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小川浩の挑戦 ―スタートアップとして「Revolver」を成功に導く秘策(前編)

2024.4.20 SAT

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 スポットインタビュー 
小川浩の挑戦
―スタートアップとして「Revolver」を成功に導く秘策(前編)


2013年11月に正式版として公開されたソーシャルネットワークプラットフォーム「Revolver」。写真をベースとしたコミュニケーションを可能にするSNSエンジンであり、正式版公開以前よりメジャーなタレントのSNSを展開するなど、話題を呼んでいたサービスだ。今回はRevolverを提供するベンチャー企業、リボルバーを率いる小川浩さんに、Revolverを含めたネットベンチャー企業の展望についてお話を伺った。

>>> 後編:「スタートアップとして急成長をはたすRevolver」

小川浩さん

小川 浩さん

鉄鋼商社にて東南アジア向け産業機械の輸出などを手がけ、クアラルンプール駐在中に現地の日系企業向けにPC販売事業会社を起業して成功を収める。日本に帰国したのち、インターネットの普及を背景に日本とアジアをつなぐSNS的なサービスを開発するなど、10年早いといわれるようなインターネット事業へ果敢に挑戦。インターネットをベースとしたさまざまな起業経験を生かして、2012年よりRevolverの開発に着手。倖田來未など著名人SNSのプラットフォームとしてその知名度を加速度的に広め、2013年11月に満を持してのサービスインをはたした。


Revolverとは

Revolverは、HTMLなどの知識がなくてもコミュニティサイトを構築できるSNSプラットフォームだ。写真やYouTube動画などを含めたインターネット上の情報リンクを簡単に投稿・シェアできるほか、Webサイト作成機能やブログ機能も搭載予定。また、メンバー同士でのダイレクトメッセージやオリジナルスタンプなどのコミュニケーション、FacebookやTwitterへの自動投稿なども可能。管理画面でのインサイト情報なども充実しており、マーケティングツールとしても活用可能。一般ユーザー向けで無料の「BASIC」、中小企業・プロシューマー向けの「PRO」(年額1万円/税別)、大企業向けの「ENTERPRISE」(年額10万円~/税別)がある。
オフィシャルサイト:https://revolver.jp/



 Interview 

Revolverはなぜ生まれたのか


Revolverの公式サイト
Revolverの公式サイト(https://revolver.jp/
――さまざまな事業にチャレンジしてきた小川さんですが、Revolverを手がけたきっかけはなんだったのでしょう?

小川●Web 2.0は結果としてソーシャルとモバイルというふたつの潮流を生みました。それらを背景としたテクノロジーベンチャー「MODIPHI」を起こしたのが2008年でしたが、リーマンショック直後という不幸な船出もあって(苦笑)、当初の企画であったB2Cモデルを早々にB2B、つまり企業向けのソーシャルメディアマーケティングに舵を切り替えることを余儀なくされました。だから2008年から2011年にかけて、Facebookをはじめとしたソーシャルサービスのビジネス的な活用を見ていたわけです。そのようななか、マーケティングツールとして活用されていたFacebookが、Facebookページの突然の仕様変更を行ったときは衝撃を受けましたね。FacebookページのUI自体がタイムライン化したことで、2011年にはFacebookアプリなどを使ったマーケティング活用をてがけるベンチャーは米国市場から姿を消しました。 その状況を分析すると、企業のソーシャルメディアマーケティングは、FacebookのようなメガSNSを利用するという時代から、オウンドメディア重視へと移行しはじめていると感じました。そしてソーシャル機能を有したオウンドメディアを簡単に構築できるサービスを考えはじめ、Revolverというアイデアに結びついたのです。

――オウンドメディアへの移行の必要性についてお聞かせください。

小川●ソーシャルなコミュニケーションという意味では、FacebookでもTwitterでもよいわけです。ただ、こうしたメガSNSはサービス提供者側のルール、というか縛りがあります。UIひとつとっても仕様変更による影響は大きいわけで、自社独自のブランディングが困難です。もちろんユーザーとのタッチポイントは多いほうが良いわけで、FacebookやTwitterを活用することはまちがいではありませんが、SNSを使ったコミュニケーションとトラフィックはどこかに集約する必要があり、それがオウンドメディアであるべきだと考えています。さまざまなタッチポイントで生まれたコミュニケーションとトラフィックを集約することで、エンゲージメントを深めるのがオウンドメディア本来の役割だと。

――サービスイン以前から展開している著名人サイトはまさにオウンドメディアですね。

小川●インタレストをベースとしたファンクラブ的なコミュニティは、まさにオウンドメディアとして適した事例ですね。トラフィックを集めるコンテンツとしての重要性もありますが、ブランディングという点で最適だと思います。

――UIデザインも洗練されていて、スマートフォンなどのデバイスにも親和性高いデザインを採用されていますね。

小川●オウンドメディアへの移行を考えると同時に、スマートフォンを代表とするモバイル端末への対応は当初から織り込んでいました。SMO(ソーシャルメディア&モバイルオプティマイゼーション)はすでに必須だと考えていましたし、実際Revolverでは、モバイル端末からのアクセスは80%以上という高いトラフィックを示しています。

「UIデザインは流行を意識してはいるが、固定する必要はなく、時流にしたがって進化すればよい」と語る小川さん。実際、スマートフォン版Revolverは当初2カラム構成だったが、現在は1カラムで使いやすさを向上させている 「UIデザインは流行を意識してはいるが、固定する必要はなく、時流にしたがって進化すればよい」と語る小川さん。実際、スマートフォン版Revolverは当初2カラム構成だったが、現在は1カラムで使いやすさを向上させている 「UIデザインは流行を意識してはいるが、固定する必要はなく、時流にしたがって進化すればよい」と語る小川さん。実際、スマートフォン版Revolverは当初2カラム構成(左)だったが、現在は1カラム(右)で使いやすさを向上させている

――サービスイン前後で利用者数はどの程度伸びていますか。

2012年9月3日に公開された「peeproom」
管理画面から独自のアクセス解析ツールを簡単に利用可能なため、マーケティングツールとしてのオウンドメディアを実現できる
小川●サービスイン前は著名人サイトを中心として30サイトでしたが、サービス公開後は1500サイトほどに増加しています。有料ユーザーはまだまだ多くないですが、やがて全体の5%程度に成長すると見込んでいます。また、今後は企業活用などが相当数増加していくでしょう。Revolverはオープンソースを活用した独自のアクセス解析ツールを実装しており、管理画面からアクセス数、PV、リファラー、エージェント分布など簡単な操作で利用できるため、マーケティングツールとしても有効活用が可能です。



(取材・文・撮影:久保靖資)


>>> 前編:「スタートアップとして急成長をはたすRevolver」

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