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Web解析ツールの実践的活用指南 第1回 WEB解析ツールを利用する上での基本的な方法を身につけよう!

2024.4.23 TUE

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アクセス解析ソフトにもう挫折しない!
Web解析ツールの実践的活用指南


全日空システム企画(株)  安西 敬介
文=
安西 敬介 全日空システム企画(株)
ANAのWebサイトのマーケティング・分析支援を行う



第1回
WEB解析ツールを利用する上での基本的な方法を身につけよう!

Web解析ツールを導入したものの、どのような数字を見ればよいかがわからない。Web解析ツールの数字をどのように見ていけばよいのかを、今回から数回に分けて解説していく。


Web解析ツールの数字の見方

数字を見るときの重要なポイントは4つある。この4つのポイントを意識しながらWeb解析ツールを利用することで、数字に惑わされずにWeb解析ツールが伝えてくれるサイトの現状を知ることができるようになるだろう。

・グラフにする
・グループにする
・比較する
・想像する


まずいちばん重要なのが「グラフにする」ことである。数字の羅列を見ているだけでは全体感をつかむことは難しい。グラフにするなど可視化することで、数字だけではわからなかった傾向などを簡単に見ることができるようになってくる。

次に「グループにする」ことが挙げられる。Web解析ツールではさまざまな種類の数字を見ることができる。それぞれの数字を見ることでもいろいろな傾向が見えてくるが、いくつかの数字をグループにしてみることで細かい数字では気づかなかったポイントが見えてくる。

3つ目として「比較する」することが挙げられる。サイトはつねに成長している。Webサイトで行ったキャンペーンなど施策前と施策後で比較をすることで、キャンペーンの効果を把握することができるようになる。

最後に「想像する」ことが挙げられる。Webサイトの種類や目的によって同じ数字であっても場合によって見方が大きく変化する。実際にどのように利用されているのか、なんでそのような数字になるのかを想像することがWeb解析ツールの利用性を大きく飛躍させる。

実際に例を挙げながら上記のポイントを具体的に見ていきたい。


流入傾向を見る

グラフ化する

サイトの流入傾向を見ることは、もっとも簡単なサイトを知る方法のひとつである。ここではあるダミーのECサイト「Sakulife」の数字を例に挙げながら数字をどのように見るべきかを追っていきたい。

【1】は「Sakulife」の2日分のPV数である。4月17日は大きく伸びているので「やったーサイトのPVが伸びている!」として判断してしまってよいだろうか。もし、そう判断してしまった場合、このあとサイトを窮地に追い込むことになってしまうかもしれない。

【1】ダミーのECサイト「Sakulife」の2日分のPV数
【1】ダミーのECサイト「Sakulife」の2日分のPV数


まずは「グラフにする」を利用して全体の傾向をつかんでみたい。PV数のような連続する数字の傾向を見る場合は折れ線グラフが適している。実際に「Sakulife」のPV数をグラフ化すると【2】のようになった。

【2】グラフ化したPV数
【2】グラフ化したPV数


折れ線グラフになっている部分がPV数の遷移である。また、わかりやすいように近似曲線を引いている。近似曲線を引くとだいたいの傾向が一目でわかるようになる(近似曲線はExcelでも簡単に引くことができきる)。

どうであろうか、実際は4月17日はたまたまPV数が多かっただけで、4月全体を見てみると下降傾向にあることがわかる。

グループ化する

次にPV数をグループ化して見てみたい。グループ化する場合、いくつかのメッシュがあるが、ここではまず、曜日でまとめることを行ってみたい。実際に「Sakulife」を曜日ごとにまとめたものは【3】のようになった。

【3】曜日ごとにグループ化したPV数
【3】曜日ごとにグループ化したPV数


このグラフの場合、PV数をそのまま集計せずに若干加工を行っている。先ほどのPV数の傾向を見た際、緩やかに下降傾向があった。PV数をそのまま並べてしまうと、週ごとに少しずつ下がってしまうので、各週の総PV数の割合でグラフを作成している。曜日傾向でまとめるのであればこのように比率にしてしまったほうがわかりやすい。

グラフを見ると突出している4月17日を除けば、月曜日と木曜日にPV数が多いことがわかる。実際に「Sakulife」では月曜日と木曜日に商品の更新を行うので、このふたつの曜日にPV数が集中していることが見えてくる。

この傾向はPV数を時系列で並べただけではわからない「グループ化」した効果である。このようにグループ化する方法はほかにも「時間」「コンテンツの種類」であったりといろいろな方法がある。

比較する

行った施策の評価については「比較」を行うことで結果を測るのがよい。逆に言えば「比較」をしないと施策の評価はできないと考えたほうがよいかもしれない。

例としてSEO対策の評価を挙げてみたい。「Sakulife」は4月にSEO対策の一環でコンテンツを修正している。このSEO対策はいったい何をもって結果の評価を行えばよいであろうか。

ひとつの評価項目として流入比率が考えられる。これはSEO対策がうまくいけばオーガニックによるサーチエンジンの流入数が上がるはずだからだ。実際に「Sakulife」の流入割合を3月と4月で比較すると【4】のようになった。

【4】3月と4月の流入傾向を比較したグラフ
【4】3月と4月の流入傾向を比較したグラフ


これを見るとサーチエンジンの流入数が挙がっている。実際の数値についてもリスティング広告は変化がないものの、オーガニックの流入が増えていた。これによりSEO対策の効果が見えてくる。

何か比較する際は、比較する項目以外の条件は同じになるように行ったほうがよい。今回については「Sakulife」のリスティング広告による流入は同じだったため、このような比較を行っている。またSEO対策の効果についてはいろいろな評価が可能なので、このあたりについては別途詳細を設けていきたい。

想像する

Web解析ツールが伝えるものはあくまで数値でしかない。そこから何を読み取るかは使う人間次第である。たとえば平均滞在時間などはWebサイトやサイト内の場所によって読み取り方が変わってくる。

「Sakulife」の平均滞在時間は4月で[00:09:30]であった。ただし、これはサイト全体の数字である。実際に「Sakulife」のサイトでは商品を詳しく説明をするセクション(商品情報セクション)とカートの商品を実際に購買するまでのセクション(購買セクション)がある。

このような場合、この[00:09:30]をどのように見ればよいであろうか。ここで行うのが「想像」である。実際に利用者の立場になって考えるとどうであろうか。商品情報セクションでは「Sakulife」の売りでもある多彩で豊富な情報を読んでもらわないと、せっかく用意したコンテンツが台無しである。ある程度楽しみながらサイトを見てもらっていくためには、平均滞在時間は長く(大きく)なっていかなければならない。

逆に購買セクションではどうであろうか。ここでは、選択した商品の購買を行っているので、送付先住所やクレジットカード情報などある程度決まった情報を入力していただくセクションであろう。この場合、いかに簡潔に購買を完了しているかがユーザビリティの指標にもなる。

Web解析ツールによってはセクションごとに平均滞在時間を表示できるものもあるので、そういったものを活用し、セクション別に平均滞在時間を分けてみてもよいだろう。実際、「Sakulife」の場合、商品情報セクションでは[00:10:25]と滞在時間を延ばしており、逆に購買セクションでは[00:08:35]と少し短いものとなっており、改善の余地はあるものの比較的想像の範囲での数値となった。

まとめ

今回は、Web解析ツールで集計されるさまざまな数字データを見るための、基本的な方法について追っていった。次回はこの数字に見方を活用しながら、もう少しサイトの運営に近い数字の活用の仕方を追っていきたいと思う。


本記事は『Web STRATEGY』2007年7-8 vol.10からの転載です


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