優れたプロダクトを創出するグッドパッチに学ぶ、再現性のあるデザインプロセス

 スポットインタビュー 
優れたプロダクトを創出するグッドパッチに学ぶ
再現性のあるデザインプロセス(前編)

Webやアプリ、IoTなどの技術発展を背景にUXデザインへの注目が集まる中、UI/UX デザインに特化して急成長を遂げてきたデザインカンパニー「株式会社グッドパッチ」。このグッドパッチの現場で、第一線のUXデザイナーとして活躍する北村 篤志さん(HCD-Net認定 人間中心設計専門家)に優れたプロダクトを生み出すコツを取材させていただきました!
(取材・文・写真:羽山 祥樹(HCD-Net))

>>> 優れたプロダクトを創出するグッドパッチに学ぶ、現性のあるデザインプロセス(後編)


ユーザーを一番に考えるグッドパッチのUXデザイン

――優れたサービスを生み出し続けるグッドパッチさんですが、UXデザインをする上で一番重要なのは何だとお考えですか?

北村さん●基本的なことではあるのですが、やはり「常にユーザーに触れること」でしょうか。ユーザー調査、課題特定、アイデア創出、プロトタイプ作成、設計・開発、そしてテストという過程を経るわけですけど、プロジェクトが始まって最初にやるのも「ユーザーインタビュー」ですし、デザインや開発のフェーズに入ってからも、「ユーザーテスト」を通じてユーザーにどれだけ近づけるかということを第一に考えています。
――具体的な案件のお話などお伺いできればイメージしやすいと思うのですが、最近北村さんが係わったものでは、どんなものがありましたか?

北村さん●最近係わったところですと「DARTSLIVE」というダーツアプリのリニューアル案件がありました。β版という位置づけで、2017年の春にiOS版、秋にはAndroid版をリリースしたものなのですが、今も絶賛開発中でして、正式版リリースに向けて係わらせて頂いております。

本プロジェクトの調査フェーズでも、ユーザーインタビューでペルソナになり得るユーザーにインタビューを重ねて、課題や価値観を抽出していきました。また、プロトタイプを使ったユーザーテストも、β版リリースまでに何回も実施して精度を上げていきました。

――ユーザーインタビューを行ったことにより、どんな気付きがあったんでしょうか?

北村さん●インタビューで出てきた課題として一番多かったのは、成績が伸び悩んでしまって、趣味として続けるためのモチベーションを失ってしまうという点でした。この課題に対しては「自分がどんどん成長していける」という体験を提供することが解決につながるのではないか――という仮説を立てまして、ダーツの成績に関わるデータをうまくビジュアライズして見せることで、成長を実感できるようにして、ダーツに対する情熱を継続してもらおうという方向性でデザインを進めていきました。

他に重要な要素で言いますと、このアプリは全体的にダークトーンなのですが、これには理由があります。ダーツバーは基本的に暗い所なので白い背景だと眩しく感じてしまうんですね。そういった理由でダークトーンにしています。これはクライアント様の実体験からアドバイス頂いたのですが、実際にユーザーインタビューしてより明確になった要素でした。
「DARTSLIVE」

「DARTSLIVE」

――仮説に基づいてデザインしていかれたとのことですが、その後のユーザーテストはいかがでしたか?

北村さん●プロトタイプ初期の頃は、そもそもこのサービスがユーザーにとって使いたいものなのかというところから検証をしていったんですが、反応としては上々で、「こういう形で成績を見たかった!」といった意見を頂けたのは嬉しかったですね。

ユーザーテストを受けて修正した部分の例をあげますと、このアプリにはダッシュボードという画面があります。これは、自分が気になったデータだけをダッシュボードに追加して、自分好みの画面にカスタマイズできるというものです。

ユーザーテストを行う前は、色んな画面からこのダッシュボードへの追加ボタンを用意していたのですが、実際テストしてみるとユーザーが混乱してしまったので、追加できる導線を一つにしました。便利と思って導線を増やしたことが逆に混乱を生んでしまっていたということですね。ユーザーテストをすることで色んな気付きがあるので、ユーザーの反応を見ていて凹む時もありますが……、やっていておもしろい瞬間ですね。
試行錯誤もありましたが、この案件はクライアント側とも課題を共有できていましたし、比較的スムーズ行った事例だと思いますよ。
――スムーズに進まない、例えば解決策や課題自体がなかなか見つからない場合もあるんですか?

北村さん●もちろんあります。これは私が関わっていたわけではないんですけども、弊社のブログにも記事が上がっている「JINS MEME OFFICE」というアプリ。これがまさにそうです。JINSさんが「JINS MEME」というウェアラブルメガネを出されまして、これがまばたきを検知できるんですね。

まばたきの回数とか頻度とかを検知して、どれだけ今自分が集中しているかをアプリ上でビジュアライズするわけですけども、今までになかったタイプの商品なので、これはそもそもどこにニーズがあるのか、データ化できるのか、分からないことだらけの中で、相当作っては壊し、作っては壊しの繰り返しだったようです。

「なんでも言える関係性」。それがよいプロダクトは生む


――スムーズにいかない案件、難しい案件が来た場合は、北村さんはどのようにアプローチしているんですか?

北村さん●難しい案件だからというわけじゃないんですけど、僕自身が常にやっていることは、事前にそのサービスとかプロダクトとかにすごく詳しくなっておくということです。DARTSLIVEの時も、プロジェクトが始まる前にダーツバーに行ってみたり、東京ビックサイトのダーツ大会に行ってみたりしました。

そうやっていると、案件をやるたびに一つ趣味が増えるみたいな状態になるので楽しいですよ。そもそも自分が経験しないとユーザー目線で考えるなんて不可能ですからね。それにサービスに詳しくなって、クライアントさんとの信頼関係を築いてからでないと、厳しいことも言えないので。
――厳しいことを言わなきゃいけないシーンがあるわけですか……

北村さん●どうしても「これはないだろう」みたいな瞬間はありますよね。そういう時、クライアントさんとの間に距離があると、ただ言われたことをやるだけの受託業者なってしまいますから。我々としては、普通の制作会社との差別化というか、やはりただの御用聞きになってはいけないという危機感を持ってますので、大変ですけど、そこは絶対にチャレンジしていかなければいけない部分なんです。
――なるほど。他には、クライアントと定期的にディスカッションしたりとかですか?

北村さん●ワークショップをやるにしても、意見の強い人だけが目立たないようにとか、色々と工夫してやっています。例えばアイデアを付箋に書いてみんなで貼ったりすると、偉い人だろうが、新卒の子だろうが、1意見1ポストイットになって、みんながそれぞれの意見を冷静にみられるようになる。小さなことですけど、関係性や雰囲気というのは、そういうことの積み重ねで大きく変わって来るんですよ。
ワークショップの様子

ワークショップの様子

株式会社グッドパッチ
デザインDiv マネージャー
UXデザイナー

北村 篤志 氏
2016年3月よりGoodpatchに入社。UXデザイナーとしてスタートアップから大手上場企業まで様々な企業が抱える事業課題をデザインの力で解決している。また、事業部マネージャーとして組織デザインにも取り組んでいる。HCD-Net認定 人間中心設計専門家。
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