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映画『ハプニング』mixiログイン画面ジャック バズを最大化するインターネットクリエイティブ

今夏公開された映画『ハプニング』は、人類が正体の見えない脅威にさらされ、翻弄される姿を描いたものだ。同作の公開にあたり、さまざまな媒体を使ってプロモーションが行われたが、通常とは異なる趣向を凝らしてmixiのログイン画面ジャックを展開したことでも話題を呼んだ。インターネットを積極的に活用した『ハプニング』のクロスメディア戦略とmixiログイン画面ジャックの詳細などを、配給元である20世紀フォックス映画 古川理佐子氏とログイン画面ジャックのクリエイティブを手掛けた電通テック 長竹直哉氏にお話しいただいた。

『ハプニング』
『シックス・センス』、『サイン』などの作品で多くの熱狂的なファンをもつM・ナイト・シャマラン監督の最新作。アメリカ全土から突如としてミツバチが消えるという出来事を始まりにして、路上で人々が突然倒れ死に至る異常現象が多発、世界はパニック状態に陥る。原因のわからない脅威によって滅亡の危機に瀕する人類と、その危機から逃げ延びようとする家族の姿を描いたディザスター・サスペンス作品。


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――今回、mixiログイン画面を利用してプロモーションを行った理由は?
古川●『ハプニング』のストーリー上でキーになる「3つの兆候」、すなわち第1の兆候「言語の錯乱」、第2の兆候「方向感覚の喪失」、第3の兆候「死」をビジュアルや動きで表現し、強くアピールしたいという意図がありました。SNSは私たちが発したメッセージと受け取る側のユーザーがリンクする場所ですから、見る側の反応をダイレクトで得られる点も、その理由です。

――今回の着想はどのようにして?
長竹● mixiは会員数1500万、月間PV60億以上というパワーメディアであり、そのトップページは多くの人々に知覚されたCI(コーポレートアイデンティティ)的な部分ともいえます。もし、そこを変化させられたらバズを起こせるのではないかという考えから始まりました。当然ハードルが高いことは認識していましたが、スタッフみんなの努力があって具現化することができました。

長竹直哉氏
電通テック クリエーティブ本部 プランニング・ディレクター 長竹直哉 氏

――苦労した点、配慮した点はどんなところですか?
長竹●いかにしてバズを最大化するかです。映画の仕事は、メディアをドライブさせて話題を喚起させるパブリシティを念頭に置いたクリエイティブやプロモーションが不可欠ですが、今回もそこが大きなポイントでした。テクニカルな面では、ストーリーの肝である1、2、3の兆候をいかに表現して、約30秒の動画にどう落とし込んでいくか、また映像の動きについて配慮しました。特に女性の動きは、早すぎるとユーザーにサプライズを与えられないし、遅すぎてもログインされてしまいますから。

――どんな反響や手ごたえがありましたか?
長竹●mixi上でのコメントをはじめ、多数のブログで反応がありました。最終的にmixiの書き込みだけで300から400くらいにのぼって、画像が怖い(笑)といった感想の一方、「映画に興味を持った、観たくなった」という意見もたくさんありました。また、あるブログでは「Web広告の新しいあり方」とコメントしていただいた方もいて、そういったネット上の連鎖的な反響を通じて、見る側に映画のサスペンスフルな世界観をダイレクトに伝えられたと実感しました。

――どういった点が反響につながったのでしょうか?
長竹●あの広告には、2つのユニークなアプローチがあったと思います。1つはmixiのCI的なヴィジュアルをそのままモチーフとした点。もう1つは、いわば「広告であることを偽装した広告」という点です。多くの広告は「ここにいるので見てください」と声高に訴えているのが普通ですが、今回の場合は一見広告ではないフリをして(させて)います。いつも見慣れた動くはずのない画面が、ユーザー心理の裏をかいていきなり動き出すという“ハプニング”。その体験をユーザーに提供するというのが今回のコンセプトでした。通常のログイン画面ジャックでは静止画で告知を行うだけですから、このようなギミックを採用した点が反響につながったのではないかと思います。








mixiのログイン画面をモチーフにしたクリエイティブ。青空の下で二人の女性が草原にたたずむ画面上に、突然変化が起こる。メッセージが表れたあと文字がパラパラと崩れ落ち、第1の兆候が表れたあと、空がどんどん暗くなっていく。第2の兆候では、女性が後ろ向きに歩き出すことで、方向感覚の喪失を表現。そして、第3の兆候では、女性がゆっくりと消えていき死を暗示させる仕掛けになっている

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