第6回 SEO・SEMとWebライティング - WEBライティングと文章編集の実践テクニック | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

第6回 SEO・SEMとWebライティング - WEBライティングと文章編集の実践テクニック

2024.4.20 SAT

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WEBライティングと文章編集の実践テクニック


文=益子貴寛 (株)サイバーガーデン 代表取締役
Webプロデューサー/コンサルタント。(社)日本能率連盟登録資格「Web検定」プロジェクトメンバー。Webデザインに関する記事執筆、講義など多 数。『月刊web creators』(MdN)、ITpro(日経BP社)、Web担当者Forum(インプレスR&D)に連載をもつ。著書に『Web標準の教科 書 ─XHTMLとCSSでつくる“正しい”Webサイト』『伝わるWeb文章デザイン100の鉄則』(ともに秀和システム)。共著に『スタイルシート・デザ イン』(MdN)、『変革期のウェブ』(マイコミ新書)など。
url. www.cybergarden.net/


第6回
SEO・SEMとWebライティング


WebライティングをSEO・SEMに役立てる方法として、キーワード埋め込みの工夫、検索エンジン登録やフィード配信、リスティング広告、最近注目を集めるランディングページ最適化(LPO)などの観点から、さまざまなノウハウを解説しよう。


キーワード埋め込みの工夫

Webサイトにとって、検索エンジンからの集客は極めて重要である。現在ではSEOやSEMという言葉がよく知られているが、あらためて概念図を示すと【1】の通りだ。

【1】SEO・SEMの概念図
【1】SEO・SEMの概念図


SEOは技術手法であり、サイト内の各ページに施す検索エンジン対策である。まずは「コンテンツの適切な構造化」がもっとも大切である。title要素やmeta要素、見出しであるh1~h6要素、強調であるem要素とstrong要素、リンクであるa要素などを適切に使い、検索クローラーが理解しやすく、情報それぞれに重みづけしやすいソースにすることがポイントとなる。

意外と忘れられがちなSEOが「キーワード埋め込みの工夫」である【2】。検索エンジンはキーワードの「出現頻度」「突出度」「近接度」をレイティング(検索結果の表示順位)決定の際に考慮するとされている。出現頻度は文字通り「そのページの中で検索キーワードがどのぐらいの頻度で出現するか」である。たとえば「これ」「それ」「ここ」「そこ」などの指示代名詞をなるべく使わずに文章を書くことで、キーワードの出現頻度を上げることができる。

【2】キーワード出現頻度・突出度・近接度
【2】キーワード出現頻度・突出度・近接度


突出度は「ページ上部で出現するキーワードは重要」ということである。逆にいえば、ページの下のほうに出てくるキーワードはそれほど重要ではないと判断されるということだ。インターネットショップなどで、ページの冒頭にキャッチコピーや紹介文を含めているところをよく見かけるだろう。これは突出度を高めるための対策である。

近接度は「複数ワードで検索されたとき、それぞれが近くにある場合は関連性が高いと判断される」ということである。たとえば「ブルガリ」「時計」というキーワードで検索されたとき、両者が離れた場所にある場合は関連性が低いことになり、あまりレイティングに貢献しないことになる。

キーワード埋め込みの工夫は、サイトや各ページをひと通りつくり終わってからやるよりも、きちんと上流工程で決めておいたほうが効果が高い。特に突出度についてはワイヤーフレームやデザイン制作にもかかわるため(あとからキャッチコピーを無理やりページ上部に含めるのは難しい)、制作に入る前にあらかじめ決めておく必要がある。


検索エンジンへの登録とフィード検索への対応

検索クローラーはリンクを頼りにページを自動的に収集するが、特に新規立ち上げサイトについては手動URL登録を行っておくことが大切だ。Google、Yahoo! JAPAN、MSNサーチともに手動URL登録を受け付けているので、サイト公開までのプロセスの最後に、きちんとタスクとして含めておこう【3】。なお、Yahoo! JAPANはログイン後に登録手続きに進むので、前もって無料アカウントを取得しておく必要がある。

【3】3大検索エンジンの手動URL登録ページ
【3】3大検索エンジンの手動URL登録ページ


ディレクトリ型検索エンジンについては、有料・無料にかかわらず、なるべく登録しておくのがベストだ。Yahoo!カテゴリ登録には、審査結果を通知してくれるビジネスエクスプレス(bizx.yahoo.co.jp/)という有料サービスがあるので、商用サイトは利用するとよいだろう。一説によると、Yahoo!カテゴリに登録済みのサイトは、Yahoo!のロボット検索でも有利に扱われるとされており、ディレクトリ型検索エンジンの重要性が低下した現在でも、Yahoo!が強い日本ではけっして無視できない対策だ。

サイトマップファイルが登録できる検索エンジンについても、きちんと対応しておこう。サイトマップファイルとは、サイト内のすべてのページに関する情報を検索エンジンに送信することで、検索結果に最新のコンテンツを反映させたり、クロールの効率を向上させるための仕組みだ。現在はGoogle Sitemaps(www.google.com/webmasters/sitemaps/?hl=ja)、Yahoo! Site Explorer(siteexplorer.search.yahoo.com/)が利用可能だ【4】。

【4】Google SitemapsとYahoo! Site Explorer
【4】Google SitemapsとYahoo! Site Explorer


Google Sitemapsは専用のサイトマップファイル(XML形式)を用意し、Googleに登録するか、指定されたmeta要素を登録したいページに追加する必要がある。手動でサイトマップファイルを作成するのはややめんどうであるが、プログラムで自動生成したり、CMSを使っている場合はテンプレート化することが可能である。また、XML Sitemaps(www.xml-sitemaps.com/)というオンラインツールでは、サイト内で公開されているすべてのページの情報を自動的にサイトマップ化してくれるので利用するとよいだろう(このツールを継続的に利用する場合は、週1回や月1回など利用頻度を決めておくとよい)。

一方、Yahoo! Site Explorerはもっと簡単で、URLを登録するだけで自動的にページを収集してくれる。すべてのサブドメインを含めるかどうかの設定やフィードの登録も可能だ。サイト所有者は自動生成されたサイトマップファイルをダウンロードし、サーバにアップロードすることで、サイト内のクロールを明示的に承認できる。

さらに、フィード検索にどう対応するかも重要である。現在、Technorati、Bulkfeedsなどの独立系フィード検索だけでなく、Google Blog SearchやMSNサーチ、goo、livedoorなど既存の検索サービスも続々とフィード検索に対応してきている。

SEO・SEMの観点から見ると、フィードは全文提供(記事の全文を出力・掲載すること)にするのがよい。おのずとキーワードがたくさん含まれることになるからだ。一方、冒頭提供やサマリー提供の場合は、フィード検索からの集客力は全文提供よりも落ちると考えるべきだろう。

フィード検索は、即効性からいうとリスティング広告に次ぐ効果があり、ただフィードを公開するだけでなく、その中身が問われる時代になってきている。


リスティング広告の応用法

効果的なSEM手法としてここ数年で利用者が急増しているのがリスティング広告である。キーワード広告や検索連動型広告とも呼ばれ、ユーザーの検索キーワードやコンテンツ内のキーワードと連動した広告が表示される画期的な仕組みである。

リスティング広告で大切なのは、「広告表示のトリガーとなるキーワードの選定」と「入札額との兼ね合いを考えた方針決定」のふたつだ。予算がたくさん使える大規模案件では高額入札を繰り返すなど強気で攻めることができるが、ほとんどの案件ではそうはいかないため、ユーザー訴求力が高く、それでいて入札額が低いキーワードを狙うのが肝心である。

日本のリスティング広告業界では、OvertureとGoogleアドワーズが勢力を二分している。両者には広告体裁や入札制度、各種設定機能にかなりの違いがあるので、サイトの戦略としてはどちらがより適しているかを考えて使い分けるとよい【5】。

【5】OvertureとGoogleアドワーズのおもな違い(現在、両サービスの仕様やサポート内容が変更されています)
【5】OvertureとGoogleアドワーズのおもな違い(現在、両サービスの仕様やサポート内容が変更されています)


最近では、リスティング広告やアフィリエイトプログラムを経由して訪れるユーザーに対して、申し込みページなどの前に表示する「ランディングページ」が注目を集めている。いわばユーザーが迷うことなく購入や登録に至れるよう用意された滑走路である。単に既存のページにアクセスしてもらうのではなく、ランディングページにアクセスしてもらうことで、コンバージョンレート(購買・登録率)のアップや離脱率のダウンを果たすのが目的だ。

リスティング広告で出稿できるのはタイトル16文字前後、説明文32文字前後であり、クリックして訪れるユーザーはほとんど予備知識がないといってよい。アフィリエイトから訪れるユーザーも同様だろう。この場合、ランディングページには詳細説明を含めておいたり、購入や登録までのステップをわかりやすく書いておいたほうがよい。一方、キャンペーンページを用意し、すでにそのページに詳細説明を含めている場合、ランディングページではくどい説明は省き、購入フォームなどユーザーがダイレクトにアクションできるコンテンツを目立つ部分に置いておいたほうがよい。このような対策を「ランディングページ最適化(LPO)」という。

この発想は、クロスメディア、つまりテレビCMや雑誌広告、電車の中吊りなど、他のメディアを利用したプロモーションにも応用できる。テレビCMや中刷りはインパクト勝負であるため、詳細説明はほぼ不可能であるが、雑誌広告であれば可能である。広告媒体別に最適化したランディングページを用意しておくことで、購買・登録率を高めることができる。広告媒体別にURLを設定することにもなるので、精度の高い効果測定が可能になるというメリットも生まれるのだ。

以上に述べたところからも、Webライティングやコンテンツ戦略は、昨年から流行している「Web 2.0」という言葉の好き嫌いや評価にかかわらず、新時代を迎えつつあるのがわかるだろう。


本記事は『Web STRATEGY』2006年11-12 vol.6からの転載です
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