第4話 自分がどうありたいのか…… | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて
転職はゴールではない 3年目の壁、5年目の転機

“仕事の壁”は誰にでもやってきます。そんなとき、ほかのみんなは、どうしているのでしょうか? このコーナーでは、今まさに壁を乗り越えようとしている人、乗り越えて一歩先に進んだ人など、クリエイティブ業界でがんばる仲間たちが登場。これまでの失敗談・成功談や現在の課題、そして将来像を語ります。今の仕事に前向きに取り組み、階段を一段登るためのヒントが得られるはずです!


第13回 株式会社ビジネス・アーキテクツ 齋藤健太郎さんの場合


株式会社ビジネス・アーキテクツでプロジェクト・マネージャーのリーダーをつとめる齋藤健太郎さん。子どもの頃からパソコンに親しんではいたものの、いざ社会に出るにあたっては二転三転。当初はゲーム業界を目指すもうまくいかず、しばらくはフリーターへの道を進むことに。その後インターネットがブームとなった時代背景もあり、Web制作業界に入る。現在は多くの案件にプロジェクト・マネージャーとして関わりながら、リーダーとしてもさまざまなところに目を配る日々。そんな彼に、これまでの軌跡、そして現在、未来の仕事について、詳しくお話を伺ってみました。

[プロフィール]
さいとう・けんたろう●1974年、東京生まれ。高校を卒業後、浪人中に思い立って進学をやめ、就職を決意。とはいえ、なかなか思うように進まず、いくつかのアルバイトなどを経たのち、小規模な制作会社に「ホームページ作成補助」のアルバイトとして入社。正社員登用後、2000年に新設のWeb制作部門に異動し、初めて「クライアントのための」Web制作業務に関わることになる。2003年、より広い視野でWeb制作に関わるため、ビジネス・アーキテクツに転職。現在は企業Webサイトのリニューアルや戦略策定などの案件にプロジェクト・マネージャーとして関わるほか、プロジェクト・マネージャー・チームのリーダーとしても活躍中。
http://www.b-architects.com/


第4話 自分がどうありたいのか、現状を把握すること

──ビジネス・アーキテクツ独自の仕事のやり方を覚えるまで、とまどったこともあったと思いますが……慣れるまで、どれくらいかかったのですか?
齋藤●僕の場合、1年くらいかかったと思います。最初の半年くらいは仕事一つひとつの精度や深さの違いに戸惑いました。なにより、それまでのやり方が通用しないのではないかということを痛感して、正直言って会社選択を間違えたかなあ……と思ったり(笑)。でも、ある大きなプロジェクトを経験したことできっかけを掴んで、なんとか乗り切ることができました。

──それは、どんなプロジェクトだったのでしょうか?
齋藤●その頃、大手メーカーサイトの全面リニューアルの案件があったのですが、規模も大きい上にスケジュールもタイトだったので、社内で複数チームに分かれてリニューアルを進めることになりました。僕はコンシューマ製品カテゴリのプロジェクトマネージャーとして参加したのですが、これまで大きくても100ページ程度のサイトの仕事をやって来たのに対して、サイト全体で1,000ページ規模のボリューム。短期間で効率的に制作できるように体裁がバラバラの製品情報をどうやってまとめようかと大量の製品カタログとにらめっこしたり、あるいは、クライアントの担当部署一つひとつに仕様確認をお願いしてまわったりと、これまでやって来た作業内容とは規模もやり方も全然違っていて、ものすごく戸惑いました。いちばん戸惑ったのは、その時々の状況で「何をすべきか」ということの想定が読み切れない、やるべきことがうまく思い至らず、普通に作っていたのでは到底終わらない状況下で……解決方法についてチーム内で検討を重ねました。そんな中でも公開日は刻一刻と迫ってくる訳で、かなり精神的に追い詰められた状況でした。

──かなり大変ですね。
齋藤●ええ。それ以外にも仕様書を作ってデザインして……という作業とは別に、ユーザビリティテストをしたり、ペルソナを作って検証したりといった作業も並行して進めていて、それがこれまで経験してきた仕事とはレベルが全く異なっていて苦労しました。クライアントの要求レベルというよりは社内の要求レベルが高くて(笑)。漠然と頭でやるべきことは分かっていても、細かい部分で自分の理解が追いつかない。それで結果的に作った資料が中途半端なものになってしまってダメ出しをされたり……。でも、何が間違っているかもその時はわからない状況で、とにかくかなりつらい時期でした。

──そのつらい状況をどうやって克服されたのでしょうか?
齋藤●月並みな話ですが、諦めなかったことに尽きると思うんです。とにかく納品するまでは逃げちゃいけない、責任は果たさなくちゃいけないという気持ちで頑張りました。それで納品が終わった時に思ったんです。何とかしようとすれば何とかなるんだなあ、と(笑)。それまでは前の会社での経験が通用しないと思い込んでいたのですが、後から振り返ると、基本は変わっていないんだなと気付きました。ノウハウの適用の仕方やタイミングが掴めていなかったから、戸惑っていただけなのだなと……。つまり、本来自分が持ってる経験値とビジネス・アーキテクツのやり方をうまく融合できるようになったのだと思います。もちろん、そのあとも壁はたくさんありましたが、杓子定規ではなくその状況下での最適のやり方を見つけていけばいいということを、感覚的に掴めたのはとても大きかったと思います。

──最後に、現在転職を考えている読者の方々にアドバイスをするとしたら、どんなことでしょう。
齋藤●難しい質問ですけど、自分が置かれている現状をきちんと把握することは必要だと思います。自分がどうありたいのか、何をしようとしているのか、そのために何が必要なのか、そのプライオリティは……といったことを把握する。少なくとも把握しようと心がけることが大切だと思います。仮にその仕事に関するスキルが全くなかったとしても、目指している方向をちゃんと理解できていて、さらに現在の自分に足りない部分をちゃんと理解し、そのために何が必要か、あるいはそのために何を学んでいくのか——そういったことを把握していることが重要だと思います。明確ではなくても、そういったことを掴まなくてはいけないと自覚している人は強いと思いますね。

──なるほど、現状を把握するということはどんなことにも当てはまりますね。本日はありがとうございました。

(取材・文:草野恵子  撮影:谷本 夏)


株式会社ビジネス・アーキテクツ
http://www.b-architects.com/
顧客企業の事業を支援するコミュニケーション戦略を提案・実施する国内最大規模のWebデザイン企業。顧客企業の経営課題を的確に捉え最新の情報技術を活用し、デザインという切り口から多面的なサービスを提供することにより、大企業の新事業立ち上げや事業の再編・再構築を支援。制作したWebサイトを通じて国内外のアワードを多数受賞している。


ソフトバンクテレコム株式会社 コーポレートサイト

http://www.softbanktelecom.co.jp/ja/

森ビル株式会社 MORI LIVING

http://www.moriliving.com/

プジョー・シトロエン・ジャポン株式会社 プジョー オーナー&ファン サイト

http://www.leclubpeugeot.jp/

今回で齋藤健太郎さんの記事は終わりです。次回をお楽しみに!



twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在