優れたプロダクトを創出するグッドパッチに学ぶ、再現性あるデザインプロセス

 スポットインタビュー 
優れたプロダクトを創出するグッドパッチに学ぶ
再現性のあるデザインプロセス(後編)
北村さんは、自身が第一線のUXデザイナーとして活躍する一方、チームを率いるマネージャーとしての役割も担っている。優れたプロダクトを生み出し続ける株式会社グッドパッチにおいて、そのマネジメントとはどんなものなのか。グッドパッチの組織としての取り組みや社風などについてもお伺いしてみました。
(取材・文・写真:羽山 祥樹(HCD-Net))

>>> 優れたプロダクトを創出するグッドパッチに学ぶ 再現性あるデザインプロセス(前編)


グッドパッチの根底にある柔軟な発想「やってみよう」

――ところで、北村さんの「UXデザインとの出会い」というのはどんなものだったのですか?

北村さん●確か2011年くらいだったと思うんですけど、Web業界の中でも「UX」という言葉がバズワード化したんです。そのころ聞いた「モノのデザイン」から「コトのデザイン」みたいな話にすごく共感して、学んでみたいなと思ったのが最初です。

当初は、プロセス自体に価値があるということを理解してもらいにくいところがあって、基本的に作るものに対してお金を払うというのが制作会社じゃないですか。ユーザーの調査とか設計とか、そういうものに予算を頂くのは、なかなか難しい環境ではありましたね。

――今は、マネージャーとしてのお仕事もされているんですよね。つまり社内にUX思想を広める立場にあるわけですが、その辺はやはり苦労されてるんですか?

北村さん●それが……ないんですよ。僕も入社した当初は驚いたんですが、プロジェクトが始まると、「じゃ、誰にインタビューする」とか「ちょっとこれをやったことがある人を呼んでこよう」とかいうのが普通に起きるんです。エンジニアもデザイナーも、HCD(人間中心設計)の概念をごく普通に持っているというか。だから、そういう意味での苦労は全くありませんね。
――さすがという感じですね。プロジェクトはどのようなチーム体制で臨むのですか?

北村さん●UXデザイナーと、UIデザイナーと、エンジニア、そういうチームになっています。会社組織としても、バラバラな職種の人が10人くらいいるユニットに分かれています。職種別に分けて専門性を高めていく、いわゆる縦串型の組織編成にしようという意見もあったんですが、やっぱり、チーム内にもいろんな人の意見があった方がいい、という思いがあってこういう形にしたんです。
グッドパッチのオープンスペース

グッドパッチのオープンスペース

――「こういう形にした」というのは、北村さんが提案された?

北村さん●私だけじゃないんですけど、今期の編成のときに組織をどうするかという話になりまして。社員全員が集まる場で聞いてみたんです。そうしたら、「グッドパッチは、いろんな人が同じチームにいることが大事なんじゃない?」という意見が多くて、それを吸い上げて今の形になったんです。

職能で区切っても混合ユニットにしても、それぞれメリット・デメリットはあると思うんですが、そこもプロトタイピング的な思想でやっているところがあって、みんな駄目だったら変えればいいという感じで捉えていると思いますよ。

「人」も「組織」もデザイン思考で考える。グッドパッチのマネジメント


――そういった多様性のある組織のなかで、北村さんは、どのようにチームをマネジメントしているのですか?

北村さん●僕はマネージャーとして、組織自体を作っていくこともデザインだと捉えています。そして、対象がプロダクトではなく「人」である以上、より難しい。相手に感情がありますからね。だからこそ、やりがいのある仕事だとも思っています。
――プロダクトデザインであればアンケートやテストといったユーザー調査が指標になるとお伺いしましたが、チームをデザインする上で何か指標みたいなものはあるんですか?
北村さん●メンバーの内的な動機、モチベーションですかね。自分からやりたいと思ったことは達成したいはずですし、目標にもしたいと思うので、そこを起点にすれば、どうしたら成長していけるのかとか、結果として会社に貢献するためにはどうしたらいいか、といったことにもつながりやすいと思うんです。

そもそも僕は、課題を解決していくことこそがデザインだと思っているので、組織や人に対しても、具体的にボトルネックになっているところを見つけてどう対処するかを一緒に考えていくようにしています。
――北村さんご自身の課題というのはないのですか?

北村さん●ありますよ。僕の今の課題は、いかに会社としてのクオリティーを担保するかという点です。社員数が増えてきているんですが、組織としてはクオリティーにばらつきがあってはいけないですよね。そこで、ナレッジの共有というのが重要になってきているんですけど、マネージャーとして、組織をデザインする立場として、いかに体験を共有し、再現性を高めるかというのが、今の課題の一つになってます。

Slackでやっていることをシェアしたり、自分には直接関係のないプロジェクトであっても、定例会なんかではレビューし合うようにしたり、疑似体験とまではいかないですけど、なるべくいろいろなプロジェクトに触れられるように、情報を出すようにしています。
――再現性は高まっていますか?

北村さん●正直、クライアントワークは本当に様々で、まったく同じ案件なんてないので、いかに自分が応用できるかとか、抽象化できるかといった個人の頑張り次第というところがあるんですけど、前進はしていると思いますよ。自分の案件に応用できるかもしれない材料に、誰もがアクセスできるようにして、新入社員でもすぐにスタートラインに立てる。それを組織としてサポートできる仕組みというのが、まず重要だと思うんです。

次の野望は「オリンピック」


――最後に、北村さんが今後新しく取り組んでいきたいと思っていることがあれば教えてください

北村さん●この業界2年後、3年後はわからないので、あまり先のことは考えないようにしているんですが、漠然とオリンピックにからむ何かをやっていたいなという願望はあります。日本でオリンピックが開催されるというのは、そう何回もあることじゃないですから。
――あっても、おそらく50年後とか60年後とかですね

北村さん●ということは、そこに絡めるというのは今しかないかなと。その時にただ参加する人間じゃなくて、オリンピックに関する何かを作っている側だと面白いなと思ってます。グッドパッチはそれが出来る会社だと思ってますし。

とはいえ、グッドパッチもこれからさらに成長していく必要があるんですよね。少し前まではUIやUXに注力している会社も少なかったですし、そこに力を入れてどんどん伸びていけたと思うんですが、今こういった企業は増えてきています。ユーザー視点は当たり前として、ビジネス視点でも意見を言えるパートナーになっていかなくてはいけないし、クライアントと同じ目線で話すことができてこそ、真のパートナーになれると思っています。

それに僕自身、プレイヤーとしても、マネージャーとしてもまだまだ成長していきたい。成長していかなければいけないなと思ってます。
株式会社グッドパッチ
デザインDiv マネージャー
UXデザイナー

北村 篤志 氏
2016年3月よりGoodpatchに入社。UXデザイナーとしてスタートアップから大手上場企業まで様々な企業が抱える事業課題をデザインの力で解決している。また、事業部マネージャーとして組織デザインにも取り組んでいる。HCD-Net認定 人間中心設計専門家。
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