんですよね。もちろん、そういう人も多いとは思いますが、今回のプロモーションはプーマ ランニングのファンの方に向けたもの。シンプルに楽しめるコンテンツこそ突き刺さると考えたのです。




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エイクエント

エイクエント

エイクエントは、1986年米国ボストンで設立、現在世界7カ国に拠点を持ち、マーケティング、デザイン専門の人材エージェンシーとしては世界最大級です。そのネットワークと世界各地で培われたノウハウが、多くのスペシャリストの皆様から厚い信頼と高い評価を受けています。マーケティング、デザイン分野でお仕事をお探しの皆さまはぜひご連絡をください。

URL:http://www.aquent.co.jp/

「WEBクリエイティブの舞台裏」はクリエイティブ専門の人材エージェント「エイクエント」の提供でお送りします。

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