多くのユーザーが求める「操作しやすいデザイン」とは? | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

多くのユーザーが求める「操作しやすいデザイン」とは?

2024.4.20 SAT

【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて



多くのユーザーが求める「操作しやすいデザイン」とは?


自分目線では気づかない、
デザインの中に溶け込んでいる工夫


操作しやすいデザインをつくる準備を行う際、いったい何から始めるべきだろうか。まず思いつくのは「自分で使って操作しやすいと思えるWebサイトを探す」ことではないだろうか。特に基準を設けず、世界のアワードサイトなどで評価されているWebサイトを、次々に見ていくとしよう。結果、数十個のWebサイトから参考にできそうな仕掛けが得られるかもしれない。しかし、そうして集めた情報は、実際に機能しないことがほとんどといってよい。

なぜなら、Webサイトを制作するほどIT技術に精通している人間が感じる「使いやすさ」は、広く一般のユーザーが感じる「使いやすさ」と異なっているからだ。言われてみれば当たり前だが、非常に重要な事実である。

リテラシーの高いユーザーの場合、プルダウンメニューのように一覧性が高く、かつWebサイト内を周回しなくてすむ仕掛けは便利だと感じる。しかしリテラシーが低いユーザーは、プルダウンそのものに気づかないおそれもある。こうした例を挙げればきりがないほど、使いやすさ、操作しやすさを自分目線で発見することは非常に難しい。そのため、事例を参考に使いやすさを考えるのなら、数千のWebサイトをサンプルにして「一般的になじみのある表現」などを探るしかないだろう【1】。

もうひとつ、自分目線で気づくことが難しい理由は、優れた操作性は便利であることすら気づかないくらいの自然さで、デザインの中に溶け込んでいることが多いからだ。検索サイトの多くはアクセスした瞬間に、キーワード入力部分がアクティブになるよう工夫している【2】。そのとき、ユーザーは使いやすいかどうかを考える以前に、無意識のうちに検索操作を行っているはずだ。そうなっていないとき、一瞬「あれっ?」と思うだろう。

ターゲットユーザーを絞れば、
何が必要なのかがわかる


操作しやすさを考える場合、大前提となる作業はやはりターゲットユーザーを絞ることである。自分目線では操作しやすさが気づきにくいことであるなら、第3者の目線を想定する作業が必要、というわけだ。平たく言うと、操作とは「その行為を、どんな人が、何のために行うのか」という前提条件なしで考えることはできない。Webサイトの使い勝手、というふうにひとくくりにはしにくいのだ。

たとえ同じサイト内であっても、カテゴリが違えばユーザーそのものが変わることさえある。たとえば「New York Magazine」(nymag.com/)のWebサイトは、ファッションや旅行といった複数のカテゴリが用意されている。これらのカテゴリは特に関連性がないので、ファッション情報を閲覧するユーザーが旅行情報まで閲覧するかどうかはわからない。あるカテゴリの中だけをじっくり周回するだけのユーザーが多いことも予想できる。この状況は、New York Magazineのページレイアウトから十分推察可能だ【3】【4】。ふたつのカテゴリのトップを見比べると、レイアウトの構造が大きく異なることがわかるだろう。これは、各カテゴリにおいて必要な操作の利便性が違うからなのだ。

ここからわかるように、操作しやすさはWebサイトのユーザー像をまず想像し、そのユーザーがたどりそうな情報収集の切り口や方向性を見極める作業をしてこそ形にできるものである。


【1】「Yahoo!」は、リンク付近にマウスカーソルを合わせるだけでページ遷移できる
www.yahoo.com/


【2】「iGoogle」の例。ページをロードした瞬間、検索ボックスがアクティブな状態になっている
www.google.co.jp/ig


【3】「New York Magazine」は、旅行のカテゴリでは地域を紹介する記事がたくさん見えるレイアウトを採用
nymag.com/


【4】美容関連のカテゴリではヘアサロンなど施設の検索ツールを左に設け、需要が高そうな広告記事スペースを確保している
twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在