第1話 大学の授業でクリエイティブに目覚める | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて
転職はゴールではない 3年目の壁、5年目の転機

“仕事の壁”は誰にでもやってきます。そんなとき、ほかのみんなは、どうしているのでしょうか? このコーナーでは、今まさに壁を乗り越えようとしている人、乗り越えて一歩先に進んだ人など、クリエイティブ業界でがんばる仲間たちが登場。これまでの失敗談・成功談や現在の課題、そして将来像を語ります。今の仕事に前向きに取り組み、階段を一段登るためのヒントが得られるはずです!


第5回 株式会社ワンパク 高橋篤史さんの場合


株式会社ワンパクのアートディレクター、高橋篤史さん。生まれも育ちも北海道、社会人のスタートも北海道という彼だが、あるときから「自分はWeb制作者としてどれくらいのレベルにいるのか」ということを考えるようになる。自分の力を試すため、転職先を東京に求め上京。ふたつの会社でWebデザイナーとして働いたのち、この春、株式会社ワンパクにアートディレクターとして入社を果たす。ひとつの目標としていたアートディレクターになったばかりの高橋さんに、今までの軌跡や現在の仕事についてお伺いしました。

[プロフィール]
たかはし・あつし●北海道出身の29歳。北海道教育大学教育学部旭川校・生活教育課程生活情報コースを卒業後、地元の制作会社にアルバイトとして入社。Web制作の基礎を学びながら、情報技術(IT)講習会のヘルプデスク業務などを経験する。その後、よりレベルの高い仕事環境を求め、単身上京。ふたつの制作会社でWebデザイナーを経験後、この春、株式会社ワンパクにアートディレクターとして入社を果たす。
http://1pac.jp/


第1話 大学の授業でクリエイティブに目覚める

──北海道教育大学旭川校の生涯教育課程生活情報コースご出身ということですが、もともと教師になりたいというようなことで進学されたんですか?
高橋●実は、教師になる気はまったくなかったんです。でも、ちょうど生涯教育課程というのが新設2年目のコースということで、新しいことをやってみようといろいろトライしていた時期だったので、面白そうだなと……ほぼ興味本位で選んだ感じですね(笑)。情報コースなので、コンピュータにちなんだことも少しやりました。担当の教官が土木出身だったりとか、保健学出身の先生だったり……。いろんな分野の教官が自分の専門とはちょっと別な形で、学部に関わっていました。

──なるほど、先生も生徒も新しいことに取り組むような状況だったのですね。
高橋●新しすぎたのか、残念ながら、今はもうそのコースはありませんが……。その生活情報コースにたまたま外部講師として教えに来ていた先生の授業が面白くて。メディア論だったのですが、ちょうどPhotoshopのLEが出て来た頃で、授業の中でちょっとしたCG制作をやったり、映画やCMの話があったり……。

──それが、今のお仕事へとつながるきっかけとなったのでしょうか。
高橋●そうですね。授業を受けていくうちにクリエイティブな方向に興味が出てきて……将来的なことを考えていく中で、徐々にそっちの方向でやっていけないかと考えるようになりました。多分、大学の普通の授業よりも、実際に職業として社会の中で活躍している講師の授業の方が、実践的で「役に立つ」と感じたんでしょうね。大学4年間の中で、その授業が一番楽しかったなという印象がありました。

──それでは、就職活動でもクリエイティブな方向を目指したのですね。
高橋●はい、一応……。その頃はWebというよりはDTPの方に興味があって、地元の印刷会社を受けたりしてみたんですが……「大学卒よりも専門学校卒のほうが役に立つ」みたいなことを言われちゃって。

──高橋さんが大学を卒業された2001年頃は、ちょうど就職氷河期と言われていた時期ではないでしょうか。
高橋●はい、厳しいとは言われてましたね。だから、僕の周りは公務員などを目指す人が多かったです。教員になる気はなかったのに、急遽目指しちゃったり。

──なるほど……。
高橋●それで、そのメディア論の講師の方が経営する制作会社、デジタルリソースによく遊びに行ってたのですが、あるとき「卒業したら、どうするんだ?」と聞かれて、「いや〜、行くあてないですよ」という話の流れで、「じゃあ、うちで働く?」とお声をかけていただいて。入社というよりは、アルバイトのような形で入りました。

──ご縁があったんですね。デジタルリソースで、初めてWeb制作にトライしたのでしょうか。
高橋●実は大学の卒論で「Web教材」というテーマを取り扱いまして、そのときに自分でWebサイトを制作した経験があります。卒論の内容としては、そのWebサイトにアクセスしてもらったユーザーの反応を調査するといったものでした。

──「Web教材」というのは、「e-learning」のようなものですか?
高橋●そんな大それたものではないんですが……三次元CGの初歩的なモデリングソフトについて、どこをどういうふうにすると作ることができのかという一連の流れを、Webページに教材として展開し、被験者として学生や一般の人に協力してもらい、そのWebページを見ながら実際にソフトを使ってモデリングにトライしてもらう実験を卒論にまとめたんです。

──なるほど、それは面白そうですね。
高橋●面白かったというよりは大変だった記憶が強いんですけど……結果的には好評でした。卒論を担当したゼミの先生から、すごく評価されて。ひどい褒められ方だったんですけどね、「本当に君が書いたのか!?」と疑われて(笑)。でも、自分で作ったものをそんな風にダイレクトに評価してくれたのは嬉しかったです。振り返ってみると、その経験は、すごく大きかったと思います。


(取材・文:草野恵子  撮影:栗栖誠紀)


株式会社ワンパク
http://1pac.jp/
2008年1月に誕生したばかりの株式会社ワンパク。エンドユーザーと企業がともに「win×win」の関係となれるよう、“コミュニケーション”をさまざまな手段で最適化し、コンサルティング、プロデュースから、あらゆる要素の制作までをワンストップで提供する制作会社である。RIAコンソーシアムでの活動や執筆活動、各種の受賞でもよく知られている阿部淳也氏が独立し、代表をつとめる。


キャッチコピーに「to make everyone's mind“HOT”」とある、株式会社ワンパク設立時の案内状


次週は「第2話 北海道の制作会社で経験を積む」についてお届けします。
twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在