第8回 Webマスターとシステムベンダーの関係 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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WEBディレクションの極意


文=島元大輔文=島元大輔
大阪のWeb制作会社でWebディレクターとして活躍後、(株)キノトロープに入社。数多くの企業Webサイト構築プロジェクトにかかわる。その後、 (株)ライブドアに入社、現在は(株)
セシールに在籍。著書として「だから、Webディレクターはやめられない」(ソシム刊)。 url.blog-project.cecile.co.jp/



第8回
Webマスターとシステムベンダーの関係

企業のWebサイトを構築するとき、制作から運用までさまざまな人物がかかわる。その中で、企業側のネット担当者をWebマスターという。ここではWebマスターの立場からWebディレクションに焦点を当てて、Webプロジェクトをスムーズに進めるための方法論を解説していこう。制作会社という受注側の立場も経験し、現在はWebマスターという立場で業務を行っている筆者ならではの見解を本音ベースで述べていく。


Webマスター × システムベンダー

企業のWebマスターがWebサイトを使って会社に貢献しようとした場合、Web制作会社などに相談することが多いことは、前号で紹介した。しかし、場合によってはシステムベンダーと絡むことも少なくなく、システム的な知識も知っておく必要がある。

今回はシステム面にあまり詳しくないWebマスターが、いかにしてシステムベンダーと関係を築いていくかを紹介しよう。

システムベンダーとは?

「システムベンダー」「システム屋さん」という言い方は現場でよく使われているが、いったい何のことを指しているのか? 明確に定義づけることは難しいが、この場で使うので定義しておくと、「プログラムを設計・開発する会社」というとわかりやすいだろうか。

正確には、どういったプログラムが必要かを提案することや、必要な機器やネットワークを構築することなど、単純にプログラミングだけでは片付けられない部分があるが、ここではわかりやすく説明するために、プログラムを設計・開発を行う会社のことをシステムベンダーと呼ぶこととする。

システムベンダーの見つけ方

では、プログラムを必要とし、知識や人脈がないWebマスターが、どのようにしてシステムベンダーを探し出せばいいのだろうか。よく考えられるパターンを3つ挙げてみよう。

1.Web制作会社からの紹介
おそらく、このパターンがいちばん多いのではないだろうか。小規模なシステム案件であれば、Web制作会社の中でプログラミングを行ってくれる場合もある。また、Web制作会社の中で消化しきれない場合は、その制作会社のパートナー企業として登録されていることもある。その場合、Web制作会社が窓口となって一元で管理してくれることが多いが、Webマスターとしてはできれば直接システムベンダーを紹介してもらい、どういった人物が担当しているか把握しておくことが大切であろう。もしかすると、今後の人脈にもつながるかもしれない。

2.システム部からの紹介
自分の会社にシステム部があるのであれば、そこから紹介してもらうのも手だ。会社によってはシステム戦略で、システムベンダーの指定があるかもしれない。会社のシステム部に紹介してもらうことのメリットは、当然、すでに会社のシステム構成を把握しているため、Webの位置づけを理解したうえで、効率のよいシステムを構築することができる点である。

3.インターネットで探す
Web制作会社にも、システム部にも相談できない場合、あるいは新しく開拓したい場合はやはりインターネットに頼ることになる。調べ方はいろいろあると思うが、ここではシステムベンダーを紹介してもらえる「ホームページ制作マッチング」(hp.submit.ne.jp/)というインターネットのサービスを紹介しよう【1】。システムベンダーに限らず、Web制作案件の発注者と受注者をマッチングしてくれるサービスである。こちらに案件を出し、広く提案を待つというのもひとつの手法である。

【1】制作会社マッチングサービス
【1】制作会社マッチングサービス


システムベンダーを選ぶときのポイント

まず、システムに関しての知識に自信がないのであれば、アドバイザー的な存在を見つけると安心できるだろう。規模の小さなものだとかまわないが、会社の収益にインパクトを与えるような規模だと、パートナー企業を選定するためのアドバイザーを探す、ということも必要になってくる。以下にポイントを挙げてみる【2】。

【2】システムベンダーを選ぶときのポイント
【2】システムベンダーを選ぶときのポイント

1.実績
やはり、今までの実績は気になるところである。前号の「Web制作会社を選ぶときのポイント」でも述べたが、何でもできるというよりはコレが強いと言い切れるシステムベンダーと付き合うほうがいいだろう。

2.コスト
システムベンダーのコストは、Web制作会社のそれよりもブラックボックスである。経験のない人であれば、想像すらできないだろう。そういったときは、時間でおおよそのコストを割り出してみると考えやすいかもしれない。1人が1カ月べったり担当した場合のコストを教えてもらい、その人がおおよそどれぐらいの時間かかわってくれるかで、概算することができるのではないだろうか。

3.担当者のスキル
Web制作会社の場合と同様に、やはり担当してくれる人、個人のスキルはいちばん重要になってくる。いくら実績があって、コストが抑えられても、取り組む人に問題があっては作業がスムーズに進まない。


システムベンダーのホンネ

Webマスターのホンネは、前号で述べたことと変わりはないが、システムベンダーのホンネはどうなのか。筆者が多くの現場でかかわった経験からの推測であるが、いくつか挙げていこう【3】。

【3】Webマスターとシステムベンダーのホンネ
【3】Webマスターとシステムベンダーのホンネ


Webマスターとコミュニケーションがうまくとれない

システムベンダーの担当者には理系の人が多い。ものごとをロジカルに考えるのが非常に得意なのである。しかし、Webマスターにしてみればどうだろう。ロジカルに考えて会社に貢献できるのであれば問題はないのだが、エンドユーザーや取引先のことを考えるときにロジックばかりを気にしていてはうまくいかないのが現実だ。ここにコミュニケーションのギャップが生まれ、どちらかが歩み寄らなければならないことになる。双方がそれを理解していればプロジェクトはうまくいくだろう。

Webマスターの知識が少なすぎる

そもそも、プログラムには特殊な用語が並ぶ。その言葉自体を知らないことにはコミュニケーションもうまくできない。せめてWebマスターにはそういった用語、知識を身につけておいてほしい、と思っているのではないだろうか。また、やろうとしていることの作業負荷(工数)がWebマスターの想像で言われるので、実際とのギャップが発生する場合、説明するのに一苦労しているシステムベンダーも多いことだろう。

まとめ

Webマスターとシステムベンダーの関係を簡単に書いてきたわけだが、結論からいうと、知識の少ないWebマスターの場合、1人でシステムに取りかかろうとするのではなく、Web制作会社や自社のシステム部に助けてもらいながら理解を深め、自らも知識の習得に励むことが重要であろう。これからの時代、Webマスターになって、「システムがわからない」では生きていけないのである。


本記事は『Web STRATEGY』2007年3-4 vol.8からの転載です
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