バイラルクリエイター養成講座
実践編 第4回 プラットフォームの構築
バイラル発信には、うわさの震源地となるプラットフォームが必要だ。プラットフォームはバイラルの発信の場であり、バイラルの情報確認の場でもある。プラットフォームを持たないと、せっかくバイラルが広まってもそれが永遠にただ一人歩きするだけで終わってしまうケースもある。
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解説:バイラルエンジン
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[プロフィール]
バイラルエンジン●東京都出身。バイラルディレクター。オフライン・ソーシャルネットワーキング、完全紹介制の覆面クリエイターユニット「バイラルエンジン」代表。カンヌ国際広告賞、Eyeblaster Creative Awards、宣伝会議賞、東京インタラクティブ・アド・アワードなど受賞。世の中のムーブメントは、すべて人が仕掛けている。
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うわさの震源地づくり
うわさの震源地となるキャンペーンサイトやブランドサイトの存在も見逃せない。たとえば、DVDディスクの場合、「高画質」「長期保存性」などが商品価値である。映像などを記録できることが最大の特長といえるが、バイラルで重要になってくるのは、たとえばプライベートのシーンで言えば「想い出をずっと残しておける」といった絶対価値がある。
そこで、バイラルシーズは「想い出」と設定する。しかし、バイラルはこれだけでは広がらない。このため、バイラルを広げるためのエッセンスを加味する必要がある。「想い出」をヒントにアイデアイメージを広げて、「星空」「星に願い」をバイラルワードに据える。
こうしたハートをくすぐる記号をもつことで、人に伝えたくなる魅力がふくらんでいく。バイラルシーズとバイラルワードが見つかったら、バイラルの震源地となるプラットフォームづくりが肝心だ。
バイラルムービー、バイラルFlashなど表現手法はさまざまあるが、伝えたいイメージにあわせて映像か、イラストか、インタラクティブな仕掛けか、いちばん印象に強く残り、伝わりやすいものを選択するとよいだろう。
星空に願いごとを書き込めるインタラクティブコンテンツをプラットフォームに、ブログやSNSを中心にバイラルを広げているのが、maxell「ネガイボシ」だ。
maxellタイムカプセルキャンペーン-TV、ポスター、Webなどのメディアを統合的に活用したクロスメディア型キャンペーンでカンヌ国際広告賞2006メディアライオン銀賞を受賞
バイラル活用ツール
さまざまある中で、ブログなどCGMの存在は見逃せない。テンプレート形式の画一的なブログに飽きを感じはじめ、自分たちのブログを楽しく演出したり、個性的に装飾したりする欲求に駆られているブログユーザーを中心にブログパーツの利用が広まりはじめている。そんな追い風を受けて、バイラルを加速させるテクニックとして効果をあげているのが、ブログシールやブログティッカーなどブログパーツの配布だ。
著名なクリエイターによるデザインで話題を集めている自動車メーカーのブログパーツや、プレゼントキャンペーンと連動させてブログパーツのダウンロードを促進させた映画会社、ゲームをクリアした人だけがもらえる記念バナーでバイラルが広がっている飲料メーカーなどブログパーツの活用が盛んになってきている。
PEPSI NEX ブログパーツ
バイラルムービーでは、エンベッド(embed)タグを公開してブログからバイラルムービーに直接リンクを貼れるようにする仕掛けや、ユーザーのアクセスの増加に応じてバイラルムービーを随時追加更新していく手法などが効果を発揮している。
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さまざまなプラットフォーム
バイラル手法には、7種類ある。それぞれによって、プラットフォームのつくり方が異なるので、一つひとつ見ていこう。
(1)バイラルムービー系/バイラルCMでうわさを広げる手法。プライベート映像を自由にアップロードできるサイトやバイラルCMのランキングサイトをプラットフォームに活用する。
(2)バイラルパーツ系/ブログパーツを制作してWebで配布する手法。企業のブランドサイトやキャンペーンサイト、ブログパーツ専門のポータルサイトをプラットフォームに配布する。
(3)クチコミブロガー系/影響力のあるブロガーによってクチコミを促進するサービス。
(4)コミュニティ系/化粧品や家電など共通テーマのコミュニティサイトで、使用感や評判を生活者の生の声で伝播。SNSコミュニティを活用するケースもある。
(5)情報発信共有系/いち早く情報を特定の人々へ発信することでうわさを広める手法。プラットフォームはブログやソーシャルブックマーク、写真共有サイトなど。
(6)クロスメディア系/ゲリラ的なイベントやCM連動したWebをきっかけに注目を集めてうわさを呼ぶバズ手法。「続きはWeb」「キーワードを入力してクリック」といったCMが多くなった。
次回につづく