(サイトセレクト・文=福岡 陽)
www.sixstation.com/
【Sixstation Workshop | Branding,Graphic,Web, Illustration,Typography,Visual Identity】
東洋の感性とWeb的表現がつくる
美しいポートフォリオ
グラフィックの制作を中心に手がける香港のデザイナー、Benny Luk氏のポートフォリオサイト。Webサイトの背景全面に展開された墨が水の中に溶けていく動画に目がいくが、このWebサイトの見どころはそこだけではない。パッと見では気がつかないが、トップページ中央に表示されている漢字の羅列。よく見ると時計になっている。近年ブログパーツなどの登場によってWeb上での時計の表現に改めてスポットが当たっているが、その中でもこの「漢字時計」は独特のカリグラフィーで表現されていることもあって、かなり新鮮に映る。
もうひとつ特徴的なのは、文字表記のほとんどに斜体がかかったセリフ系のビットマップフォントが使われていることだ。東洋的な要素が多いWebサイトの中で、このフォントがその雰囲気を中和し、洗練された印象を与えている。
Worksのページにはタイポグラフィー、グラフィックを中心にクオリティの高い作品が並ぶ。このコーナーだけ背景映像の代わりに同様の静止画に切り替わり、「自分の作品をしっかりと見てほしい」というメッセージが伝わってくる。ブログをそのまま用いたような簡素なポートフォリオサイトが増える中、しっかりと世界観を構築し、作品の魅力を引き出す工夫をしている点に注目したい。
本記事は『web creators』2009 vol.85からの転載です。本特集全記事は誌面で読むことができます。