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​CMSを導入するメリット(後編) - Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策

2024.4.20 SAT

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Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策

サイト構築&運用 5-01
CMSを導入するメリット(後編)

近年、簡単かつ効率よくWebサイトを構築できる手段として、大きな注目を集めているCMS。ここでは、CMSを導入することのメリットと、主なCMSの特徴などについて簡単に紹介していこう。

制作・文/星野邦敏(株式会社コミュニティコム)



主なCMSの特徴(3)

Webサイトの新規制作だけでなく、リニューアル案件においても、CMS導入は現在増加傾向にある。

CMSには様々なものがあり、用途と特徴に合わせていろいろ探してみるといいだろう。数多くのCMSの中から、導入事例の多いCMSや特徴のあるCMSを、いくつか紹介していくので、ぜひ参考にして欲しい。


MicroEngine

「MicroEngine」(マイクロエンジン)【01】は、後付け型CMS」という特徴のあるCMSと言えるだろう。たとえば既存サイトをリニューアルする際に、今まで静的ページとしてHTMLとCSSで作っていたサイトの全ページをCMSに切り替えるのは工数がかかる。そこでMicroEngineでは、更新頻度の高い項目のみをCMSとして更新可能にするという方法を行っている。これを称して「後付け型CMS」と呼ばれているということだ。

コンテンツは静的に配信されて生成されるので、後付けした後でもサイト閲覧者から見たら違いは感じられない。

さらに、データベースはPHPに含まれているSQLiteを使うため、プログラム側でPHP5.1以降の環境があれば導入できるのも特徴的だ。

商用ライセンスが基本となるが、非商用の個人利用に限り無償で使うことができる。2011年に正式版がリリースされた後発のCMSではあるが、導入事例も出てきているようだ。既存サイトの一部分のみをスムーズにCMS化したい場合には、お勧めのCMSと言える。

【01】MicroEngine(マイクロエンジン)http://microengine.jp/
【01】MicroEngine(マイクロエンジン)http://microengine.jp/


その他のCMS

その他にも、紙面の関係で詳しく紹介することができないが、一般的な企業サイト制作などに適しているオープンソースで無償で構築できる汎用型CMSとして「concrete5」「Joomla!」「Drupal」「MODX」「TYPO3」「SOY CMS」など、商用ライセンスで有償で構築できる汎用型CMSとして「a-blog cms」「Expression Engine」など、オープンソースライセンスと商用ライセンスの両方のライセンス(デュアルライセンス)がある汎用型CMSとして「eZ Publish」「BaserCMS」「Movable Type」などがある。


CMSのライセンスについて

これまで代表的なCMSを紹介してきたが、どのCMSを使うかの選定にあたっては、各CMSの特徴や動作仕様の確認だけでなく、各CMSに紐付くライセンスにも注意しておく必要がある。

CMSには大きく分類すると、商用CMSとオープンソースCMSがある。

商用CMSは、その名の通り、導入は有償となり、ライセンス費用だけでも初期で数万円から数百万円の費用がかかる。その代わり、CMS導入にあたって不具合があった場合などにはそのCMS開発元の保証を受けられることが多い。

一方で、オープンソースCMSは、ライセンス費用がかからないことから無償ではあるが、無保証であり、導入にあたって不具合があった場合には自己解決または導入業者が解決する必要がある。

世界的な流れとしては、オープンソースCMSの導入事例が多い傾向にあるが、日本の場合には保証を気にするケースが多いようだ。その場合には、ライセンス費用はかかるが商用CMSの導入を検討した方がよいかもしれない。

依頼者が制作にコストをかけられない場合には、ライセンス費用のかからないオープンソースCMSを提案する方法もあるだろう。また自らで導入する場合にはオープンソースCMSの方がライセンス費用がかからずに制作することができる。

最近は、日本の大手企業のサイトにおいても、オープンソースCMSの導入事例が増えていることから、オープンソースを使いやすい環境は日本でも整ってきていると言えるだろう。


ライセンス形態

オープンソースCMSのライセンス形態の中も、さらに分類ができる。具体的には、GPLライセンス・FreeBSDライセンス・MITライセンス・PHPライセンス・Apacheライセンスなどがある。

これらは全て、一般的に「オープンソース」と呼ばれるものだが、それぞれのライセンス形態でかなり違いがあるので注意が必要だ。

たとえば、GPLライセンスは、そのCMSに基づく派生物を再配布した場合には、その派生物にもGPLライセンスが承継される。たとえば、特定のGPLライセンスのCMSに基づいて派生したプラグインやモジュールを作って有料で販売することはできるが、購入した人が無償で配布することを制約できない。なお、再配布しない場合には公開義務はない。

一方で、MITライセンスやPHPライセンスであれば、GPLライセンスのように派生物にライセンスが承継されないので、有料販売もしやすいだろう。

実際に、「concrete5」【02】というオープンソースCMSは、MITライセンスで公開されており、英語ではあるが、開発者が有料での販売が可能なマーケットプレイスが公式で用意されている。

ちなみに、上記の例の中では、GPLライセンスとApacheライセンスは比較的条件が厳しく、FreeBSDライセンス・MITライセンス・PHPライセンスは緩い。

このように、CMSの選定にあたっては、その後の運営まで考えて、各CMSの特徴や動作仕様の確認だけでなく、ライセンスについても注目した方がよいだろう。

concrete5(http://www.concrete5.org/marketplace/)
【02】concrete5(http://www.concrete5.org/marketplace/


各CMSの情報の調べ方

以上のように、一言で「CMS」と言っても、その種類は非常に豊富だ。これから導入する人や業者にとっては、その選定方法だけでも悩むところだろう。

導入事例の豊富なCMSを選定した方が、その後のバージョンアップなども見込めることからお勧めではあるが、場合によっては特殊な仕様を満たすために、多くのCMSを調べる必要があるかもしれない。そのような時に、各CMSが横断的に紹介されているカンファレンスや動画配信サイトがあるので、最後に紹介しよう。


オープンソースカンファレンス

オープンソースカンファレンス【03】は、月1回程度のペースで、全国各地のいずれかの場所で開催されているオープンソースのイベントだ。場所や時期にもよるが、多い時には1,000人以上が参加する。

オープンソースのCMSに限定はされるが、各CMSを導入している企業や団体がブース出展していて、講演も用意されている。詳しい人に直接話が聞けて、一通りのオープンソースCMSを知るにはよい機会だ。無料で参加できるので、自分の住んでいる地域周辺で開催される日程をチェックして、足を運んでみるとよいだろう。

各地域では土曜日に開催されることが多く、東京においては春と秋に連続した2日間、金曜日と土曜日でビジネスデーとコミュニティデーとして開催されることが多いようだ。

公式ホームページには、過去のセミナー資料も公開されているので、一度は目を通しておいてほしい。

【03】オープンソースカンファレンス(http://www.ospn.jp/)
【03】オープンソースカンファレンス(http://www.ospn.jp/


WeeklyCMS

各CMS の情報を、毎週定期的にUSTREAMで動画配信をしているグループもある。Bluemoon Inc.の酒井能克さんが中心となって、「WeeklyCMS」【04】というインターネット番組を立ち上げ、CMS業界の最新情報を配信するとともに、各CMSに詳しい人物を毎週ゲストとして呼んで話を聞いている。USTREAMでのリアルタイム配信のほかにも過去の動画アーカイブも多くは保存されていることから、興味のある人は見てみるとよいだろう。

また、日本マイクロソフト株式会社の東京品川本社ビルのセミナー会場を借りて、視聴者が参加できる特番やCMSカンファレンスも不定期に開催されている。

これらの動画は無料で見ることができるし、特番やカンファレンスも無料で参加することができる。

ちなみに2011年11月時点では毎週土曜日の午前11時より放送となっている。

【04】WeeklyCMS(http://www.weeklycms.net/)
【04】WeeklyCMS(http://www.weeklycms.net/


CMSビズ

CMSをビジネスで導入する際の情報発信や意見交換を行っているグループもある。㈱キャッチボール・トゥエンティワン・インターネット・コンサルティングが主催しているCMSビズ【05】である。

CMSビズは、CMSをビジネスで活用する際にはどのような選定や注意点、導入事例があるかが話し合われることから、CMSを仕事として使いたい人に向いているイベントだ。不定期開催ではあるが、四半期に一度くらいの割合で東京で開催されている。各CMSに詳しい人物がゲストとして呼ばれてその話を聞き、その後に懇親会という流れになっている。

【05】CMSビズ(http://www.cb21.co.jp/seminar_events/cmsbiz)
【05】CMSビズ(http://www.cb21.co.jp/seminar_events/cmsbiz


CMS単体のイベントも

以上は、各CMSの情報を横断的に知るよい機会であるが、すでにCMSの選定が絞れている場合には、各CMSの情報サイトや単独で開催しているセミナーやカンファレンスにも足を運ぶとよいだろう。

利用者の多いCMSでは、それぞれが単体で情報発信やイベントを行っている。興味のあるCMSの最新情報やイベント情報は、各CMSの名前を検索するなどして、公式サイトをチェックするとよいだろう。


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【本記事について】
2012年1月28日発売のweb creators特別号「Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策」から、毎週記事をピックアップしてご紹介! HTML5・CSS3によるコーディングから、次々と生まれてくる新しいソーシャルサービス、Webアプリケーション、スマートフォンやタブレット端末への対応など、いまWeb制作で話題になっているトピックを網羅した内容になっています。

※本記事はweb creators特別号『Webサイト制作最新トレンドの傾向と対策』からの転載です。この記事は誌面でも読むことができます。

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