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最後まで気が抜けないCMS構築

Web制作の現場で試される「プロマネ力」と「情報設計力」

CMSツールを活用したWebサイトの構築は最後まで気が抜けない。構築段階で試されるのが、「プロジェクトマネジメント力」と「情報設計力」。前者については先に説明した通りであるが、Webサイトが大規模化し、数百~数千ページのサイトリニューアルやコンテンツ移行もあたりまえとなると、後者の「情報設計力」が非常に重要になってくる。

「IA(Information Architect)」とも呼ばれる情報設計は、ユーザー視点で必要な情報に到達するまでの道筋をつくること。ただし、情報設計=ユーザーインターフェイスではない。大規模なWebサイトの情報設計を行うためには、すべてのコンテンツを正確に把握し、コンテンツブロックに分解し、コンテンツブロック間の適切な誘導のあり方を考え、さらにはコンテンツ内での情報の見せ方を考えるなど、膨大な設計作業が必要になる。つまり、情報設計の本質は情報構造(Structure)を見直して再構築することであり【1】、目を引くFlashをつくることや、ユーザビリティ調査を行うといったわかりやすいものではないのだ。

Webページのデザイン表現にこだわるより前に、プロジェクトマネジメントのスキルを身につけ、だれもがごくふつうに使えるものをあたりまえにつくれる本当の情報設計力を磨く。これが、CMSの導入メリットを最大化するポイントでもある。


【1】ビルの建築に似て、下から上へと築き上げるCMS構築では、情報ブロックの関連性を設計する「構造」が重要(Jesse James Garrett's 5 Planes Model)


クライアントへの気遣いがプロジェクトの破たんを防ぐ

構築時のポイントはほかにもある。おもなポイントを簡単に紹介しておこう【2】。

■ 十分なリソースを確保する
プロジェクトがスタートする前に、開発に必要なリソースとして、コンテンツ移行やコーディングに関するスキルやノウハウをもったスタッフを確保しておく

■ クライアントの負荷を思いやる
クライアントにもかなりの負荷がかかることを理解しておきたい。たとえば1,000ページの移行なら、1ページあたりの確認時間が5分と仮定して、5分×1,000ページ=5,000分。つまり、確認作業だけに一人の担当者を83時間も拘束する計算になる。制作側は作業を10人で分担できるかもしれないが、クライアント側には難しいことが多い。83時間も校正を行えば人間がどうなるかはご想像の通りだ。事前事前にアナウンスするだけでも担当者のストレスは違ってくる。また、社内調整に必要なドキュメントを整備するなどしてクライアントを支援し、担当者の負荷軽減に努めたい

■ 段階的に構築を進める
CMS構築においては、クライアントからの要求事項も多岐にわたり、1回の構築ですべてを吸収しようとするとリスクも高まってしまう。フェーズを2回に分けるなど、段階的に進めることを検討すべきである

■ 使える環境を整える
使われてこそのCMSである。関係者全員が抵抗なく運用できるようになることを目指し、操作方法を習得するための講習会の開催や、マニュアルの整備など、ユーザー支援に力を注ぐ。また、運用ルールを規定したガイドラインを用意することで、クライアントは、効率よく、使い勝手のよいWebサイトを長期的に維持していける


【2】CMSでのサイト構築時には、クライアントへの気遣いを忘れないようにしよう。それによりプロジェクトの破たんを防ぐ効果がある
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