デザイン・クリエイティブ目線で語る
ソーシャルアプリ制作の裏側
第6回 株式会社ディー・エヌ・エー「Mobageチャット」(2/2)
Interview 2/2
スキルを高める環境で
スピード感のある開発が行える
「フロント側のエンジニアをひとりで行うのは大変でしたが、責任のあるある開発を任され、能力を発揮できることに喜びを感じています」(胡氏) |
ベンチャー企業でネイティブアプリのデザイナーをやっていた小田氏は、DeNAに入社した理由を次のように話す。「前職では、比較的時間に余裕があり、もっと忙しく働いていろいろな人とコミュニケーションをとり、技術を身につけなければ、という思いがありました。また、デザイナーが自分ひとりであったため、ほかの人がどのように仕事しているかを知りたいと考え、自分よりも上の人がいる環境で仕事したいと考えていましたね」
一方、SNSでプラットフォームづくりを行ってきた胡氏も、もっとスピード感をもってプログラミングを行いたいと考え、自分を高める環境に身を置きたいという思いが強かったようだ。入社してすぐにフロント側のエンジニアをひとりで任されたのは大変では、と胡氏に話を向けると、「願ってもいないことだと思って、うれしくなりました」と笑顔を見せ、「まだ入社して数カ月しか経っていませんが、Mobageチャットでもすぐに責任のある開発を任され、エンジニアの能力を発揮できる環境が整っていると感じましたね」と説明する。さらに胡氏は「エンジニア力に自信がある人は、非常に働きやすいですね」と話を続け、「専門的な知識はもちろん、幅広い知識に興味がある人に適していると思います。新たに習得したい技術があれば、勉強会もすぐに立ち上がり、情報交換することで知識も豊富になっていきます」とみずからの経験を明かしてくれた。
社内ではワークショップなどが開かれ、エンジニアやデザイナーの情報交換の場となっている。また、社外のパートナー会社の技術者に向けた勉強会も活発に行われている。 |
Mobageチャットの
ネイティブアプリ化も計画
Mobageチャット(クリックで拡大) |
最後にUXデザイン部である小田氏に、UIとUXの違いをたずねると「まったく違うものだと思います」と答え、「簡単に言えば、喫茶店でお客さんが気持ちよく過ごしてもらうことがUXで、そのための装飾がUIだと思います」と説明してくれた。では、こういったUXの概念をUXデザイン部ではどのように習得していっているのだろうか。「UXデザイン部の部長がよくUXデザインについての講演を行っていますが、そのスライドを見るだけでもかなり勉強になります。また、資料もアーカイブされているので、それらに目を通せば、かなりの部分が見えてくるでしょう。困っていることがあったら、聞きに来てくれれば教えることができますし」(小田氏)
「以前から、タッチデバイスのプロダクトのUX/UIのスペシャリストになることを望んでいましたが、DeNAではそのための開発に集中できる環境が整っていますね」(小田氏) |
また、Mobageチャットをネイティブアプリにすることも計画されている。「Webアプリではプッシュ通知が行えません。ブラウザでゲームを楽しみながらネイティブアプリのMobageチャットからの通知をチェックして、ネイティブアプリとゲームを行き来しながらコミュニケーションを広げることを考えています」と話す小田氏。DeNAは、「Mobage」というプラットフォームの中でコミュニケーションを広げていくことでソーシャル性を高め、ゲームの楽しみを深めていく仕掛けを今後も行っていく。
(取材・文・撮影:野本幹彦)
株式会社ディー・エヌ・エー
1999年11月29日にリリースしたインターネットオークションを皮切りにインターネットサービスを次々と提供し、2006年2月に「モバゲータウン」(現在の「Mobage」)を開始。Mobageは、日本最大級のモバイル総合ポータルサイトとして、多数のソーシャルサービスを提供し、自社製およびパートナー製のソーシャルゲームを配信している。
URL http://dena.jp/
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