デザイナーという職業に憧れる読者のみなさんに先駆けて、一足早くデザイナーになった先輩デザイナーの1週間を追いかける、このコーナー。月曜、楽しいブレストから一週間がスタート!の巻。
今月の1年生デザイナー
梶原廉文さん(コアゲート)
〔プロフィール〕
かじわら・やすふみ●東京都出身の38歳。幼い頃、近所のカフェの壁に描かれた、キース・ヘリングの作品に影響を受けイラストを描き始める。高校卒業後、アメリカに留学していた姉の影響で、ワシントン州に渡米。小さな田舎町で語学の勉強をしたのち、州立大学に進学。アートを専攻するにあたって、もっと刺激のある環境を求めてシアトルの大学へと転校する。当時ニューヨークに住んでいた親戚を訪れた際、SOHOに建ち並ぶギャラリーに影響を受け、作品制作に本格的に着手。帰国後、作品制作に没頭しながらも、国鉄時代の広告でご活躍された故・鈴木八朗氏のデザイン事務所に就職。アシスタントとしてデザインの基礎を学ぶ。次第にデザインの面白さに目覚めて、退職後に再度渡米。シアトルの専門学校でグラフィックデザインを学びながら、スポーツアパレルメーカーのTシャツやウェアなどのグラフィックの仕事をフリーランスとして手がけ、テレビ関係をはじめ、様々な異業種のデザインに携わる。スノーボードのデザインやスキークロスの代表選手のオリジナルウェアなど仕事の幅を広げていく中で、次第にWebの世界に興味を抱き、帰国後にはシステム系の会社へ就職。Webの仕組みやコーディングの基礎を学んだ後、アートやグラフィックの世界も学べる環境に魅了され、2013年1月、Webデザイナーとしてコアゲートへと転職を果たす。現在はシニアな新人Webデザイナーとして日々奮闘中。
コアゲートとは?
Web広報をはじめとする戦略的な展開を実現するためのプラン策定から、企画提案、設計、構築を行う制作会社。特化したスキルを持つメンバーがそれぞれの持ち味を活かして、さまざまな案件に柔軟に対応する。2014年、設立5周年を迎える。
http://choregate.com/
月曜。楽しいブレストから一週間がスタート!
7:00 起床
低血圧なので、寒い中起きるのは大の苦手。まず、エアコンのスイッチを入れて、しばらく布団の中に入ったまま、昨日買った雑誌を読みつつダラダラと過ごします。少し目が覚めてきたら、進行中の案件の残作業を思い出すので、締め切りという緊張感(!?)とともにすぐにシャワーへ!
9:15 出社
会社まで近いので、基本は自転車通勤。始業時間は10時からですが、だいたい少し早めに到着します。会社に着いたら、まずは掃除。その後、コーヒーを入れて、今日一日のスケジュールを確認します。作業スピードがそんなに早くないので、ここの調整は慎重に行わなくては…。
▲相棒です。自分の身体がでかいせいか、乗っていると少し小さく見えます
10:00 サイトの更新作業
まずは、某アミューズメント施設のサイトの更新作業から。ルーチン化されているので煮詰まることはないけれど、誤植がないかなど、細かいところの確認作業が必要です。こういう作業こそがどこまでコンテンツの内容を理解&把握しているかがわかるので、とても大切な作業だと思っています。
11:00 JALPAKの方が来社
いつもお世話になっている旅行会社さんと、和気あいあいムードで打ち合わせ。今度、展開する新しい旅行プランのサイト構成について、まずは雑談しながら楽しくブレストしていきます。リラックスしている時ほど、いいアイディアは出るものなので、楽しいムード作りは大切。でも仕事なので、「ああ、海外旅行に行きたい!」という個人的な気持ちはいったん抑えます(笑)。
▲ブレストの様子
▲バレンタインのチョコもいただきました。ありがとうございます!
12:30 そのままランチへ
ブレストの後、行きつけの近所のカフェでクライアントさんと一緒に昼食をいただきました。オススメのカレーにご満足いただけた様子。案件以外の話をするのも、仕事ではとても大切ではないかと思います。クライアントさんの人柄が見えてこないと、お互い伝えたいことも伝わりにくいので…ここぞとばかり、思いっきりおバカな話で盛り上がってしまいました(笑)。
▲ボリューム満点、オススメのカレーです
15:00 JALPAKのランディングページ制作
今日の打ち合わせとは別の案件のデザイン制作。某アミューズメント施設とのコラボ企画なのでレギュレーションが厳しく、表現の幅には制限があります。こういう時こそデザイナーの真の実力を発揮するところ…と、自負していますが、結果、すぐに煮詰まりました…。
そこで、すぐにプランナーの中川氏に相談。グラフィックとWebデザインの大きな違いとして、Webデザインは「プロダクトデザインとしての要素が強い」という点があります。つまり視覚的に伝えるだけでなく、ユーザーの意思でボタンを操作させるところがプロダクト寄りだということ。ずっとグラフィック中心にやってきた自分としては、そういったWebデザインの特性を頭ではわかっていても、なかなかうまく活用できないこともあります。少しづつ内容を噛み砕いて、一つひとつ解決策に導いてくれる中川氏にいつも感謝です。
▲プランナー・中川氏と相談
17:00 「Appear.in」を試してみる
アートディレクターの此谷内氏から新しいビデオ会議サービス「Appear.in」を教えてもらったので、デザインチームみんなでテストしてみることに。隣に座ってる同士でビデオチャットです(笑)。思った以上に滑らかな映像で、普通に打合せでも使えそう。場所を選ばずに仕事をすることが多い私たちには、重宝しそうです。
▲最大6人まで参加可能、しかも動画がスムーズ! これからのビデオ会議で活躍すること間違いなし
18:00 フォントを購入
雑誌やサイトでよく見かける、ずっと気になっていた書体を和文・欧文合わせて5書体16ウェイトを購入しました。早く使いたくてウズウズします(笑)。
▲新しいフォントはいつもワクワクさせてくれます
19:30 退社
20:00 「アンディ・ウォーホル展:永遠の15分」へ
六本木ヒルズの森美術館で開催中の「アンディ・ウォーホル展」を観に行きました。つい半年前に国立新美術館の「アメリカン・ポップ・アート展」で、キャンベルスープ缶やシルクスクリーン作品を観ていたこともあり、初期のファッションイラストや晩年の映像作品に非常に刺激を受けました。バスキアとコラボした作品もすごく良かったです!
▲アンディ・ウォーホル展、盛りだくさんでオススメです!
▲アンディ・ウォーホルがペインティングを施したBMWアート・カーがエントランスに飾られていました
23:00 帰宅
帰ってから、少しだけ読書の時間。佐藤可士和さんの『新しい ルール づくり』(筑摩書房)を再度読みなおしました。
▲アイディアの突破口になるヒントが散りばめられた本です