第1話 MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 08 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-
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旬のアートディレクターをお迎えして、デザインする際の思考のプロセスと創作のスタンスに迫るコーナー。第36回目はStudioKannaのカンナアキコさん。第1話では、音楽専門チャンネルMTVが開催するイベント「MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 08」(以下VMAJ08)の制作物にスポットをあてる。


第1話 MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 08
ドットと紙の質感で表現する「SUPER SENSE」




繊細な印刷が活かされたインビテーション3点。「INVITATION」の部分のみ抜いて印刷されている

通常裏面となる紙を表に使用して印刷された封筒。なかに円形のチケットが収められている


イベントのプレゼンターだったマジシャンのセオが写しだされたポスター。ドットを基調に描かれたため、人物自体の熱っぽさが緩和されている


日々の蓄積がものをいう印刷のアイデア


MTVが開催する世界規模の音楽祭「VMAJ08」のコンセプトは「SUPER SENSE」。そこから私が連想したものは「超能力」「magnetic power」「フォース」といった抽象的なものでした。それをイメージさせるようなチケット、ポスター、インビテーションなどを作るにあたってこだわったのは紙そのものが持つ質感です。素材をそのまま生かすことで、コンセプトに沿ったそれぞれが持つ力を表現できるからです。

厚みのあるボール紙を使用したチケットの封筒なら、本来印刷する面ではない裏側にプリントしたり、ミラー上質紙の上に白のドットパターンで文字を表現して、抜きの部分にはマットニスを塗ったりと、見え方や感触を「SUPER SENSE」に似つかわしくしていきました。色はグレー、白、金、銀のみ。円がたくさん集まると、コンセプトにあるようなパワーを象徴できそうだと思ったからです。同時に、多くのオーディエンスが集まる場である様子を言い表せると感じました。円はシンプルの極みにある造形で、非常にニュートラルですし、解釈の幅が広げられる利点があります。ちなみにチケットのプレートにも円形を採用してます。


私は、2006年までロンドンのNorth Design(http://www.northdesign.co.uk/)に在籍していたのですが、イギリスでは紙の種類も日本のように多くはありませんし、日本のように繊細な色の再現性も高くはありません。ですので、ある意味ざっくりとした印刷品質を前提に、シルバーやゴールドといった強い色で目を引きながら、アイデアの強さで勝負する傾向にありました。一方、この仕事に関しては、日本ならではの印刷面でのチャレンジができたと思っています。印刷に関しては、印刷所と情報交換をしたり、日々の仕事から得られた結果を蓄積しながら、研究を重ね続ける姿勢が大事です。どうしても試してみないと結果がわからない印刷手法もありますからね。それに、私は紙媒体では印刷自体もデザインのうちだと考えています。
(取材・文:立古和智 人物写真:谷本夏)

次週、第2話は「TOKYO BY TOKYO」についてお送りします。こうご期待。





●カンナアキコ

01 年ロンドン芸術大学セントラル・セントマーチンズ、グラフィックデザイン科卒。02年より06年までロンドンのデザイン事務所、North Designに所属し企業のブランディングの業務などに従事。2006年に帰国し、StudioKannaを始動。CIを含むブランディングからブックデ ザイン、パッケージまで幅広い媒体を舞台に、コンセプトメイキングに重点を置いたデザインワークを行う。
http://www.studiokanna.com/



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