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第40回 国内企業も続々採用Silverlightの導入事例

Microsoftが提案する動画配信やRIAテクノロジー「Silverlight」。国内でもSilverlight導入の動きが活発になっている。導入事例を通して、特徴や競合テクノロジーとの違いを理解しておくことが大切だ。

文=益子貴寛(株式会社サイバーガーデン)


国内にも広がるSilverlight導入の動き


2007年9月にリリースされ、動画配信やRIAテクノロジーとして注目されているマイクロソフトの「Silverlight」(www.microsoft.com/japan/silverlight/)。優れたユーザーエクスペリエンス(UX)を実現するためのプラグインであり、特に商用コンテンツ開発の面では、クロスプラットフォーム・クロスブラウザで動作する点、Windows Mediaの再生プレイヤーとしても利用できる点、XAMLという言語でユーザーインターフェイス(UI)デザインと開発が分離でき、さらにHTMLやJavaScriptなど標準技術との連携も容易である点が大きな特徴だ(最後の特徴は、競合製品であるAdobe Flashと比較するとわかりやすいだろう)。

これまで海外での導入事例が紹介されることが多かったが、国内企業も続々とSilverlightの採用を決定し、新たなリッチコンテンツを公開している。マイクロソフト㈱が運営する「CREATOR'S EX」にギャラリーが用意されているので、まずはそこを足がかりにSilverlightを体験してみるのがお勧めだ【1】。以下、ふたつの事例を通して「Silverlightの採用がなぜ広まっているか」を考えてみよう。

導入事例:野村證券バーチャル店舗


PIP(Person in Presentation)によるユーザーガイドとして開発されたコンテンツ【2】。女性による音声(およびキャプション)ガイド、リッチなUIとインタラクションが、Silverlightによって実現され、直感的な操作が可能となっている。

徹底的にリテール(個人)をターゲットにしている点や、実際の店舗をイメージさせる質の高い3D表現、コンテンツ内だけでなくサイト内の他のページへの誘導なども含めて、導線設計が非常にシンプルな点がポイントといえそうだ。

直感操作を支援するためにUIがいかに巧妙にデザインされていても、導線設計が複雑でユーザーを混乱させるようであれば、コンテンツ全体としての利便性は大きく減退してしまう。このコンテンツは、ターゲットの明確化によってUIデザインと情報構造、導線設計のシンプルさが保たれ、非常にわかりやすく使いやすいUXを実現している。

導入事例:Gyao 新着ステーション


無料動画サイト「GyaO」で、新着の映画や音楽、ドラマ、アニメなどを紹介するショーケース。左側のメイン部分がSilverlightで、右側のサイド部分がHTMLでつくられており、シームレスな連携を実現している。Adobe Flashの場合、(ExternalInterface APIを利用する場合を除いて)HTMLを直接操作することはできないが、Silverlightの使用言語であるXAMLやJavaScriptからはHTMLを操作することが容易であるため、このようなシームレスな連携が実現できるのである。

さらに、GyaOは動画配信フォーマットとしてWindows Mediaを採用しているため、これまでのリソースをそのままSilverlightコンテンツでも利用でき、それによってクロスプラットフォーム(具体的にはWindows機だけでなくMac OSでの再生)も同時に実現できるのは見逃せないポイントである。

新バージョン「Silverlight 2」の新機能


今年3月6日にベータ版が公開され、年内に正式版がリリースされるSilverlight 2では、おもに「メディア」、「RIA」、「モバイル」の観点で機能拡張が図られる予定だ。米国のNBCが、今夏に開催される北京オリンピックの動画配信技術としてこれを採用することも決定しており、ますます目が離せない存在となるのはまちがいない。

まずメディアについては、動画閲覧時のUXの向上、動画配信のコスト効率の向上、デジタル著作権の保護という3つの大きな改善が予定されている。たとえば、「Adaptive Streaming」というダイナミックに適切な再生レートに切り替える機能や、はじめは多めにデータを送り、その後ユーザーが再生し続けている場合には10秒先までデータを順次送る「Fast Start+Bitrate Throttling」という機能、著作権保護のための「Play Ready」という仕組みなどだ。

次にRIA機能については、標準UIコントロールがさらに豊富になったり、REST、SOAP、HTTPなどさまざまな通信がサポートされる予定になっている。特に「Deep Zoom」というスムーズなズームイン・ズームアウトが実装されるのは、UXの向上に大きく貢献するだろう。実際に「Hard Rock Memorabillia」(memorabilia.hardrock.com/)という対応コンテンツが公開されており、Silverlight 2 Beta 1以降(最新版はBeta 2)をインストールすることでDeep Zoomを体感できる。

最後にモバイルについてだが、Silverlightコンテンツをモバイル端末でも利用できるように、「Silverlight for Mobile」が提供される予定だ。ノキアがSymbian OS端末でSilverlightの採用を決定している。


【1】「gallery Silverlight CREATOR'S EX.」
【1】「gallery Silverlight CREATOR'S EX.」
www.microsoft.com/japan/products/expression/creatorsEX/gallery.html


【2】「野村證券バーチャル店舗」
【2】「野村證券バーチャル店舗」
www.nomura-branch.jp/silverlight/


【3】「Gyao 新着STASION」
【3】「Gyao 新着STASION」
www.gyao.jp/newarrival/


本記事は『web creators』2008 vol.80からの転載です。本特集全記事は誌面で読むことができます。
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